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ジャガー役員「新型車の価格は最低でも2200万円超です。それでも顧客が欲しいと思うような車でなければ発売しません。これからのジャガーは今までよく知られたジャガーではありません」

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| ロータスに続き、ジャガーも大胆に「ブランドシフト」を行うことに |

つまりそこまでジャガーは「切羽詰まった」状況にある

さて、ジャガーはこれまでのジャガーと新しいジャガーとを分ける「ファイアブレイク」を行うことはすでに報じられている通りで、「新しい時代のジャガー」の生産がなされるまでに残されるのはF-Paceのみとなり、残りのモデルは「全て生産終了」。

つまり新しいジャガーが発売されるまで「ジャガーのディーラーは売るものがない」状態が続き、これは少し前のロータスと同じ状況となりそうです(エキシージ等の生産が終了し、その後エミーラとエレトレが登場するまで販売するクルマがなかった)。

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ジャガーはなぜそこまでして「ブランドシフト」を行うのか?

この大胆な行動の背景には「ジャガーブランドの変革」があるわけですが、ジャガーは今後「高級車から超高級車」への移行を目指し、具体的にはベントレーの領域にまで達することを目的としていると言われます。

よって現在のラインアップを(それまで食いつなぐため、唯一利益が出ている)F-Pace以外全て廃止し、新しい「超高級」ラインアップに切り替えた後はF-Paceをも切り捨てるということとなりそうですが、今回ジャガーのマネージングディレクター、ロードン・グローバー氏が改めてこの計画に触れ、「ジャガーは岐路に立たされており、これ(マスプレミアムから抜け出すこと)が最善の策なのです」とコメント。

そしてジャガーのいうマスプレミアムとはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディといった強豪がしのぎを削る市場であり、ここで戦えば戦うほど体力を消耗するという判断から「この市場を捨て去る」こととしたわけですが、マーケットの上位移行は非常に難しく、過去に多くの自動車メーカーがそれを目指して失敗しています(フォルクスワーゲンもフェートンにて大きな損失を被った。ただしジャガーはもともと高いポジションにあり、それがフォードの買収によって一般化してしまったという歴史があるため、VWとは事情が異なる)。

参考までにジャガーの売上は現実問題として2019年以降ひたすら減少しており、地元欧州では2018年には84,219台あった販売が23,923台へと減少していて、(この落ち込みは)メジャーメーカーとしては例を見ない部類かもしれません。

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ブランドシフトには「大きな痛みを伴う」

かくしてジャガーはこれまで慣れ親しんだ市場を捨てて「上を」目指すこととなりますが、その大きな武器は「デザイン」だと言われます。

まず今年末までに発表される新しいジャガーは「ピュアエレクトリック4ドアGT」になるとされ、しかしエレクトリックパワートレーンやエネルギー管理システム、パフォーマンスは「目を瞠るようなものではなく」つまり驚くようなものではないというのが大方の予想です。

使用されるプラットフォームはまったく新しいジャガー・エレクトリック・アーキテクチャ(JEA)を搭載し、一回の満充電あたり最大航続可能距離は700キロ、出力はジャガー史上「もっともパワフル」だと言われるものの、「ハイパーカークラス」には達するものではないのかもしれません。

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そしてこの新しいジャガーの価格は12万ポンド(現在の為替レートにて2260万円くらい)だといい、前出のロードン・グローバー氏は「もはやこれは我々がよく知っていたジャガーではありません」「顧客が12万ポンド以上を喜んで支払いたいと思うようなクルマでなければ発売しません」、そして発売までに時間があることから「ジャガーディーラーの中には看板を下げるところが出てくるでしょう」「移行には非常に大きな痛みが伴います」とも。

今後のジャガーは先発の4ドアGT、そしてSUVを含む3モデルにて構成され、いずれもJEAプラットフォームを使用することがわかっていますが、このラインアップによって「販売台数が少なくとも十分な利益を確保できる」ようにしたいという話が報じられ、つまりジャガーは創業当初の、「富裕層に愛される、大量生産ではなく、美しく魅力的なクルマを製造していた時代」へと戻ろうとしているわけですね。

実際のところ、この戦略がうまくゆくかどうかは「ナントモ」であり、というのもこの計画が企画されたであろう数年前こそは「高価なEV」こそが富裕層が求める存在であったものの、今では富裕層がEVに見向きもしなくなっており、この時点ですでにジャガーはビハインドを喫していると考えることもできます。

もちろんジャガーもそれを承知で前に進んでいるものと思われますが、この不利をはねのけるだけのデザインが実現できるかどうかには期待がかかろうというものですね。

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