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なぜこんなことに・・・。伝統のジャガーが苦境に立たされ「5モデルを廃止し、残るのはF-Paceのみ」。現在の自動車業界は戦略次第でその将来が大きく左右されるようだ

2024/07/16

ジャガー

| 現在の自動車業界で最も重要なのは「ブランディング」そして「リスク耐性」だとボクは考える |

ジャガーはそのブランド力をフルに活かして再生を行うことができるCEOを連れてくるべき

さて、販売の低迷が続くジャガーにつき、なんと「F-Pace以外のラインアップすべての生産を終了する」との報道。

これはジャガー・ランドローバー(JLR)CEO、エイドリアン・マーデル氏が投資家に対して語ったコメントとして報じられており、概要としては「ジャガーが完全電気自動車ブランドに移行するにあたり、利益率が”ほぼゼロ”のジャガー数車種の生産を中止する」というもので、別途ジャガー・ランドローバーの広報担当者の弁として「XE、XF、F-Typeに続き、E-PaceとI-Paceが生産中止になる」という話も聞かれます。

これからのジャガーはどこへ向かうのか

なお、ジャガー・ランドローバーはかなり早い段階から電動化に取り組んでおり、特にジャガーは「所得と知識が高い富裕層」向けブランドへとシフトすることを狙っていて、そのためこの層の特徴である「高い環境意識」を刺激すべく、ラインアップをEVへと切り替えるという方針を採用していたわけですね。

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かくしてピュアエレクトリックカー第一弾としてI-Paceの投入がなされるものの、販売自体は芳しく無く(そもそもI-Paceはラグジュアリーではなかった)、欧州ではこのI-Paceの問題に関するディーラーの対応方針が消費者の反感を呼んでますます販売を失ってしまうことに。

その一方、「電動化への切り替え」が決定していたために既存ラインアップのリニューアルが行われず、さらには頼みの綱の電動モデルの投入も遅れに遅れ、文字通り「売れる商品がなくなってしまい」、こういった状況もあってジャガーは、ドイツのライバルに比べて販売不振と時代遅れの製品ラインアップに苦しめられるという状況が続いています。

jaguar

JLRそのものだと、(2023年に)2015年以来最高の年を迎え、税引き前利益は22億ポンド、売上高は290億ポンドにも達してており、しかしこの成功はランドローバー・ディフェンダー、レンジローバー、レンジローバー・スポーツによってもたらされもので、エイドリアン・マーデルCEO自身も「これらの3車種がJLRの価値の85%を占めている」とコメントしているほど(ただしこれは利益ベースではなく、ブランド価値なのだと思われる)。

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当社のビジネスモデルは、工場のフル稼働を維持するために、変動マーケティング(例えば割引)と固定マーケティング費用を増やすという連続的なものではありません。あれはマスプレミアムモデルでした。当社のモデルは非常に異なっており、卓越する大きなチャンスが目の前にあります。よって我々は5つの製品を廃止します。いずれも価値の低い製品です。いずれも利益の出た車ではありませんので、新設計のアーキテクチャを採用した新車に置き換えます。

JLR CEO エイドリアン・マーデル

ジャガーは2024年後半から攻勢をかける

2024年第2四半期、ジャガーは15,324台の車両を販売し、そのうち5,292台がF-Paceであり、よってF-Pace以外を廃止するという決定にも納得ではありますが(むしろF-Pace以外が1万台も売れていることに驚かされる)、同時期に95,856台のSUVを販売したランドローバーと比較すると、現時点でのジャガーは明らかに「再生を切実に必要としている」という状況。

jaguar10

しかしもちろん、ジャガーとて何も手を打っていないわけではなく、かねてより計画中の「高級グランドツアラー」がまず今年後半に(コンセプトとして)発表されることとなり、さらにはジャガー・エレクトリファイド・アーキテクチャ(JEA)プラットフォームをベースにした3台の電気自動車を発売する予定だとも報じられています(ただし生産開始時期は定かではない)。

おそらく狙っているポジションは「ベントレー」あたりだとは思われるものの、たとえばジャガーがベントレーの持つ「圧倒的な押し出しとパフォーマンス」に対抗しうる手段を今後持ちうるのかどうかは不明であり、「ジャガーでないとダメ」と思わせる要素を確立せねば生き残ることは難しいのかもしれません。

よって今後のジャガーに対しては期待と不安とが入り混じった感情を抱いていますが、いまジャガーに必要なのは、エンジニアリング的な発展ではなく、歴史あるジャガーというビッグネームを再生することができるブランディングであると思われ、その意味では自動車業界ではなく、ファッション業界からCEOをスカウトしてきてもいいんじゃないかと考えたりします。

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参照:Automotive News Europe

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