| 現時点だとポルシェの「危険な賭け」は裏目に出る可能性が非常に高い |
もっと911を生産すれば事態を収拾できるように思われるが、ことはそう簡単ではないのだろう
さて、ポルシェが2024年の第3四半期および通年での販売状況を発表しましたが、改めてタイカンの状況があまり良くないことが明らかに。
ポルシェにとってのフラッグシップEVであるタイカンの販売は世界的に(驚異的な)50%の減少を記録し、1月から9月までにわずかに14,042台が販売されるにとどまっていて、この影響によるポルシェ全体のグローバル販売も7%減少しています。
ポルシェは大きく販売の減少に見舞われる
しかしこの減少はタイカンだけの問題ではなく、実際にパナメーラは20%減少して21,506台、マカンにおいては20%の減少(これは欧州を筆頭にした販売停止の影響が大きそう)を計上しており55,000台を販売したのみ。
ポルシェによると「ニューモデルに切り替わるタイミングであった」ことが販売減少の大きな要因だとしていますが、ポルシェの営業およびマーケティング担当取締役デトレフ・フォン・プラテン氏は以下のようにコメントしています。
「世界的に市場環境は依然として厳しい状況です。しかし、当社の歴史の中で最も若いモデルラインを持ち、販売地域で非常にバランスの取れた販売構造を維持しているため、私たちは堅実な立場にいます。価値指向の販売戦略はその効果を証明しており、今後の行動の基盤となり続けます。」
やはり中国での販売減少は「深刻」である
地域別の数値を見ると、中国では特に厳しく「29%の減少」。
北米でも減少しているものの、その影響は5%とそれほど深刻ではなく、実際にポルシェは今回の販売減少につき、中国の「継続的に厳しい経済状況」と北米向け車両の「限られた生産能力」が理由だとしています。
興味深いことに、(今回の発表では)現在ほぼすべての自動車メーカーに影響を与えているEVの需要の減退については言及がなく、しかしここからマカン、718ボクスター / ケイマンも電動に切り替わる予定となっていて、この路線が「危険な賭け」であることは間違い無く、ポルシェとしてはどうやって電動モデルの販売を伸ばしてゆくかに神経をすり減らすこととなりそうですね。
とはいえ、ポルシェにとって完全に悲観的な状況ではなく、カイエンは依然として最も販売数が多い車両であり続けて77,686台が販売され、21%の大幅増を記録。
911の販売も2%増加し39,744台が納車され、718ボクスターとケイマンは18,048台の販売にとなって10%の増加です(ただし放棄の関係にて、これらモデルは来年に廃止される予定である)。
「2024年は、限られた製品供給の影響で特に厳しい年です。しかし、私たちは新しいモデルシリーズにおいて質重視の段階的な立ち上げに意図的に焦点を当てており、今後も顧客に対して独自のブランドと製品体験を提供し続けることができるよう努めています。」
ポルシェ 営業およびマーケティング担当取締役 デトレフ・フォン・プラテン
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参照:Porsche