| 現時点では判決が出ておらず、その訴訟の行方に注目が集まる |
もしトヨタとスバルに不利な判決が出れば「大型リコール」の可能性も
さて、数年前からトヨタ86(GR86)、BRZに積まれている2リッター/2.4リッターボクサーエンジンに関する不具合がたびたび報じられるようになり、例によって北米では「集団訴訟に発展するのでは」と見られていたのですが、どうやらそれが現実のものとなったもよう。
対象車種は2013-2016年モデルのサイオンFR-S(北米ではこの期間、86をサイオンFR-Sとして販売していた)、2017-2023年モデルのトヨタ86/GR86、2013-2023年モデルのスバルBRZで、この訴訟は2019年モデルのGR86を購入したローラ・ヤング氏によってニュージャージー州連邦地方裁判所に提起されていると報じられています。
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いったいとトヨタ86/GR86/スバルBRZのエンジンの何が問題なのか
訴訟によると、まずローラ・ヤング氏のGR86に積まれるエンジンは64,000マイル(約10万3,000キロ)で故障したとされ、これはメーカー(トヨタ)による5年/60,000マイルの保証を4,000マイル(約6,400キロ)超過していたため、同氏はエンジンの交換費用を自腹で支払うことに。
そして2023年4月、修理工場(トヨタディーラーではない)にて判明したのが「故障の原因はオイル不足、オイル膜の消失、過度の摩耗によるもの」で、同氏はこれを「エンジンの設計・製造欠陥に起因する故障」だと判断し、今回の訴訟に至ったというわけですね。
実際のところ、このボクサーエンジンの問題としてオイル不足が広く報告されていますが、そのほとんどは「オイルパンのガスケットから出たシーラントがオイルラインを詰まらせ、エンジンにオイルが供給されなくなる」というもので、この問題は、工場で間違った種類のシーラントが過剰に使用され、その後、使用中にシーラントが加熱されて柔らかくなり、オイルパンに落ちてしまうことによって発生するとされていますが、今回の訴訟ではこの件についても触れ、”トヨタとスバルが常温で硬化するシリコーン(RTV)を従来のガスケットの代わりに使用し、この問題を認識していながら「購入者に隠していた」”とも主張しています。
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さらに訴状では「(エンジンの故障は、通常、サーキット走行など高ストレス状態で発生することが多いものの)そのような使用条件に関係なく、これらトヨタとスバルの車両はスポーツカーとして販売されており、過酷な条件下でもエンジンが故障しないことが期待されるべき」と主張し、たしかにトヨタのプロモーションを見る限り、「ちょっとサーキットを走った程度で壊れる」のは期待するレベルに達していないと考えるべきなのかもしれません。
参考までに、この問題が表面化した初期段階では、トヨタがサーキット走行をした86の保証を拒否したことがあって、それが大きな批判を招くこととなっていたのですが、しかし「予想通り」その後トヨタは方針を変更して保証を認めるようになったものの、多くのオーナーが潜在的な問題を抱えているという事実は間違いなく、今後の展開に注目が集まっています。
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