| 正直なところ、これまでの中国の姿勢を見るに、今回の対応には驚きを禁じ得ない |
これでアメリカと中国との緊張が「緩和し」安定的かつ有効的な発展に向かうことになるのかも
| これまでイーロン・マスク氏ほどに政治に対し大きな影響力を自動車メーカーのCEOはいなかっただろう |
さらにイーロン・マスクCEOは米中両方に「顔が利く」
さて、中国国営メディアの報道によると、中国の韓正副主席は最近「テスラのCEO、イーロン・マスク氏と注目度の高い会談を行った」、そしてこの会談はドナルド・トランプ次期大統領の就任式を前に行われ、「両国間の重要な外交的関与を示すものとなった」。
なお、テスラは「中国ではじめて単独資本で」工場を現地に建設した外国の自動車メーカーであり、そのためにイーロン・マスクCEOは「中国の政府と親密な交渉を行ってきた」というのが通説です。
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テスラに有利なトランプ政権の誕生により、「バイデン政権下での政策に対応した巨額投資」が無駄になりそうなヒョンデ。それでも「テスラと新大統領が近いのは業界にとっていいことです」
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テスラは中国政府と「近い」位置にある
さらにテスラは中国にて自動運転の実用化」を行うための準備を行っていて、これについても当然ながら中国政府との「高次の」交渉がなされたものと考えてよく、よって中国政府としては、(中国に対して強硬策を取りそうな)トランプ政権との緩衝材あるいは調整役としてイーロン・マスクCEOを起用したいと考えたのかもしれません(もちろん、それによる中国での見返りがテスラにもたらされると考えていい)。
なお、ドナルド・トランプ新大統領は中国からの輸入品に大幅な関税を課すというキャンペーンを展開したことで知られていますが、これによって両国間の緊張が高まったのもまた事実。
そこで中国の習近平国家主席は、(アメリカに反発し就任式を欠席するのではなく)最高特使である韓副主席をトランプ大統領の就任式に出席させるという注目すべき措置を取ったわけですね。
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テスラCEO、イーロン・マスクが急遽中国入り。これまで導入されていなかったFSD(自律運転)の最終認可のためと見られ、これが実現すれば大きく事情が変わる可能性も
| あわせてテスラは中国でのFSD認可後、走行によって収集したデータを米国に転送したいと考えている | やはりイーロン・マスクの構想は常人よりも大きく、先に行っているのかもしれない さて、テスラCEO ...
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そしてこの会談中、韓副主席はイーロン・マスク氏に対し「両国間の経済貿易関係の強化を支持する」よう求めたと(中国国営メディアの)新華社が報じており、韓副主席が「協力の重要性を強調し、テスラを含む米国企業が中国の経済成長の恩恵を受けるよう呼びかけた」と指摘。
新華社はさらにイーロン・マスク氏の反応を伝え、「テスラが中国への投資と協力を深めたいと述べたこと」「イーロン・マスク氏はが米中経済貿易交流の促進への取り組みを表明し、二国間ビジネスチャンスの架け橋としてのテスラの役割を強調した」とも報じていて、つまり上述の会談は「成功であった」と考えていいのかもしれません。
なお、韓副主席はイーロン・マスク氏との会談だけにとどまらず、米中ビジネス協議会、米国商工会議所、その他の著名なビジネスリーダーの代表者とも交流したと伝えられ、これらの会談は米国のビジネス利益を安定させ、継続的な協力を主張するという中国のより広範な戦略を反映したものだとも考えられます。
いずれにせよ中国がアメリカに「歩み寄る」姿勢を見せたこと、その「代理交渉人」にイーロン・マスク氏を指名したことには驚かされ、TikTokの「延命」を見ても両者の緊張が緩和したと考えていいのかもしれませんね。