
| ロータスが「自社で自社」を買収するとはこれいかに。その複雑な構造とは |
マクラーレンも同様に「たくさんのマクラーレン」が存在する
イギリスの名門スポーツカーメーカー「ロータス」が自社の一部を買収したというニュースが話題になっています。
しかも、その売り手は親会社である中国・吉利汽車(Geely)。
「ロータスがロータスを買う?」と混乱してしまいそうですが、いったいどういうことなのかを見てみましょう。
ロータスとは?基本情報をおさらい
- 設立年:1948年
- 創業者:コーリン・チャップマン
- 本社所在地:イングランド・ヘセル
- 現在のオーナー:吉利ホールディングス(Geely Holding)、エティカ・オートモーティブ(Etika Automotive)
- CEO:フェン・チンフェン(Qingfeng Feng)
ロータスには2つの会社が存在している
実はロータスは「1つの会社」ではなく、複数の法人で構成されていますが、特に今回の話に関わるのは以下の2つです。※F1においても「ロータス」は一時期かなりややこしい話になっていた
1. Lotus Technology(ロータス・テクノロジー)
この会社は、エミーラ(Emira)やエレトレ(Eletre)といった現代のロータス車の開発・デザイン・経営を担っている中心的存在で、中国の吉利汽車傘下にあります。
2. Lotus Advance Technologies(ロータス・アドバンスド・テクノロジーズ)
こちらは少し特殊な役割を持っており、報道の内容を見る限りだとロータス・テクノロジーとは”資本”関係がない「別の会社」で、しかし吉利汽車がこの会社を保有しているもよう。
しかしロータス・エンジニアリング部門を運営し、社内外のエンジニアリングおよび開発業務を請け負っているのでロータス・テクノロジーとは”業務上”無関係ではなく、また、イギリス国内にあるスポーツカー製造工場もこの会社が管理しています。
なぜロータスが自社の一部を買収するのか?
今回行われたのは、ロータス・テクノロジーがロータス・アドバンスド・テクノロジーズの株式の過半数を吉利から買い取るという取引です。
しかし、これでロータスが独立するわけではなく、なぜならロータス・テクノロジー自体も吉利が過半数を所有しているからで、つまり、吉利がロータスを通じて別のロータスを所有し続けるという構図になります(吉利が管理していたロータス・アドバンスド・テクノロジーズが、ロータス・テクノロジーによって管理されることになるが、ロータス・テクノロジーそのものは吉利によって管理されている)。
この再編によって、車両開発・製造・エンジニアリングといった部門がひとつの企業体に統合されることとなり、目的としてはロータスブランドの内部統合と効率化が狙われているのだと考えられ、実際にロータスCEOのフェン・チンフェン氏は、この買収について「ブランド全体の統合を進め、企業価値を高めるため」とコメントしています。
消費者への影響は?
今回の企業再編はあくまで内部の話であって、ディーラーや顧客が目にする商品ラインナップなどに大きな変化はないと見られており、むしろ部門間の連携がスムーズになることで、今後の製品開発がより迅速・効率的になる可能性が高いのでは、と考えられているようですね。
まとめ:ロータス再編は未来への布石
- ロータスが自社の一部を買収したのは内部統合の一環
- 所有構造の変更はあったが、吉利が引き続き大株主であることに変わりなし
- 消費者にとっての大きな変化は今のところなし
- 今後の製品・技術開発にはプラスの影響が期待される
ロータスの今後の動向に、引き続き注目していきましょう。
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