
| 高性能ブレーキシステムは安全なドライブに不可欠である |
しかし必ずしも「高性能=最適」とは限らない
ブレーキはタイヤと並ぶ“命を守る”パーツ。
しかし「高性能=(レーシングカーに採用されるような)ドリルド&スリット=最強」…という認識は、必ずしも正解ではなく、重要なのは、自分のクルマの使い方やシーンに合ったブレーキを選ぶこと。
今回YouTubeへとドリルド・スリット・ベンチレーテッドローターの違い、そしてそれぞれのメリット・デメリットを分かりやすく解説した動画が公開されており、その内容をダイジェストにてお届けしたいと思います。
ベンチレーテッド(通気式)ローターとは
「ベンチレーテッドローター」は、ディスクの内側に空気の通り道(ベーン)を設けた構造で、ブレーキング時に発生する熱を効率よく放出することが可能であり、その特徴としては以下の通り。※以下にて説明する、ドリル加工やスリットと組み合わせられることもある
- メリット:冷却性能が高く、フェード(熱による制動力低下)を防ぐ
- デメリット:構造が複雑なぶん、重くなりやすい
ベンチレーテッドローターに向いているユーザー:
- 山道やワインディングをよく走る人
- サーキット走行も視野に入れたスポーツ走行ユーザー
ドリルド(穴あき)ローターとは?
ディスクに複数の穴を開けてあるタイプが「ドリルドローター」。
かつてはブレーキパッドから発生するガスを逃がすために開発され、以下の特徴を持っていますが、現代のブレーキパッドはガスの発生が少ないため、ドリルドローターの利点は少し薄れてきています。※下で説明する「スリット」と併用されることもある
- メリット:冷却性・排ガス性に優れ、見た目もスポーティ
- デメリット:クラック(亀裂)発生のリスクが高い
ドリルドローターが向いているユーザー:
- 見た目重視のカスタム派
- スポーツ走行は“たまに”なストリートカー
スリット(溝入り)ローターとは?
「スリットローター」は、ディスク面に斜めの溝(スリット)が入っているタイプで、これによりブレーキパッドの摩耗粉や水・ガスを排出でき、ローターを常にフレッシュに保てるというメリットも。
反面、以下のようなデメリットも存在し、「レーシングカーでは定番」定番ではあるものの、通勤や街乗り中心の車両にはややオーバースペックかもしれません。
- メリット:連続ブレーキでも安定した制動力を維持
- デメリット:パッドの摩耗が早いことがある
スリット入りローターが向いているユーザー:
- ハードブレーキングを多用するユーザー
- 本格的にスポーツ走行を楽しむ人
結局どれを選べばいい?|使用シーン別おすすめブレーキローター早見表
ドリルド、スロット、ベンチレーテッド。それぞれにメリットとリスクがあり、しかし最も大切なのは、「自分の使用環境に合った仕様を選ぶこと」。
ブレーキは命を守る最後の砦でもあり、だからこそ「なんとなく」ではなく、「正しく」選ぶことが重要であると思われます(ハイスペックなものが必ずしもいいとは限らない)。
使用目的 | おすすめローター | 理由 |
---|---|---|
街乗りメイン | ベンチレーテッド(ノーマル) | コストと耐久性のバランスが◎ |
ワインディング・峠道 | ベンチ+軽いスリット | 放熱性能を確保しつつ、摩耗は控えめ |
サーキット | ベンチ+深いスリット | ハードな条件でも安定した制動力 |
ドレスアップ | ドリルド | 見た目がスポーティ&軽量感 |
ドリフト・競技用 | スリット(高耐久パッドと併用) | ブレーキダスト排出と反応性を重視 |
ブレーキローターの種類、選び方を解説する動画はこちら
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