
| アウディデザインが「過去をなぞらない未来」へ一歩踏み出す |
2028年までは前任者のデザインをまとう製品が送り出され、しかしそれと並行し「新世代アウディ」が登場することに
さて、アウディは「A5」「A6」そして先日発表されたばかりの「Q3」にて新しいデザイン言語を採用していますが、これは前デザイン責任者、マーク・リヒテ氏の指揮下によって生まれたもの。
ただし2024年にはアウディのデザイン責任者がマーク・リヒテ氏からマッシモ・フラスケラ氏へと交代しており、そこでいよいよ自身初となるコンセプトカーを披露することが明らかになっています。
マッシモ・フラスケラ氏は、それまでジャガー・ランドローバーのデザイン部門トップを務め、現行ランドローバー・ディフェンダーなどを手がけた人物ですが、今回のコンセプトカーは、単なるショーモデルではなく市販化を前提にした初の作品となり、この新しいデザイン言語は今後の市販車に順次採用されてゆくことにも言及され、アウディのデザイン言語がここから大きく変わるであろうことを予感させます。
Image:Landrover
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今後、アウディのコンセプトカーは「すべて市販化を前提」に
アウディのCEO、ゲルノット・デルナー氏がイギリスの自動車メディア、Autocarに語ったところによると次の通り。
「もはや“スタディモデル”は発表しない。今後アウディが公開するすべてのコンセプトカーは、実際に市販するモデルと直結したものとなる」
このコンセプトについて車種やボディ形状は明かされていませんが、ゲルノット・デルナー氏によれば、
- 「アウディデザインの強みを未来に向けて昇華する、大胆な一歩」
- 「過去の焼き直しではなく、新たな明快さを持つ表現になる」
と語られており、従来のアウディ像を覆すデザインが登場する可能性もありそうです。
10年間アウディを率いたマーク・リヒテ氏とは
前任のデザイン責任者であったマーク・リヒテ氏は、10年にわたってアウディのデザインを統括し、28年にわたりフォルクスワーゲングループで150台以上の車両に関与してきた大ベテラン。
代表作には:
- 市販車:e-tron GT(現行アウディで最も美しいとの声も)
- コンセプト:Grandsphere、Activesphere、Urbanspereなど「(斬新なビジョン提示)
などがあり、その功績は今後数年(おそらく2028年頃)まで新車として反映され続ける見込みです。※すでにデザイン済みで、そのデザインを用いて販売する計画が進められている市販車があるため
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マッシモ・フラスケラ氏に期待される役割とは
そして現アウディのデザイン責任者、マッシモ・フラスケラ氏はいまのところアウディから何らかの作品を発表したわけではありませんが、2011年にジャガー・ランドローバーに加わり、両ブランドのデザインを統括する重要な役割を担ってきた人物。
業界内では「AutomotiveNews Rising Star」や「Eurostar Awards」などの表彰対象となったこともある実力派で、そのデザイン哲学の根底にあるのは「シンプルさ」だとされ、余計な装飾を排したデザインの創造に情熱を注ぐこと、そして単なるトレンドに追随するのではなく、時代を超えた洗練されたデザインを重視していることでも知られます。
参考までに、ジャガー・ランドローバーにてデザインを担当したモデルは以下の通り。
- ランドローバー・ディフェンダー (新型)
- レンジローバー (新型)
- ディスカバリー・ビジョン・コンセプト (2014年)
- ディスカバリー・スポーツ (2014年)
- ディスカバリー (2016年)
- ヴェラール (2017年)
- イヴォーク (2019年)
これらのモデルを通じ、彼はランドローバーの「感情的な繋がり」というデザイン哲学を具現化し、都市の建築物とも調和するようなデザインを目指していますが、過去のモデルのイメージを継承しつつも洗練されたデザインに仕上げる手法が高く評価されています。
とくにランドローバーでは「モダンラグジュアリー」への転換を成功させた立役者だとされ、アウディにおいても同様の役割が期待されての移籍なのかもしれません。
参考までに、アウディは新型A5/A6にて「10年間も採用し続けた」フェイクテールパイプ(下の画像)を廃止していますが、もしかするとこれはマッシモ・フラスケラ氏の意向なのかもしれず、だとするとこれは同氏による意思表示であると考えることも可能です。
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まとめ:アウディのデザインに“ランドローバー・スピリット”が注入される?
- ランドローバー・ディフェンダーのデザイナーがアウディへ
- 初の市販前提コンセプトを近日公開予定
- 「過去をなぞらず、未来のアウディ像を切り開く」と明言
- 従来のコンセプトカーとは一線を画す“本気”のビジョン
フラスケラ氏のデザイン哲学は、SUV的なタフさとミニマリズムの融合が特徴。
それがアウディの電動化ビジョンとどう交差するのか、今後の新世代アウディに注目したいところですね。
Image:Landrover
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参照:Autocar