
| あの「ポルシェ904カレラGTS」が現代に蘇る |
ポルシェ904とは? ― 黄金期を象徴するレーシング・アイコン
1960年代、ポルシェは軽量かつ美しいレーシングスポーツをいくつか世に送り出していますが、その代表格が「カレラGTS」、通称ポルシェ904。
1964年から1965年にかけてわずか106台が生産され、ホモロゲーションモデルとして公道走行も可能でありながら、レース直系の性能を誇る存在としても知られています。
美しい曲線とミッドシップレイアウトを持ち、その希少性、そして美しさから今なお世界のコレクターの高い人気を集めている一台でもありますね。
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蘭スタートアップが挑む「現代版904」プロジェクト
それから約60年後、オランダの新興メーカー(コーチビルダー)Aerfal Automotive が、この伝説を現代に蘇らせようとしており、彼らが手掛けるのはクラシックなデザインと現代のエンジニアリングを融合させた“レストモッド版904”。
デザインはフランス人デザイナー 、アラン・デロジエ(Alan Derosier)氏が担当し、彼はランチア・ストラトスを想起させるスーパーカー「Kiska APG-1」や、ダカールラリー対応の「Marc Philipp Gemballa Marsien」などを手掛けた人物なので、まず「間違いないもの」が実現しそう。
さらに、3DモデリングはCGアーティストのアントニ・ブリコ゚(Antoine Brigot)氏が担当しています。
シャシーは「914」、だが大幅強化
本物の904シャシーを使うのはコスト的に非現実的で、そのためAerfalはポルシェとフォルクスワーゲンが共同開発した914をベースとすることを決断。
1969〜1974年に約12万台が生産されたこのモデルなら入手性も高く、現代版904の土台として理想的というわけですね。
しかしこのポルシェ904レストモッド「AE94」は単なる「リボディ」的カスタムカーではなく、シャシーはフォードGTやマスタングGTDなどを製造するマルチマチック(Multimatic)社によって補強され、サスペンションはポルシェ専門チューナーのタットヒル(Tuthill)が担当。
さらにブレーキはブレンボ、タイヤはミシュラン、ホイールはBBSと、世界的サプライヤーが名を連ねます。
エンジンは「伝説のフラット8」を復活
そしてこのAE94においてもっとも注目すべきはパワートレイン。
Aerfalは、オリジナル904が搭載していた伝説の空冷フラット8エンジンを現代に再現すると主張しており、かつ2.0リッターから4.0リッターへ排気量を拡大し、自然吸気で400馬力を目指すとのこと。
開発にはCosworthが関与しているとも噂され、レーシングカー譲りのサウンドとレスポンスが期待されます。
「数字を追い求めるのではなく、ドライバーをポルシェの原初的なレーシングDNAへと直結させる、キャラクター豊かなエンジンを作ることが目的だ」
Aerfal創業者 ダニエル・ロブレド
内外装デザイン ― クラシックとモダンの融合
エクステリアはオリジナル904の流麗なプロポーションを忠実に再現しつつ、LEDライトや新設計の冷却インテークなど現代的な要素をプラス。
ドアはルーフの一部と共に開閉する仕組みとなり、乗降性も改善されています。
インテリア(まだ画像が公開されていない)ではレトロなメーター、シンプルなダッシュボードに加え、レザーとチタン素材を組み合わせ、クラシックとモダンを巧みに融合したデザインが採用されるようですね。
今後の展開 ― まずはプロトタイプから
現時点では、この「現代版904」はデジタルレンダリングのみの存在にとどまり、今後プロトタイプが製作され、予約受付が開始される予定だそうですが、価格や生産台数、納車時期は未公表ながら、すでに世界中のポルシェファンから大きな注目を集めているという状態。
1960年代のレーシングスピリットを21世紀のテクノロジーで蘇らせるAerfalの挑戦は、ポルシェ904という“忘れられたフラット8”の物語に新たな章を刻むことになりそうです。
そしてこのAE94は高い芸術性を誇りつつ、「ガレージに保管しておく」よりも、「自分で運転したくなる」レストモッドなのかもしれません。
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