
| これだけ素晴らしいクルマであるにもかかわらず人気が出ないのは「もったいない」 |
前ステランティスCEOが指摘した通り「プロモーション」さえ適切であればもっと売れるはずである
さて、マセラティのイベント「Maserati Special Test Drive in OSAKA」へ。
これは文字通りマセラティの試乗イベントであり、その舞台はキャノピーbyヒルトン大阪梅田です。
この「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」は、ヒルトンのライフスタイルホテルブランド「キャノピー by ヒルトン」の日本初上陸となるホテルであり、グラングリーン大阪の一部として2024年9月6日に開業しています(いわゆるブティックホテル)。
キャノピーbyヒルトン大阪梅田はこんなホテル
客室は全308室(スイートルーム、コネクティングルーム含む)で、13階~25階に位置し、緑豊かなうめきた公園や淀川を一望できる部屋もありますが、今回向かうのは(客室ではなく)10階。
ちなみに駐車場は1時間600円と比較的安価ですが「19台」しかスペースがなく、これは宿泊客や利用者が「自家用車では来ない」という想定なのだと思われます。
参考までに、このグラングリーン大阪は最近オープンした施設の割に駐車場が大きくはなく、「北館」で66台、「南館」でも165台にとどまるのですが、これは先にオープンしている「グランフロント大阪」の駐車場利用状況を調査し判断した結果なのかもしれません(かなり少ないように思われるが、それでも十分という判断なのだろう)。
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試乗車は「マセラティ グランカブリオ トロフェオ」
そして今回用意してもらった試乗車は「グランカブリオ トロフェオ」。
これは4シーターオープンカー(カブリオレ)で、その最大の魅力は、「圧倒的なパワーとオープンカーの爽快感の融合」、そしてマセラティらしいエレガントなスタイルとスポーティーな走りを両立させている点にあり、主な特徴は以下の通り。
- スタイルと構造:エレガントな4シーター・カブリオレ:。美しいデザインを持つグラントゥーリズモ(GranTurismo)のオープンモデルで4名乗車が可能
- ソフトトップ(幌):軽量化やスタイリングの観点からソフトトップが採用されており、開閉時のスタイリングへの影響を最小限に。ソフトトップは高い静粛性を誇る
- パフォーマンス:オープンカーでありながら、高い剛性を確保しており、ルーフを開けた状態でもカチッとした走行フィーリングが感じられる
- インテリアと快適性:インテリアには上質なレザーやカーボンなどの素材がふんだんに使用され、高級感あふれる空間に。さらにはオープンモデルとしての快適性を考慮し風の巻き込みが少ない設計を持つ
- スペック:ネットゥーノV6は550馬力を発生、0-100km/h加速は3.6秒、最高速度は316km/h、駆動方式は4WD(AWD)
- 価格:グランカブリオの価格は2363万円、クランカブリオ「トロフェオ」だと2915万円
まとめると、マセラティ グランカブリオは単なる高性能スポーツカーではなく、優雅な雰囲気の中で特別なサウンドと解放感を楽しみながら長距離移動も快適にこなせるという「大人のためのラグジュアリー・オープンカー」という存在です。
マセラティは近年「販売不振」に悩まされるが
なお、現在マセラティは販売不振が伝えられるものの、ぼくとしてはその理由は「価格」が主なものと考えており、そしてグラントゥーリズモやグランカブリオが登場したときの価格設定は確かに「割高」。
ただしこの1-2年でハイパフォーマンスカーを取り巻く環境は大きく変わっていて、ポルシェでは911カレラGTSが登場し、ランボルギーニではテメラリオが発売、そしてフェラーリではアマルフィが追加されており、それらの価格は先代に相当するモデルから「大幅に」上昇しています。
そういった環境下においてマセラティ各モデルの価格が相対的に「下がる」こととなり、つまるところ割安感が生じつつある状況だと認識していますが、そういった環境も手伝ってマセラティの販売が上向いてくるのではないかとも考えています。
マセラティ グランカブリオ トロフェオに試乗してみる
そこでグランカブリオ トロフェオの試乗ですが、まずはジャーナリストの方とディーラーのセールスの方から説明を受け、その後に実際の試乗開始(ジャーナリスト、セールス同乗での試乗)。
ルートとしてはキャノピー大阪からマセラティ大阪北へ、そしてまたマセラティ大阪北からキャノピー大阪へというコースで、所要時間はおおよそ2時間くらいです。
試乗する車両はこの美しいボディカラーを持つ個体で、全長は4,966ミリ、全幅1,957ミリ、全高1,365ミリ、ホイールベース2,929ミリ、重量は1,895kg(いずれも欧州仕様での数値)。
ちなみにランドクルーザー250の全長は4,925ミリ、全幅1,980ミリ、ホイールベース2,850ミリなので、このグランカブリオは「相当に大きい」クルマということになりますね。
なお、予想外の渋滞によってこのイベント全体のスケジュールが押しており、よって画像や動画を撮影する時間がないままにスタートし、よって今回は「画像少なめ」。※よって一部はグラントゥーリズモの画像を使用
そしてまず往路はジャーナリストによるドライブに「同乗」することになり、説明を聞きながら実際にドライブモードを変更したりしつつ走行してくれたため、車両の特性をよく理解できたと思います(その意味では、まず他の人の運転でそのクルマを体感するのもいい体験である)。
そしてマセラティ北大阪にてドライバーを交代し、今度は自分の運転で「来た道」を戻ることとなるものの、すっかり日が暮れてしまって周囲が真っ暗になってしまい、その中ではじめての、そしてこの大きなクルマを運転するのにはちょっと緊張。
シートやミラーなどをあわせての出発となりますが、ミラー越しの視界にはちょっと不安が残り、よって慎重に走り出します(明るいときの試乗であれば、もう少しリラックスできたのかもしれない)。
助手席に乗るのと自分で運転するのとでは「また異なる」印象も
そしてちょっと走って感じたのは「非常に軽い」フィーリングを持つということ。
助手席に座っていたときにはどちらかというと「重厚で安定している」といった感覚があったものの、自分でステアリングホイールを握ると非常に軽いクルマであるかのように感じられ、このあたりは「最新のクルマ(そのサイズや重量を感じさせない)」らしい味付けだと思います。
ステアリングホイールの重さ、ペダルのタッチは「軽くもなく、重くもなく」ちょうどいい反応を示しており、同時に高い剛性を感じるという印象(ペダルの剛性感はけっこう重要)。
シートの座り心地もよく、運転環境としては非常に優れ、走り出してしまうとクルマの大きさや重量がまったく気にならなくなってしまうといった印象です。
ドライブモードはCOMFORT/GT/SPORT/CORSAが備わり、ぼくが試したのは「COMFORT/GT/SPORT」まで。
いずれのモードであっても車両のマナーが非常に良く、ピッチとロールが高いレベルで抑え込まれており(これは驚くべきレベルである)、ドライブモードをCOMFORTからGT、そこからSPORTへと上げていっても「快適さを損なわず」動きがより機敏になるといった印象で、あくまでも「GTカー」としての節度を保っているのも印象的(もとよりスーパースポーツの領域には踏み込もうとしていない)。
ステアリングホイールのセンターは安定し、しかし過剰にナーバスではなく、ブレーキとともに自然な反応を示すために安心して操作でき、特にブレーキは多少ラフな操作であっても「カックン」的な反応を示さずマイルドに減速するという設定を持っており、「誰もが安心して、どんな環境でも安定して走らせることができる」クルマだと思います。
そしておそらく、マセラティはグランカブリオにおいてこの「安定性」をかなり強く意識したのだと思われ、その根拠となるのが「全車AWD」を採用したという事実であり、つまりマセラティは「如何なる条件でも、ドライバー含む乗員に負担をかけない」ことを目指したんじゃないかと考えているわけですね。
あいにく高速道路は渋滞続きではあったものの、その環境でもギクシャクせず(これはZF製の8速ATによるところが大きい)、精神的にも肉体的にも疲労を感じなかったのは特筆すべき点であり、「マセラティもこんなに快適なクルマを作れるようになったのか・・・」とただただ驚かされるばかり。
一方で「SPORT」モードだとエキゾーストサウンドが強調され、さらにはシートを通じ腰のあたりにネットゥーノV6の鼓動を感じることができるのですが、この「振動」すらも計算されているのだとしたら「脱帽」です。
ちなみにマセラティはフェイクサウンドを使用しておらず、その「(BMWやメルセデス・ベンツのように)強調されていない」サウンドがむしろ”本物っぽさ”を感じさせるのも好印象。
なお、「4座オープン」という開口部の大きなクルマであるにもかかわらず、ボディは頑強そのもので、ヨレる気配は全くなく、試乗を通じて「(過去のマセラティを何台か運転していた経験があるだけに)驚いたな」というのが偽らざる感想です。
先代グランカブリオとは異なれど「イタリアン」な魂は健在
つまるところ、このグランカブリオは、先代のグランカブリオとは全く異なるクルマであり、先代が「どっしりと重厚、内燃機関らしい”盛り上がり”を持つエンジンを持ち、刺激と野性味あふれるキャラクター、そしてかつてのイタリア車っぽい、ちょっとルーズな部分があった」のに対し、新型グランカブリオは「安定しつつ軽快、どの速度域でも同じ挙動を示し、安心して緊張せず走ることができ、快適で疲れない」、さらには「一枚岩のようなボディ剛性、それに担保された正確なステアリングフィールとブレーキのタッチ」を持つクルマ。
先代が「野性味あふれる荒馬」だとすれば、現行グランカブリオは「知的な駿馬」といった印象で、「紳士的」と言い換えてもいいかもしれません。
そう聞くと「なんだマセラティもドイツ車に近づいたのか」と思ってしまいがちですが、グランカブリオがドイツ車、とくにジャーマンスリーの4座クーペやオープンと決定的に異なるのは「体にフィットする、上質な生地を使用した仕立ての良いスーツ」のように感じられ、袖を通した(ドライバーズシートに座った)瞬間からぴったり馴染み、どう動いても生地が身体についてきて違和感を感じないこと。
一方ドイツ勢は「どこか神経質であったり、どこかが誇張されていたり」して「ゴワつく服」のように違和感を感じる場面があるのですが、グランカブリオではそれがない、ということですね。
このあたり、化学繊維ではなく「天然素材を使用し、素材の良さを活かした」イタリアンファッションの真髄にも近いところがあるかもしれませんが、とにかく驚かされたのがこのマセラティ・グランカブリオ。
ちなみにですが、ぼくはずっとグラントゥーリズモ、そしてグランカブリオの外装デザインについては(先代のとんでもなくセクシーなラインに比較して)「刺激が足りない」と感じていたものの、今回試乗して「クルマと外装、内装のデザイン」がぴったりマッチしているという印象を抱くに至り、つまり「このキャラクターにして、この外観」が正解であったのだというように考えを改めることに。
推測するに、マセラティはこのクルマの「乗り味」と「デザイン」から受ける感覚を一致させたんじゃないかとも考えているのですが、こんな芸当ができるのは「イタリア車だけ」かもしれません。
結論:マセラティ・グランカブリオは「買い」なのか
そしてこのマセラティ・グランカブリオが「買いかどうか」と聞かれると、ぼく的アンサーは「買い」。
ただ、無条件に「買い」というわけではなく、(お金が余っているのでなければ)「中古を狙うべき」。
以下に優れたクルマを作るようになったと言えど、まだまだマセラティの良さは知られておらず(もったいない)、そして中古市場もかつてのマセラティのイメージに引っ張られたままなのか「低空飛行」。
よって新車で購入すると売却時にかなり辛いことになるものと思われ、よって中古(デモカー落ちがベター)だと考えているわけですね。
幸か不幸か、マセラティは「新車登録した直後」に大きく値を下げる傾向にあり、しかしその後は「そこからさほど下がらない」傾向も。
特にオープンモデルはこのトレンドが強く現れ、よって「ガクンと値が落ちた高年式のグランカブリオ」が最適解なんじゃないかと考えているわけですが、現時点ではほとんどグランカブリオが中古市場に出回っていないことが最大の課題なのかもしれません。
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