
Image:NISSAN
| 意外と知らない「ヘッドレスト」の正しい使い方 |
この記事のポイント
- ヘッドレストは「安全装置」:正式名称は「ヘッドレストライント」。追突時のむち打ちを防ぐためのもの
- 絶対にやってはいけないNG行為:快適さのために「外す」「逆向きにする」のは、衝突時のリスクを激増させる
- 正しい調整の基準は「耳」:内部の金属フレームが「耳の最上部」と同じ高さになるよう調整するのが鉄則
その「枕」、正しく使えていますか?
ドライブ中や信号待ちでふと頭を預けるヘッドレスト。
「もっと柔らかければいいのに」「髪型が崩れるから邪魔だな」と感じたことがあるかもしれません。
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実は、多くのドライバーがヘッドレストを「快適のための枕」と勘違いしているといい、しかし日産のシート技術者であるジャスティン・サモンズ氏は、これが「シートの安全構造において最も重要な部品の一つである」と断言しています。
ここでは、自分たちの命を守るために知っておくべき「ヘッドレストの真実」を見てみましょう。
なぜヘッドレストが「命の守り神」なのか
追突事故が発生したとき、クルマは猛烈な勢いで前方へ押し出されます。
このとき、シートに座っている乗員の体は慣性の法則でその場に留まろうとしますが、頭だけが激しく後ろに弾かれ、その後に前へと跳ね返ることとなり、これが「むち打ち(頚椎捻挫)」の原因です。
ヘッドレストは、この「頭の激しい前後運動」を野球のキャッチャーミットのように受け止めるために設計されています。
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「逆向き」や「取り外し」が絶対NGな理由
「圧迫感があるから」とヘッドレストを前後逆に取り付けたり、完全に取り外したりする人がいますが、サモンズ氏はこれを「非常に危険な行為」と警告し、なぜなら「ヘッドレストの角度は、衝撃を受けた際にシート全体がしなり、頭を最適に受け止めるよう緻密に計算されているから」。
逆向きにするとその機能が失われるだけでなく、逆に頭を突っつくような形になり、怪我を悪化させる恐れがあるわけですね。
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「金属フレーム」の位置を意識する
ヘッドレストは表面のクッションだけでなく、中に「金属製のフレーム」が入るという構造を持っています。
このフレームこそが頭の衝撃を支える骨組みで、調整の際はクッションの感触ではなく、中の硬いフレームがどこにあるかをまず確認する必要がある、と説明されています。
正しいヘッドレストの調整ガイド
そこで自分や家族の身長に合わせて、以下のポイントで調整を確認するのがベターだとされています。
ヘッドレスト調整のスペック・チェックリスト
| 項目 | 正しい調整の目安 |
| 高さの基準 | ヘッドレスト内の金属フレームが、「耳の最上部」と同じ高さになるようにする |
| 前後間隔 | 後頭部とヘッドレストの間は、指2〜3本分(数センチ)程度に収めるのが理想 |
| 装着向き | 必ず正規の向き(前傾している側が頭の方)で装着する |
| 対象座席 | 運転席だけでなく、助手席や後部座席の同乗者も同様に調整が必要 |
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結論:一度合わせれば、それは「最強の保険」になる
ヘッドレストは一度正しくセットしてしまえばその後頻繁に動かす必要はなく、しかしそのわずか数センチの調整が万が一の事故の際に「一生残る後遺症」を防いでくれることに。
アメリカでは1991年から全車にヘッドレストの装備が義務付けられていますが、その性能は年々進化しているといい、最新のシート工学を味方につけるためにも、次に車に乗るときは、ぜひ「耳の高さ」を確認するといいのかもしれませんね(正直、ぼくは気にしたことはなかったが、今後注意してみようと思う)。
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参考:「アクティブヘッドレスト」
最近のクルマには追突された瞬間にヘッドレストが自動的に前方へせり出し、頭との隙間を埋める「アクティブヘッドレスト」という機能が備わっているものも。
これもすべては「いかに早く頭を受け止めるか」という研究から生まれた技術であり、「地味ではあるものの」着実に進化しているのがこのヘッドレストということになりそうですね。
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参照:Jalopnik
















