
| BMWはこれまでにも革新的なシートの特許申請を行ったことがある(ただし実現していない) |
この記事の要約
- 新発想のサポート: ヘッドレストと背もたれの「隙間」を埋める専用ネックレストを新設
- スマホ首対策: 前後・上下に細かく調整可能で、現代人の崩れた姿勢を理想的にサポート
- むち打ちを激減: 追突時に首への衝撃を吸収する「オーバーロード保護装置」を搭載
- 再利用可能: 衝撃吸収後もリセットして使い続けられる、お財布にも優しい設計
BMWの新しい特許は全ドライバー待望の救世主
CarBuzzが報じたところによると、BMWが「ドライバーの首を物理的に支え、守る」ための革新的なシートデザインを特許として出願しており、これによって「長距離ドライブで首や肩がバキバキになるあの苦痛」からついにドライバーが解放される日が来るかもしれないとして話題に。
ヘッドレストと背もたれの「あの隙間」を埋める魔法
現代のクルマのシートは人間工学に基づいて進化していますが、実はヘッドレストと背もたれの間には大きな「空白地帯」が存在します。
BMWが考案した新機構は、この隙間に可動式の「ネックサポート」を配置するもので、このデバイスには驚くほど緻密な調整機能が備わっており・・・。
- 3D調整機能: 上下スライドだけでなく、手前や奥への突き出し量も調整可能
- 現代人への配慮: 長時間のデスクワークやスマホ操作で「ストレートネック」気味の人でも、個々の体型に合わせて最適な位置で首をホールドできる
なお、中国車を中心として、そして中国市場を狙ったクルマにはこの部分に「枕」を取り付ける例が多々見られますが(下の画像)、今回の特許は単に「枕を置く」のとは訳が異なり、BMWのパフォーマンスをフルに引き出す激しいコーナリング中でも”首を常に正しい位置に保ってくれる”という、スポーツ走行にまでも対応するという内容です。
Image:Mercedes-Benz
参考までに、BMWはけっこうシートには「こだわり」があるようで、ちょっと前にも「画期的なシート構造」を発表しているほか、「シートに発光するバッジを埋め込む」のもBMWがはじめてなんじゃないかと認識。
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さらにはZ4のシートが「もっとも快適なシート」に選出されるなど、「シートに関しては一家言ある」のがBMWというわけですね。
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Image:BMW
安全性と市場での立ち位置:ボルボの牙城を崩せるか?
ただ、この特許の真価は、単なる「快適さ」ではなく「安全性」にあり、追突事故(リアエンド衝突)の際、現代のヘッドレストは頭部をしっかり受け止めるものの、首部分は宙に浮いた状態になりがちです。
これが「むち打ち」の大きな原因となるのですが、BMWの新シートは、このリスクを科学的に低減させようとしているのが今回の特許ということに。
BMW新型シート・ネックサポートの主な特徴
| 項目 | 特徴・メリット |
| 機構名称 | 調節式ネックサポート(特許名称より) |
| 安全装置 | オーバーロード保護装置(衝撃吸収メカニズム)内蔵 |
| 衝撃への対応 | 追突時に首が沈み込む速度を制御し、脊椎や神経への負荷を軽減 |
| 経済性 | 衝撃吸収後もリセットして再利用が可能(シート丸ごとの交換不要) |
| ライバル比較 | ボルボの「WHIPS」やホンダのアクティブヘッドレストに近いが、より「首の保持」に特化 |
知っておきたい知識:シートの安全は「ボルボ」が切り拓いた
実は、シートによる首の保護において先駆者なのはスウェーデンのボルボ。
1970年にヘッドレストを標準化し、1998年には「WHIPS(後部衝撃吸収リクライニング機構)」を導入したことでも知られます(さらには3点式シートベルトもボルボの発明で、ボルボは自動車業界の安全性向上を目指してこの特許を無償解放している)。
BMWの今回の特許は、ボルボが長年リードしてきた「シートの安全性」という分野に対し、バイエルンの名門が「最高の快適性と調整自由度」を引っさげて真っ向から勝負を挑んだ形と言えそうですね。
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結論:このシートが「BMWを選びたくなる理由」になる
特許が出されたからといって、すぐに全てのBMWに搭載されるわけではありませんが、しかし、この「ネックレスト」が実用化されれば、高級車やスポーツカー選びの基準が変わる可能性があります。
「スマホ首」や「長距離移動の疲れ」は、現代のドライバーにとって切実な悩みでもあり、BMWが提案するこの解決策は、単なるスペック競争を超え、ぼくらの「健康」と「安全」に直結する素晴らしい発明となるのかも。
「走りの楽しさ」だけでなく、「降りた後の体の軽さ」までデザインする。そんなBMWの新しい時代に期待が高まりますね。
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参照:CARBUZZ

















