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なぜBMWだけが「EV好調」?iX3の発売で勢いづくBMWが掲げる「2030年までにEV販売50%」への壮大な挑戦と現実とは

BMW iX3「ノイエクラッセ」の公式画像~フロント / 走行中

Image:BMW

| 今からわずか4年でガソリン車の販売にEVが並ぶか |

この記事の要約(ハイライト)

  • 2030年の野心的目標: BMW、MINI、ロールスロイスの3ブランド合計でEV販売比率50%を目指す
  • 過去最大の投資: 100億ユーロ以上を投じた次世代プラットフォーム「ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)」が始動
  • 新型車の猛攻: 新型iX3は受注5万台超え。今週発表のi3セダンに加え、i1やi2といった廉価モデルも計画中
  • 現実的な多角化戦略: 他社がEV一本化に苦戦し撤回する中、BMWはガソリン・ディーゼル車の継続も明言する「二段構え」を維持
BMWの2026年年次カンファレンスにて、BMW iX3のフロント
BMWが年次カンファレンスを開催。そこで描かれた「未来予想図」、そして次世代EV「ノイエクラッセ」によって進められる自動車業界の覇権奪取戦略とは

Image:BMW | すでに証明された通り、BMWは優れた戦略を採用する自動車メーカーである | その柔軟性、超高級セグメント、プレミアムカーセグメント、スポーツセグメントにおいてライバルを圧倒する ...

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EVシフトの「勝ち筋」はBMWが握っているのか?

多くの自動車メーカーが「2030年までに完全電動化」を掲げては撤回する混乱の中、BMWは極めて冷静、かつ大胆な戦略を採用しています。

2026年3月、BMWグループは決算を発表した後に「2030年までにEVとエンジン車の販売比率を同等(50:50)にする」という戦略目標を改めて強調しており、しかし昨年のEV販売比率が17.9%であったこと、そしてメルセデス・ベンツやポルシェなど同郷のプレミアムカーメーカーがEVの販売に苦しんでいることを考えると、あと4年弱でこれを50%まで引き上げるのは「崖を登る」ような困難が待ち受けるものと予想されます。

しかしBMWには「大きな勝算」があると目されており、その鍵を握るのが同社史上最大の投資プロジェクト「ノイエ・クラッセ」というわけですね。

BMW iX3のリヤビュー(ブルー)

Image:BMW


100億ユーロの投資が生む「次世代の走り」

このノイエクラッセにおいて、BMWは単にエンジンをエレクトリックモーターへと載せ替えたり、デザインを「今っぽく」するという手法ではなく、クルマそのものを再定義しようとしています。

100億ユーロ(約1.6兆円)を超えるとされる投資は、新型iDrive車両制御システム「ハート・オブ・ジョイ」、そして次世代バッテリーの開発、さらにハンガリー・デブレツェンの新工場建設やライン整備へと注ぎ込まれ、何から何まで「新しい」設計と考え方を持って作られるのがこのノイエクラッセという一連のシリーズです。

【BMWが示す圧倒的安定感】2025年上半期の好調な販売実績を報告、ノイエクラッセへの投資と電動化戦略にも言及
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車種ステータス / 登場時期特徴
新型 iX32026年モデル(受注開始)すでに5万台以上の受注を獲得した主力SUV。
i3 セダン今週発表ノイエ・クラッセの本命とされる電動セダン。
iX52026年後半予定航続距離とパワーを両立した大型SUV。
iX7 / i1 / i22027年〜2020年代末フラッグシップからエントリーモデルまで網羅。
BMW iX3のフロント(ブルー)

Image:BMW

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BMWが「エンジン車」を捨てない本当の理由

BMWの戦略が(アグレッシブなEV販売計画にもかかわらず)ユニークなのは、EVを強力に推進しながらも「ガソリン・ディーゼル車の開発を止めない」と明言している点。

  • グローバルな視点: 欧州ではEVシェアが約20%に達しているものの、米国では約8%、その他の地域ではさらに低いのが現状です
  • リスク管理: 市場のボラティリティ(変動)に対応するため、一つのパワートレインに固執しない「テクノロジー・オープン(技術開放)」の姿勢を貫いている

これは、EV需要の伸び悩みに直面して右往左往する競合他社に対し、極めて現実的で強固なビジネスモデルであると考えられます。

トヨタ
【EV一辺倒の誤算】トヨタとBMWが自動車業界全体を“出し抜いた”理由:マルチパス戦略が示した現実的な未来

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2030年、BMWは「電動化のリーダー」になれるか

BMW iX3「ノイエクラッセ」の公式画像~フロント グリル

Image:BMW

参考までに、2025年には17.9%まで着実に成長してきたEV比率ではあるものの、2021年にわずか4.1%て。

つまるところ「50%」という数字は非常に高いハードルではありますが、新型iX3の好調な滑り出しや、今後投入されるi1、i2といった普及価格帯のモデルがこの目標達成の命運を握っており、プレミアムブランドといえど「比較的求めやすい」価格帯のEVを中心に展開することも注目すべき点だと思います。

なお、BMWは注釈として「外部要因による変動の可能性」を認めていますが、彼らが「駆けぬける歓び」を電気の世界でも証明できれば、2030年の景色は今とは全く異なるものになっているのかもしれません。

そして現代における「外部要因による変動の可能性」につき、これはけして「弱気な」わけではなく、むしろ「目標の必達にこだわるあまり、様々な状況を冷静に判断できなくなって大きな損失を出すよりも、目標そのものを柔軟に変更することで、その時代にマッチした最適な手段を採用しつつ利益を確保してゆく」という確実かつ現実的な姿勢を示しており、これが会社にとっても株主にとっても「現代における最適解」なのは容易に理解できるところでもありますね。

BMW iX3「ノイエクラッセ」の公式画像~ヘッドライト

Image:BMW

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「ノイエ・クラッセ」とはドイツ語で「新しいクラス」を意味しますが、元々は1960年代にBMWを倒産の危機から救い、現在のスポーティなブランドイメージを確立した伝説のモデル群の名称です(もともとは正式名称ではなかったが、今回BMWはこれを正式名称として採用している)。

今回BMWがこの名前を冠したこと、そしてノイエクラッセに採用されていた「縦横キドニーグリルを組み合わせたフロントデザイン」を採用したことは、BMWにとってこのEVシフトが「会社を再定義するほどの歴史的転換点」であることを象徴しており、2日後に迫った新型「i3」にも期待がかかります。

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参照:BMW

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