
| オープンカーの理想形「タルガ」に潜む、唯一にして最大の不満とは? |
意外ではあるがフェラーリは常に「快適性」を追求している
「タルガトップ」——1965年にポルシェ911が安全上の理由から世に送り出したこのスタイルは、クーペの剛性とオープンの開放感を両立する理想的なデザインとして愛されてきましたが、このタルガトップには数十年来、ドライバーを悩ませる「ある問題」が存在し続けています。
それは、走行中にキャビンに流れ込む「不快な風の巻き込み(バフェッティング)」で、しかしフェラーリが今回、この問題を物理的に解決する画期的な特許を申請したとして話題となっているわけですね。
この記事の要約
- 「バフェッティング」問題を解消: 低周波のボボボという不快な騒音をカット
- 可動式フラップを採用: リアウィンドウの一部が動き、空気の流れをアクティブに制御
- 空力性能(ドラッグ)の改善: 燃費や最高速に悪影響を与える空気の乱れを抑制
- 次世代モデルへの期待: 最新ハイパーカー「F80」のオープンモデルに採用の噂も

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フェラーリの「アクティブ・リアフラップ」が風を操る
従来のタルガ、あるいはそれに近い構造を持つモデル(フェラーリ 812コンペティツィオーネ Aなど)では、ルーフを開けると(取り外すと)空気がリアガラスに当たって渦を巻き、車内に不快な騒音と振動を引き起こしてしまいます。
今回出願が報じられた特許によると、フェラーリはリアウィンドウ部分に「可動式のフラップ」を設置することを提案しており・・・。
- 作動の仕組み: 速度や状況に応じてフラップが角度を変え、車内に入り込もうとする空気を外へ逃がすか、あるいは車内の乱気流をスムーズに吸い出す
- メリット: メッシュ状のウィンドディフレクター(風除け)に頼ることなく、美しいデザインを保ったまま静粛性と空力効率を劇的に向上させる

車種概要:フェラーリにおけるタルガの歴史と未来
フェラーリはこれまで、限定モデルやスペシャルシリーズでタルガスタイル(アペルタ)を数多く採用してきたという実績があり、フェラーリにとって「オープン」「タルガ」は非常に特別な存在であると定義され、その存在を完璧なものとし、さらに価値を向上させるためにも今回の特許は「必要不可欠」なのかもしれません。
1. 伝統の「アペルタ」ラインナップ
上述の通り、フェラーリにとって「タルガ」は、特別なモデルに与えられるボディ形式です。※「タルガ」そのものはポルシェが考案した形状と呼称なので、フェラーリが「タルガ」という名称を用いることはない
F50の時代であれば「風切音」は取るに足らないものとして一蹴されたのかもしてませんが、現代においては「スーパーカーやハイパーカー」においても快適性は無視できない要素となっており、そしてそのオーナーに「なにひとつ不自由を感じさせてはならない」というフェラーリの姿勢を(今回の特許出願から)感じ取ることができるようにも思います。
- 812コンペティツィオーネ A: V12フロントエンジンの集大成
- ラ・フェラーリ・アペルタ: ハイブリッド・ハイパーカーの頂点。これらはいずれも超高性能モデルではあるが、高速走行時での風の管理は常にエンジニアの課題であった

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2. スペックと技術背景(特許ベース)
今回の新技術が期待される次世代モデル(例:F80 オープン版)の想定スペックは以下の通りで、出願された特許が必ずしも市販モデルに採用されるとは限らないものの、最も採用の可能性が高いのは「F80 アペルタ」かと思われます。
実際のところ、今回の特許はバフェッティング対策も含め、「クローズ」「オープン」という、1台の中に介在する異なるボディ形状であっても「等しい性能を発揮できるよう」考えられた対策だとも認識しており、ハイパフォーマンスモデルに取り入れられるであろう、と考えるのが妥当なのかもしれません。
| 項目 | 特徴・詳細 |
| 制御方式 | アクティブ・エアロダイナミクス(電子制御可動フラップ) |
| 主な目的 | 低周波バフェッティングの抑制、空気抵抗(Cd値)の低減 |
| 採用候補車 | F80 アペルタ(仮称)、次世代V12モデル |
| 技術的ルーツ | F1のDRS(ドラッグ・リダクション・システム)の知見を応用 |
競合比較:ポルシェ 911 タルガ vs フェラーリの新システム
タルガの代名詞であるポルシェ911タルガは、複雑な電動開閉ルーフ機構でファンを魅了しており、しかしポルシェのシステムは「ルーフをどう収納するか」に重きを置いたもの。
対するフェラーリの特許は「開けた後の空気をどう操るか」という走りの質にフォーカスしており、両者の「タルガに対する考え方の相違」が見られるのもの興味深い部分でもありますね。
- ポルシェ: 芸術的なルーフアクションとクラシックなロールバー(樽がバー)の造形美
- フェラーリ: 1km/hでも速く、かつ快適に走るための「空力マジック」。このアプローチの違いは、両メーカーのブランド哲学を色濃く反映している

結論
フェラーリの新しい特許は「快適装備」にとどまらず、それは、オープンモデルが抱えていた「走りの質を犠牲にする」という妥協をエンジニアリングの力で解決しようとする試みです。
この技術が実用化されれば、時速300kmを超える領域でも、隣の乗員と静かに会話を楽しみながら、V12エンジンの咆哮だけを堪能できる。そんな夢のようなドライブが実現するのかもしれず、この特許が、次なる「F80」の派生モデルで現実のものとなるのかどうか、今後の展開に注目したいと思います。
知っておきたい豆知識:なぜ「バフェッティング」は起きるのか?
(タルガトップやオープンモデルでなくとも)高速走行中に窓を少しだけ開けたとき、「ボボボボ」という耳を圧迫するような音が聞こえたことがあるかと思いますが、これは車外を流れる空気と車内の空気が共鳴して起こる現象(ヘルムホルツ共鳴)で、そしてタルガトップは構造上、この現象が起きやすいため、フェラーリのような「空力による」による解決策が待望されていたというわけですね。

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参照:CARBUZZ











