■そのほか自動車関連/ネタなど■

ステランティスが中国リープモーターとの提携を強化し「逆襲」開始。自社の工場を中国へと「解放」、欧州生産にて関税を回避する手助けを行うことに

リープモーターのEV(グリーン)

Image:Leapmotor

| ステランティスは自らの生存と引き換えに既存欧州自動車メーカーに「喧嘩を売る」ことに |

しかし「もっとも賢い」方法であることも間違いない

欧州の大手ステランティス(Stellantis)と中国の新興EVメーカーであるリープモーター(Leapmotor)が、その戦略的提携を「次のステージ」へと引き上げると発表。

これは単なる協力関係の強化ではなく、欧州の伝統的な工場で中国の最先端EV技術を融合させ、テスラや他の中国メーカーに対抗するための「本気の宣戦布告」です。

そしてそれと同時に「(ある意味で)中国新興メーカーの軍門にくだり、既存欧州自動車メーカーに喧嘩を売る」にも近い状況となっており、様々な意見が噴出するものと思われます。

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この記事の要約(まとめ)

  • 欧州での現地生産加速: スペインのサラゴサ工場で、新型オペルC-SUVとリープモーター「B10」の混流生産を検討
  • 「価格破壊」の予感: リープモーターの低コストな部品エコシステムを活用し、欧州製EVの圧倒的な低価格化を目指す
  • マドリード工場をリープへ移管: ヴィヤベルデ工場の所有権を合弁会社(LPMI)に移管し、中国ブランドの「Made in Europe」を確立
  • 驚異のスピード感: 提携からわずか3年足らずで5大陸へ展開。2026年からはスペイン製リープモーター車が誕生する可能性


ステランティスとリープモーターの提携がもたらす「EVの民主化」

これまでは「安価なEV=中国製」という図式が一般的ではありましたが、ステランティスはこの常識を根本から覆そうとしています。

今回の発表の核心は「欧州の伝統的な製造拠点(スペイン)で、中国の効率的な部品サプライチェーンを使い、手の届く価格のEVを作る」という点にあり、これは、EVの普及を妨げている「高価格」という壁を壊し、より多くの人々が電動車を選択できる未来を創るための、自動車業界における歴史的なパラダイムシフトと言えるのかもしれません。

実際のところ、これは「消費者としては」ありがたい内容ではあるものの、自力で「より安価で優れたEVを作ろうとしていた」ほか自動車メーカーに対しては裏切りにも近い行為であり、もしかするとこのステランティスの動きに追従するメーカーが登場する可能性もありそうです。


詳細:提携拡大の3つの柱とスペイン工場の未来

今回の合意には、具体的に以下の3つの大きな動きが含まれていて・・・。

1. サラゴサ工場:オペルとリープモーターの共演

まずは歴史あるサラゴサ(フィゲルエラス)工場に、新型オペルC-SUVのBEVモデル用ラインを追加検討中。

ここにリープモーターの新型C-SUV「B10」を2026年にも導入する計画で、これによってリープモーターB10は「欧州製」となり、関税を課されない状態で欧州市場へと解き放たれるわけですね。

さらに特筆すべきは、新型オペルがリープモーター由来のコンポーネントを使用することであり、これによって欧州ブランドの信頼性と中国流のコスト競争力が融合し、ステランティスも大きな恩恵を被ることになりそうです(ステランティスは市場のいくばくかをリープモーターに明け渡してしまうことになるが、中国のサプライチェーンを手にすることで長期的な競争力を確保できる)。

2. 共同調達による圧倒的なコスト削減

さらには合弁会社「LPMI」を通じ、両社のスケールメリットを活かした共同購買を実施。中国のNEV(新エネルギー車)エコシステムを最大限に活用しつつ、欧州の供給網でレジリエンス(回復力)を高め、新型車の市場投入スピードを劇的に加速させることに。

3. マドリード工場:ブランドの枠を超えた再編

加えてマドリードのヴィヤベルデ工場の所有権をLPMI(リープモーター・インターナショナル)へと移管することを検討するといい、シトロエンC4の生産終了後、リープモーターの新型車を2028年から生産する計画だとされ、これによって「欧州製」の要件を満たした中国ブランド車が誕生し「欧州へのパスポート」を手にするわけですね。


車種概要とスペック・市場での位置付け

今回の提携の鍵を握るリープモーターのモデルとステランティスの戦略モデルの概要は以下の通り。

注目モデルの比較とスペック(予測含む)

項目リープモーター C10 / B10新型オペル C-SUV BEV
位置付けグローバル戦略CセグメントSUVオペルの次世代主力電動SUV
生産拠点スペイン・サラゴサ(2026年〜予定)スペイン・サラゴサ(2028年〜予定)
主な特徴800V高電圧プラットフォーム(一部)リープモーター由来の安価な部品を採用
販売地域欧州、中東、アフリカ、中南米など主に欧州市場
戦略的役割低価格・高機能によるシェア拡大伝統ブランドのEV普及促進

なぜステランティスは「自前」にこだわらないのか?

多くの伝統的メーカーが自社技術の開発に苦戦する中、ステランティスは「中国とうまく付き合うことで自社ブランドの競争力を強化する」という非常に現実的な選択をしたということになり、これは前CEO、カルロス・タバレス氏が残した「正の遺産」とも言っていいのかもしれません。

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  • タイム・イズ・マネー: ゼロから安価なEVプラットフォームを作るには時間がかかりすぎる。すでに成功しているリープモーターの技術を買う(21%の出資)ことで、時間をショートカットすることに成功
  • 関税対策: 中国製EVへの関税が強化される中、欧州国内で生産(Made in Europe)することで政治的なリスクを回避しつつコスト競争力を維持できる

実際のところ、これは何と言っても「理論的に正しい」戦略で、というのも現在フォルクスワーゲンそしてアウディは中国にて(中国のパートナーとともに)安価なEVを製造しているものの、これは「VW」「アウディ」のブランド名を課しているといえども「中国製」なので、欧州へと輸入すれば関税がかかることとなり、しかしステランティスの方法であれば「関税フリー」ということに。

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今回の選択によって、リープモーター名義での安価なEVが欧州へとなだれ込むきっかけを作ってしまったものの、ステランティスはそれと引き換えにリープモーターの技術を手にすることが可能となり、「ブランドは欧州、中身は最先端の中国EV技術」というこのハイブリッドな関係は、消費者にとって「壊れにくく、使いやすく、そして何より安いEV」という、これまで欠けていたピースを埋める存在になりそうです。

ステランティスの現アントニオ・フィローサCEOが語る通り、これは両者にとっての「ウィン・ウィン」であり、同時にテスラや安価な輸入EVに対する最も強力な対抗策となりえます。

2026年、サラゴサ工場からラインオフされる「スペイン製B10」、そしてその後の「コルサ」が欧州の街並みをどう変えるのかを楽しみにしたいところでもありますね。

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参照:Stellantis

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