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メルセデス・ベンツ「時代の先を行き過ぎました。自動運転はまだ早かったようです」。レベル3からの撤退を決めてレベル2++を拡充の方向へ

メルセデス・ベンツのステアリングホイール
Life in the FAST LANE.

BMWも同様の判断を下し「コストの掛かるレベル3から、より安価なレベル2」を充実させる方向へ

正直なところ、自動運転は「それほど消費者が求め、対価を支払うものではない」

量産車として世界で初めて「SAEレベル3」の条件付き自動運転システム「Drive Pilot(ドライブパイロット)」の認可を取得し、自動運転技術の先駆者として業界をリードしてきたメルセデス・ベンツ。

しかし同社は、最新のフラッグシップモデル「Sクラス」において米国向け初期設定からレベル3を見送り、より実用的な高度運転支援システム(ADAS)へと舵を切る判断を下しており、ここではメルセデス・ベンツによる現実的な決断、そして次世代モビリティに向けた新たな自動運転ロードマップについて見てみましょう。

この記事の要約

  • メルセデス・ベンツが、市販車初として脚光を浴びた条件付き自動運転「レベル3(Drive Pilot)」の展開ペースを一度見直し、高度な運転支援技術「レベル2++」への注力へと舵を切る
  • 初期のレベル3システムは時速約40マイル(約60km/h)以下の特定渋滞時に限定されており、日常的な高速巡航などで顧客が求める真の実用性と乖離していたことが戦略転換の大きな要因
  • 今後は、都市部や交差点・信号機に対応する「MB.DRIVE Assist Pro(レベル2++)」を拡充して利便性を極めつつ、中間的なレベル3の段階的開発をスキップし、2030年以降の「レベル4」本格導入を目指す
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Image:Mercedes-Benz

「レベル3」の自動運転を実用化し他社をリードするメルセデス・ベンツ。今回「ターコイズ」のランプを自動運転中のサインとして認可を受けたと発表し、今後同社の「ドライブパイロット」のシンボルへ
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メルセデス・ベンツの自動運転戦略転換の概要

メルセデス・ベンツは、2023年にレベル3システム「Drive Pilot」を米国ネバダ州やカリフォルニア州、そしてドイツ本国で導入し、「ドライバーが走行中に道路から目を離せる(Eyes-off)」技術として大きな話題を呼ぶことに。

しかし実際の運用において顧客が真に求めている体験との乖離(ギャップ)が浮き彫りとなったのもまた事実であり、同社のイェルク・ブルツァーCTOはメディア向けの取材において「時に時代に先駆けすぎると、顧客が本当に何を望んでいるのかに焦点を当てて改善しなければならないと気づかされる」と認め、小幅なレベル3のアップグレードに膨大なリソースを費やすよりも、ドライバーを常時サポートする高度なレベル2(レベル2++)のブラッシュアップ、そして将来の完全自動運転に近い「レベル4」への跳躍に集中する方針を示すことに。

メルセデス・ベンツCLAのフロントグリル
Life in the FAST LANE.

初期レベル3の課題と最新「MB.DRIVE Assist Pro」の比較

メルセデス・ベンツがレベル3からレベル2++へと重点を移した最大の理由は「利用可能な走行領域(ODD)の制約」にあるとされ、初期のレベル3システムと、現在推し進めている最新のレベル2++システムとの機能比較は以下の通り。

注目項目初期レベル3(Drive Pilot)最新レベル2++(MB.DRIVE Assist Pro)
運転の主体(責任)システム側(一定条件下のEyes-off可)ドライバー(常時監視・手放し可/手離し不可領域あり)
対応スピード領域時速約40マイル(約60km/h)以下の渋滞時一般的な高速道路巡航から都市部まで広くカバー
主な対応走行シーン高速道路での低速渋滞時限定ポイント・ツー・ポイント(車線変更、交差点ナビ、信号対応)
センサー構成LiDAR、レーダー、カメラ、超音波等(約35個)最大27〜30個の先進センサー群(カメラ、レーダー、超音波等)
顧客にとっての実用性渋滞時のみと限定的毎日の通勤や長距離ドライブ全体でストレスを大幅軽減

ドイツ本国ではソフトアップデートにより時速95km/hまで上限が引き上げられたものの、米国等の主要市場では依然として厳しい規制と低速制限が壁となっており、「現実世界では、レベル3の自動運転をほぼ使用する場面がない」とも言われていたわけですね。

メルセデス・ベンツのインテリア(MBUXスクリーン)
Life in the FAST LANE.

そこへゆくと、最新の「MB.DRIVE Assist Pro」は最大27個以上の高精度センサー群と車載OS「MB.OS」上のAIを活用し、都市部の複雑な交差点の右左折、車線変更、交通信号への対応までカバーすることが可能となり、ドライバーの常時監視(Hands-free/Eyes-on)が必要となるものの、カバーできる走行範囲が圧倒的に広いため、日常のドライブにおける実用価値はレベル3を凌駕すると判断されたというのが今回の判断の根底だと説明されています(さらには車両に搭載されるセンサー類が簡素化され、車両コストも下がる)。

他社・自動運転市場における位置付け

自動運転技術の競争においては、テスラ(Tesla)の「FSD(Full Self-Driving)」やGMの「Super Cruise」、フォードの「BlueCruise」など、レベル2〜レベル2+に分類される高度運転支援システムが主流を占めるというのがいま現在。

メルセデス・ベンツの今回の戦略修正は、「レベル3」という技術的・法的ハードルの高い称号を獲得すること以上に、「ユーザーが日々の運転でどれだけ恩恵を受けられるか」という実利を優先した市場の現実を物語っていて、他社がレベル2++の走行可能エリアを急速に広げる中、メルセデス・ベンツも自社のプレミアムラインナップに実用的な運転支援を早期に行き渡らせるという競合対抗策を取った形なのだとも考えられます。

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「レベル4」へのスキップと将来展望

レベル3の全面的な展開を一旦落ち着かせる一方、メルセデス・ベンツは自動運転の夢を諦めたわけではありません。

同社は中間的なレベル3の開発ステップを段階的にスキップし、システムが全ての運転操作を完全に代替する「レベル4(ドライバーの介入が原則不要)」の開発へ集中投資を行う計画を示しており、ブルツァーCTOは、レベル4技術がメルセデス・ベンツの市販量産車に搭載される時期について「2030年以降になる」との見通しを示すことに。

段階的なロールアウトにはなるものの、真の自動運転体験はレベル4によって結実するのだとも考えられ、これによって「中国市場で求められる」完全自動運転へと対応するものと思われます。

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結論

メルセデス・ベンツによるレベル3戦略の見直しは、先進技術の「先陣を切るリスク」と「顧客の実用ニーズ」を冷静に天秤にかけた結果の合理的な決断とも言えるもの。

当面は都市部から高速道路まで日常のドライブを圧倒的に快適にする「MB.DRIVE Assist Pro(レベル2++)」でユーザー体験を高めつつ、2030年以降の「レベル4」で真のイノベーションを起こす。メルセデス・ベンツの新たな自動運転ロードマップは、過渡期を迎えた自動車業界に大きな示唆を与えているかのようですね。

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参照:Motor1

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