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イケてると思っていたが想像以上にイケていた。マセラティ・グラントゥーリズモに試乗する

2016/03/18

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マセラティ・グラントゥーリズモに試乗。
グレードは「MC-Auto Shift」、4244CC、405馬力です。
ボディサイズは全幅1915、全長4885、全高1355ミリとけっこう大きく、重量も1950キロとかなり重い部類。

ルックスは抜群で、かねてより「欲しい車」の一台でありながらも、なかなか試乗する機会のなかったグランツーリズモ。
なぜかというと登場は2007年とけっこう古く、加えてその重量から「けっこう鈍重なのではないか」かと考えており、加えてイタリア車というイメージからけっこうボディが弱く、かなりヨレるんじゃないか、足回りがバタつくんじゃないか、とも。

そんなわけで「ルックスには惹かれながらも購入を具体的に考えることができずに試乗する機会のなかった」グラントゥーリズにようやく試乗。

外観に関しては言うことなしの格好良さで、登場から9年経った今でも第一線で活躍できる格好良さ。
大きなドアを開けて乗り込みますが、サイドシルが低く乗降性は非常に良好です。
室内は「さすが」の雰囲気で、非常に妖しくセクシー。
バーチャルメーターなどの先端装備はありませんがそれでも独特の雰囲気があり、これはマセラティ以外では出せないオーラを放っていますね。

シートはかなり立体的で、座面や背もたれ部も平面ではなくラウンドしており体を包み込むようにフィット。
これは座った瞬間に「おお」と感心するほど素晴らしい出来で、パッドが厚く体を包み込むような印象ながらも適度な反発力を持っており、このあたり「一人がけの高級ソファ」といった感じです。
こういった座り心地を持つ車は非常に少なく、イタリア車もしくはイギリス車でないと持ち得ない座り心地とも言え、これはどうやってもドイツ車が敵わないところでもありますね。

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室内はレザー張りの部分が多く高級感はありますが、最近のアウディやメルセデス・ベンツが多用するような金属調のパーツは無く(これは登場時期を考えるとやむを得ない)、樹脂パーツは黒いままでちょっと旧い感じも否めませんが、逆にこれがシックな(現代の車にはない)昔ながらのスポーツカー、という雰囲気を出しているとも感じます。

おそらくこれがブランドの歴史と格であろうと考えられ、流行に左右されない優雅さなのでしょうね。
そう考えると愛着こそ湧けども飽きることはなさそうです。

エンジンを始動した時のサウンドはけっこう大きく、ガラガラ音がするような不快な印象はまったく無く、太く重い音で非常に安心感があります。
そして回転数が落ち着くと逆に「静かすぎるほど」静かに(しかし時々回るファンの音は車外から聞くとけっこう大きい。車内からは聞こえない)。

さてシフトをDに入れて走り出しますが、アクセルペダルはちょっと重めで踏みごたえのあるタッチ。
重量など関係ないかのようにスルスルと走り出すのはちょっと意外なところ。
少し走って慣れたところで車線変更を行ったり軽くアクセルを踏み込みますが、想像以上に軽く走るのにはちょっと驚き。
まさに大排気量NAエンジンという感じですが、これが自然吸気エンジンの良さであり一般にスポーツカーに求められるものなんだろう、と思います。

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もっと驚くのはボディがしっかりしていることで、捩れる感じが一切せずにサスペンションの動きがしっかりわかること。
足回りは硬いわけではなくしっかり地面を捉え、しかし大きなロールやピッチを見せないという不思議な印象です。
最近ではポルシェやアウディがこれに近い乗り味を出していますが、「すでにマセラティが先んじていたとは」というのもちょっとびっくり。

ステアリングホイールは重くもなく軽くもなく「ちょうどいい」塩梅ですが、こういったちょうどよさはイタリアのメーカーでしか演出しえない感覚だと思います。
フィアット124ロードスターはマツダ・ロードスターのバッジエンジニアリング車ですが、フィアットが「マツダのサスペンションとステアリングフィールはイタリア的ではない」としてそれらを大きく変更した(と言っている)ということを考えても、やはりイタリア人はここにこだわるのかもしれません。

とにかくグラントゥーリズモのハンドリングは抜群で、ここは「正直甘く見ていた」と素直に反省せざるをえないところ。
ブレーキの効きも非常によく、てっきり見た目重視の”スポーティ”カーだと考えていたのですが、これは本気のスポーツカーと言って良いでしょう。

現在でも第一線で活躍できる運動性能を持ちながらも内装の立て付けも良く、軋み音や低級音も皆無で、上品なインテリア/座り心地の良いシートなど、室内は非常に快適な空間そのもの。
視界は良好でフロントはフェンダーの盛り上がった峰で、後方はドアミラーとルームミラーでの確認が容易。
全般的に非常に乗りやすく、日常使いもしやすい車だと感じます。
一番重要なのは「運転していて楽しいかどうか」ということですが、これは文句なしに「楽しい」車で、乗る前の印象が180度ひっくり返ったほどの衝撃。
毎日この車に乗りたい、もしくは毎日この車に乗れたら幸せだろうなあ、と感じさせる車ですね。

極限のパフォーマンスやタイムを競う車ではありませんが高い能力を持ち、比類のないゴージャスかつシックなインテリア、なにより力強く優雅でセクシーなボディを持つという点では独特の地位を築いており、他には直接のライバルが見当たらないほどの車だと思います。
比較するとすれば価格帯は異なりますがアストンマーティン・ヴァンキッシュ、フェラーリ・カリフォルニアあたりになりそうですね。

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なおブレーキキャリパーのカラーはイエロー、レッド、ブルー、チタン、シルバー、ブラックが選べ、「グラントゥーリズモ・スポーツ」だとこれにポリッシュアルミ、アルマイトマットブルー
、アルマイトマットレッドが加わります。
ホイールもシルバー、ブラック、マットブラック、グレーが選べ、ボディカラーも24色、内装カラーも15色と選択肢が豊富。
トリムも11色、カーペットやステッチも15色から選べるなどとにかく選択肢が豊富。

ちょっと欲しくなり中古車(もうモデル末期なので新車で購入するのはかなり難しい選択)を探してみましたが、2008年モデルでも700万円弱〜900万円台(場合によっては1000万円超えも)、2年落ちでも1300万円あたりと新車よりもわずかに300万円くらい安い程度で、かなり高い相場を維持している模様。
この相場からも高い人気を持っていることがわかりますが、このルックスとパフォーマンスを持つ車がこの価格で購入できる、というのは(ほかのスーパーカーの価格がどんどん高くなっていることを考えると)お買い得と考えて良いでしょうね。

試乗記について
ランボルギーニ、AMG、アルファロメオ、VW、ジャガー、ベントレー、ルノー、ミニ、フェラーリ、マクラーレン、テスラ、レンジローバー、スズキ、トヨタ、マツダ、スバル、ホンダ、レクサス、メルセデス・ベンツ、BMWなどこれまで試乗してきた車のインプレッション、評価はこちらにまとめています。

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