
| 少し前には「マセラティは売り物ではない」という明確な回答がなされていたが |
今回の回答はややトーンダウンした形に
ステランティスの260億ドルという衝撃的な赤字決算の影で、もう一つの「不穏な動き」が注目を集めており、それはグループ唯一のラグジュアリーブランド、マセラティ(Maserati)の売却疑惑。
CEOの曖昧な回答が火に油を注ぐ形となった、名門ブランドの「不透明な未来」について考えてみましょう。
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この記事の要約
- 深まる疑惑:CEOが「マセラティはステランティスに留まるか」という直球の質問に明答を避ける
- 会計システムの変更:マセラティの財務報告が「地域オフィス」管轄へ変更され、合理化が加速
- ブランド側の否定:マセラティ広報は「売却の事実は一切ない」と完全否定
- 運命の5月21日:全ブランドの今後の方針が明かされる「インベスター・デイ」に世界が注目
イタリアの誇るトライデント(三叉槍)の紋章、マセラティ。
現在、ステランティスグループ内で唯一の高級車ブランドとして君臨していますが、昨今のグループ全体の経営不振を受け、「身売りされるのではないか」という噂が絶えない状況です。
そして先日行われた決算発表でのCEOの言動が「その疑惑」をさらに深めたとして大きな話題を呼んでいるわけですね。
CEOアントニオ・フィローザ氏の「はぐらかし」
今回注目の回答がなされたのはステランティスの2025年決算発表の場。
この場において、フィローザCEOはマセラティの今後について問われ、YesともNoとも答えず、代わりに彼が語ったのは、「マセラティの財務報告を地域オフィス単位に移行する」という組織改編のニュースです。
これは他のステランティス系ブランドと同様の動きであり、一見すると「グループへの統合深化」に見え、しかし出席者から「これはマセラティがグループに留まるための戦略的決定か?」と問われると、驚くべきことにCEOはこう回答。
「マセラティを含む全ブランドの詳細については、5月21日のインベスター・デイ(投資家向け説明会)でお話しします」
この「即答を避けた」姿勢が、市場関係者には「売却の選択肢を排除していない」と映ったというのが今回の流れです。
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マセラティの現状と市場での位置付け
マセラティは現在、SUVの「グレカーレ」やスーパーカー「MC20」といった強力なラインナップを揃えており、ステランティスにとっては「唯一の高級ブランド」という貴重な存在ではありますが、経営再建を急ぐグループにとって、高コストな独立体制は重荷になっているとの見方もあるもよう(ほかにプレミアムブランドが存在しないため、シナジー効果を出しにくい)。
■ マセラティを取り巻く現状比較
| 項目 | 現状・ステータス |
| グループ内の立場 | 唯一のラグジュアリーブランド(フラッグシップ) |
| 近年の戦略 | 独立性の高かった組織をステランティス本体へ統合中 |
| マセラティ側の主張(以前) | 「売却の予定はなく、パフォーマンスの頂点として残留する」 |
| 懸念材料 | グループ全体の260億ドル赤字に伴う、不採算部門・ブランドの整理 |
なぜ「5月21日」が重要なのか?
今回の騒動でキーワードとなった「5月21日」。
この日はステランティスが全てのステークホルダーに対し、今後数年間の「生き残り戦略」をプレゼンする日です。
ステランティスは14ものブランドを抱えていますが、今回の巨額赤字を受けて「採算の取れないブランドは容赦なく整理する」という方針を以前から示唆しており、マセラティを売却して現金を得るのか、あるいは完全に本体へ吸収してコストを削るのか。
その審判が下るのがこの日というわけですね。
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結論:マセラティは「ステランティスの宝」であり続けるか
マセラティ側が「売却はない」と断言する一方、トップであるCEOが言葉を濁した事実は重く受け止められており、しかし、マセラティをステランティスのオペレーションに深く組み込もうとする動き(地域会計への移行)は、売却前の「切り離し準備」としては手間がかかりすぎるため、「残留させた上での徹底したコスト削減」が進んでいる可能性のほうが高いのかも。
さらにはアルファロメオと共同にて「ボッテガ・フオーリセリエ」を立ち上げたばかりでもあるため、フィローザCEOとしては「(他意なく)マセラティの再建計画を5月21日に発表する」と述べたに過ぎないのかもしれません。
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加えて現在マセラティを「買う」余裕がある企業は存在しないようにも思われ、そして数年前からいざ知らず、現在では中国企業も外資ブランドに興味を示さなくなっており、仮にステランティスがマセラティを売りに出したとしても、希望価格にて買い手がつく可能性はかなり低いのでは、とも考えています。
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参照:Stellantis
















