
Image:Evolito Automobili
| デザインはあのイアン・カラム、F355の新しい伝説がいま始まる |
フェラーリ史上最も美しい一台とも評される「F355」が現代の技術で究極の進化を遂げることに。
イギリスのエヴォリュート(エボルート / Evoluto)社はすでにF355のレストモッド車両「355 by Evoluto」を発表済みではありますが、今回あらためて「生産を開始した」としてアナウンスを行っています。
記事の要約
- 究極のレストモッド: フェラーリF355をベースとし、全てのスペックを現代水準へ再定義
- 官能のV8サウンド: ターボに頼らない自然吸気V8が9,000rpmの絶叫を響かせる
- 徹底した軽量化: カーボンボディの採用等により車重はわずか1,250kgまで削減
- 超希少・超高額: 世界限定55台。価格は最新のフェラーリ「296 GTB」2台分に相当
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ぼくらが求めていた「アナログの極致」がここにある
ハイブリッドやターボ、デジタルディスプレイが支配する現代のスーパーカー市場。
そこであえて「アナログな感性」を研ぎ澄ませるというコンセプトをもって登場したのが「355 by Evoluto」ですが、今回公開された最新動画ではトンネル内を全開で駆け抜ける姿が映し出されています。
そこにあるのは、現代のスポーツカーが失ってしまった「内燃機関の純粋な叫び」でもあり、1990年代の黄金期を彷彿とさせつつ、中身は最新のレーシングテクノロジーで武装されたという「まさに夢のレストモッド」。
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フェラーリF355のレストモッド、「F355 バイ エボルート」には1.3億円という高額にかかわらず注文が殺到。「F355の美点を理解し、当時不可能だったことを現代の技術で補いました」
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細部まで執念が宿るエンジニアリング
エヴォリュート社は今回のプロジェクトにおいて、単なるパーツ交換に留まらず、F355の約90%の配線を刷新し、信頼性とパフォーマンスを根本から引き上げたと述べています。
シャーシの剛性アップはもちろん、サスペンションの取り付け位置(ハードポイント)まで見直しを行うことで現代の高性能タイヤに最適化されたジオメトリを実現。
油圧パワーステアリングのギアレシオもクイック化され、ドライバーの指先に路面の情報をダイレクトに伝えます。
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フェラーリF355「究極の」レストモッド登場。F355の持つアナログ体験を強化すべく現代の素材・技術を盛り込み、内外装デザインはあのイアン・カラムが担当
Image:Evoluto Automobili | このフェラーリF355レストモッド「355 バイ エボルート」はデザイン、機能、パフォーマンスなど全てにおいてオリジナルのF355を尊重している ...
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比較:オリジナル F355 vs 355 by Evoluto
フェラーリの傑作が30年の時を経て、どのように「深化」したのか。
その主要な変更点をまとめると以下のとおりです。
1. パワートレインの進化
| 項目 | オリジナル F355 | 355 by Evoluto |
| 最高出力 | 380 PS | 420 PS (3.7L仕様は 480 PS) |
| 最大出力回転数 | 8,250 rpm | 8,500 rpm (3.7L仕様は 9,000 rpm) |
| エンジン構成 | 3.5L V8 (5バルブ) | 200以上のパーツを刷新・強化したV8 |
| 点火システム | 旧式 | 最新のダイレクトイグニッション |
| 排気システム | 標準スチール | チタン/ステンレス製 (等長エキマニ) |
| 信頼性対策 | クイルシャフト等の弱点あり | 独自設計の強化パーツで克服 |
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2. シャーシ・ハンドリング
- ねじり剛性: オリジナル比で +23% 向上。カーボンファイバーを用いた独自の補強プログラム(カーボン・フュージング)により、現代のスーパーカーに匹敵する剛性を実現
- 軽量化: 全ボディパネルをカーボン製に刷新。乾燥重量はわずか 1,250kg(オリジナルより約100kg軽量)
- ワイドトレッド: フロント +77mm、リア +66mm ワイド化。現代のハイグリップタイヤ(ミシュラン PS4S等)に最適化されたディメンション
- ステアリング: ロック・トゥ・ロックを 3.25回転から2.0回転 へ大幅にクイック化。よりダイレクトで現代的なハンドリングを実現
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3. エクステリア・インテリア
- 外装: 伝説的デザイナー「イアン・カラム」率いるチームが再設計。リトラクタブルヘッドライトは維持しつつ フルLED化。フラッシュ(埋め込み)式ドアハンドルを採用し空力と洗練度を向上
- 室内: 巨大な液晶画面を排除し最高級レザー、アルカンターラ、削り出しの金属パーツのみで構成。これはドライバーが運転という行為そのものに没頭するためのエヴォリュート社による強いこだわりでもある
- 快適性: 信頼性の低かった電装系を 90%刷新。エアコン(HVAC)システムも現代基準の強力なものへアップデート
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結論:約1.1億円を払う価値はある?
この355 バイ エボリュートの生産台数はわずか55台、価格は約59万5,000ポンド(約1億1,000万円以上)からと発表されています。
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これは最新のプラグインハイブリッド車「296 GTB」を2台買ってもお釣りが来るほどの金額ではありますが、しかし二度と作られることのない「超高回転型・自然吸気V8+マニュアルトランスミッション」という組み合わせ、そして職人の手による徹底した作り込みを考えれば、「その代償を支払う価値は十分にある」。
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現時点での受注状況は不明ではあるものの、最初の納車は2024年第4四半期を予定しているといい、世界中のコレクターがこの「絶叫」を自らのガレージに収める日を待ちわびているという状況なのだと思われます(公式サイトではまだ受注受付を行っているので、完売してはいないようだ)。
参考:レストモッド市場の過熱
近年、シンガー・ヴィークル・デザインがポルシェのレストモッドにてその市場を切り開き、その後にはアルファロメオ、アウディ クワトロ、ルノー 5ターボ、ランボルギーニ ディアブロ、ランチア037ラリーなどを対象とした(あるいは再解釈した)レストモッドが続々登場し「花盛り」。
これは自動運転や電動化が進む一方、人間が自ら操る「手応え」を求める層が増えているという事実を端的にあらわしていますが、今後「失われてゆくであろう」クルマとドライバーとのエンゲージに対するノスタルジーをも示しているのかも。
そして今回のエヴォリュート社の試みはフェラーリにおけるレストモッドの決定版となる可能性を秘めており、これに続く「第二、第三のエボリュート」が登場するのかもしれませんね。
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