| テスラは将来的に、「バッテリー」「ソフトウェア」の販売も計画しているというが |
さて、2020年にはじめて「通期で黒字を達成した」テスラですが、その利益構成は「車両の販売のみによるものではない」とのこと。
どういったことかというと、何度か報じられている通り「クレジット」販売による利益が16億ドルもあった模様(自動車部門は54億ドル)。
このクレジットについては説明が必要で、まず現代においては排気ガス(CO2)に関して厳しい規制があるのは御存知の通りです。
「基準値オーバー」分はクレジットでカバーできる
そしてこの規制は非常に厳しい内容であり、欧米(米国だと11の州)においてはこの規制を満たさないと「罰金」を支払う必要が出てくることに。
たとえば欧州だと「新車1台あたりの平均CO2排出量を95グラム(基本)に抑えるべし」という規制が導入されており、これを1グラムオーバーするごとに95ユーロ支払う必要があって、フォルクスワーゲングループではこの罰金が2020年には200億円に達した、とも報道されていますね。
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ただ、この罰金を回避する方法はいくつかあり、まず正攻法だと「CO2排出量を減らすこと」、つまりPHEVやEVを作ること(でないと95グラムの達成は難しい)。
ただしこれは開発から発売まで数年が必要となるために「すぐ」罰金を回避する手段としてはちょっと難しいかもしれません。
そこで登場するもう一つの方法が、他の「1台あたり平均が95グラム以下の(規制値を下回っている)」メーカーから”クレジット”を購入する方法。
たとえばテスラのクルマは100%EVなので、テスラは「95グラムまるまる×50万台分」の余裕があり、その余裕をクレジットとして他の会社に販売できるということになるわけですね。
そして、2020年はその「クレジット販売分」が16億ドルあったということになり、そしてこの16億ドルは原価ゼロであるため丸儲けということに。
EVは「儲かる」?
そう考えると、テスラはクルマを作れば作るほど、「売ることができる」クレジットが溜まってゆくことになり、加速度的に利益が増加するということに。
このクレジット販売による利益については、短期的に見ると「急激に厳しくなる規制によって」増加する可能性があるものの、各自動車メーカーともPHEVやEVの製造を加速させており、加えてリヴィアンやファラデー・フューチャー等EVメーカーが生産を本格化させてクレジットの販売を行う可能性もあるため、中長期的に見ればクレジット販売は減少してゆくものと思われます。
もちろんテスラもそれは十分に理解しているはずで、その対策が世界各地に建設しているギガファクトリー(による製造コスト低減)、そして低価格モデルの投入によるシェア拡大、より利益単価の大きなサイバートラックのデリバリーなのかもしれません。
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