| マクラーレンは新CEOのもとで新たなる価値観を追求することになりそうだ |
今どき「SUVはブランドの価値を下げる」と考えるのはナンセンスだと思う。むしろ速いSUVを作れると示すことのほうが重用かも
さて、マクラーレンでは前CEO、マイク・フルーイット氏が電撃辞任し、その後任としてマイケル・ライタース氏が着任していますが、同氏はポルシェではカイエン、そしてフェラーリではプロサングエの開発に携わった人物。
つまりは「スポーツカーメーカーでSUVを開発してきた人物」ということになり、これは当然ながら「マクラーレンがSUVを発売するのでは」という予測に結びつきます。
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「ピュアエレクトリックハイパーカーの発売は最優先ではない」
そこで今回、そのマイケル・ライタース氏がカーメディアのインタビューに対して語ったところでは「エレクトリックハイパーカーの発売は最優先ではない」。
その理由としては、現時点でマクラーレンは(2,000馬力を発生させる)ロータス・エヴァイヤのような電動ハイパーカーを製造する技術を持たないことに触れており、ピュアエレクトリックカーを開発するのであれば"よりライフスタイルに近い、より実用的な目的 "を持つクルマになるであろうことに言及しています。
なお、マクラーレンの言う「エレクトリックハイパーカーを開発する技術が無い」ということについて、正確に言うならば「エレクトリックパワートレインに関する技術がない」のではなく、ハイパーカーとしての要件を満たせるだけの軽量なクルマを作るレベルに(バッテリー性能含め)達していないということなのだと考えて良さそう。
実際のところマクラーレンはちょっと前にピュアエレクトリックハイパーカーのテストを行っており、「あまりに重い」「サーキットを走ると15分でバッテリーが消耗する」ともコメントしていて、つまりマクラーレンの定義するスーパーカー、ハイパーカーを製造できるだけのバッテリーが現在存在しないためにマクラーレンはピュアエレクトリックハイパーカーを作ることができないと捉えるのが妥当かもしれません。
ちなみにランボルギーニも「最初のピュアエレクトリックカーはスーパースポーツではなくハイライダーそしてライフスタイル系」と明確にコメントしていますが、これもまた「現段階では」エレクトリックハイパーカーを作るだけのバッテリー技術が存在しないことが理由だと考えています。
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マクラーレンはピュアエレクトリックセダンを発売する可能性も
マイケル・ライターズCEOは「"ユーティリティ "や "ライフスタイル "といった言葉は、明らかにある種の結論に飛躍しますよね。ただ、マクラーレンにとって重要な指標は、潜在的に、より多くの乗員が車内で共有できる能力を持つものだと思います。必ずしもハイライダーになるとは限りませんが、そうなる可能性はあります」とコメントしており、どうやらこれはピュアエレクトリックセダンを指しているもよう。
なお、マクラーレンは現在の(市販車部門の)体制となった際にはセダンを含むフルランアップメーカーになることを目指していたものの、途中から「スーパースポーツオンリー」に。
しかし「570GT」を発売した際に「快適で荷物も載る高性能車に乗りたいという需要がある」ことに気づいたといい、さらには(おそらく)ランボルギーニやフェラーリがSUVを発売し、加えてSUVを持たないマクラーレンがコロナウイルスのパンデミックによって窮地に陥ったこと、同じく危機にひんしたアストンマーティンがDBXの発売によって一気に業績を回復しつつあることから方針を転換し、もともとの「総合ラインアップ計画」へと立ち返ろうと考えたた可能性もありそうです。
ただしあれだけ「SUVはやらない」「SUVを作っているスポーツカーメーカーは金の亡者」とバッサリやっていただけに「SUVやります」とは言えず、それが今回の「CEO交代劇」の裏にある事情なのかもしれません。
実際のところマクラーレンは、新CEO着任後まもなくSUV発売の可能性を(部分的に)認めており、続いて「セダン」の存在が示唆されたということになりますが、いまやSUVを発売したとしても、そのスポーツカーブランドの価値を下げることになると考える人は少なく、ポルシェやランボルギーニが「SUV発売後に、さらに魅力的なスポーツカーを作るようになったこと」、アストンマーティンのように「SUVがなければ完全に会社の存続が危なかった」例を見るに、今や誰もがSUV投入について理解を示し、かつ以前のようにSUV=鈍重なクルマでもなく、SUV投入が会社の価値を損ない、未来に暗雲を落とすと考える人はまずいないものと思われます(むしろ、SUVであっても速いクルマを作ることでそのメーカーの技術力を示す事ができるようにも思う)。
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なお、マクラーレンとしては「最低価格帯を3000万円くらいに置く」ことでマクラーレンのブランド価値を保持することと考えているそうですが、これもまた重用な戦略のひとつなのでしょうね。
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参照:Auto Express