| 成長における最大の要因は中国における値下げ、それによる販売伸長 |
厳しい競争によって利益率を圧迫されるものの、まだまだ競争に対する余力は大きく残されている
さて、テスラが2日に「第2四半期に過去最高の車両を販売した」と発表。
販売増加の背景としては、価格の引き下げ、そしてアメリカ市場でのEV購入に関する優遇税制が大きく関係しているとされ、アナリストの事前予想であった平均値である445,000台を超えて466,140台に達しています(9人のアナリストの予想では439,875台~450,000台だったが、最大の予測値をも超えている)。
この数字は前年同期比だと83%、前期比では10%の増加となっており、構成としてはモデル3とモデルYとで446,915台(つまりこの2モデルがほとんどを占める)、モデルSとモデルXとで19,225台。
なお、第2四半期に「生産した台数から納車した台数」を引いた数字、つまり生産超過は13,560台だったとされ、この生産超過は第1四半期の17,933台から減少しており、つまり在庫が少なくなっていること、生産と納車ともに増加していることを意味します(ひたすら作りまくって売れていないわけではない)。
やはりテスラ成長の最大の要素は「値下げ」
ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイヴズ氏によれば、「テスラの成長における最大の要因は値下げであり、これは切り札としてはもっとも賢い手段だった。特に中国市場で大きな成果を上げている」。
しかしながらこの値下げについては、生産コスト低下を上回るレベルで行われていることも数値によって明らかになっており、つまり値下げによってテスラは利益率が圧迫されているとも報じられます。
そしてこの値下げの背景にあるのは、中国にて絶大な威力を発揮しているEVメーカー「BYD」の対抗だと見られ、この価格競争については当面継続する可能性が高く、よってダン・アイヴズ氏は「ここいくつかの四半期において、テスラはさらに利益率を削られるだろう」。
ただし生産台数を増やすことは1台あたりのコスト低減にも直結し、そのためテスラCEO、イーロン・マスク氏は「利益率よりも販売台数を重視する」ともコメントしていて、さらなる値下げによって販売台数を増加させる計画についても言及しています。
値下げはある種の「武器」としても機能
この「値下げ」については、販売台数を増加させる以外にも大きな効果を生むとされ、それは「競合他社の駆逐」。
実際のところ、テスラの値下げ、それに追随する他社/自社の値下げによって利益を大きく失った自動車メーカーも少なくはなく、新興EVメーカー、NIOもそのひとつ。
同社は一時期「テスラを抜くのでは」というほどの成長を見せたものの、今では赤字に転落しており、このままEVレースから脱落する可能性もありそうです。
実際のところ、中国では「最大で500社あった」新興EVメーカーの多くが撤退もしくは廃業しており、これによって現在残るのは100社あまり、しかもその市場シェアは大手のみによって独占されているというので、すでにサバイバルレースの結果は目に見えはじめているのかもしれません。
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やはり消費者は「価格」に敏感
テスラは中国にて(昨年末に)値下げを行ったたのちに「過去に例がないほど」販売を伸ばしており、つまり「価格」によって消費者が動いたものと考えられます。
さらぬその傾向を裏付けるものとして、中国政府がEV購入者に対する優遇政策を一部縮小した途端に「EVの販売が鈍った」という例があり、つまり消費者は非常に価格に敏感ということに。
そしてテスラは現段階で(利益率を削られたといえど)ライバルに比較して高い利益率を持っているとされており、よってまだ値下げの余力があると考えられ、かつ今後「25,000ドルの」安価なEVの投入も控えるとも報じられているため、厳しい状況が続く中でも「もう少し成長が続く」とも見込んでいます。
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参照:Reuters