さて、ロイター報じるところによると、アップルコンピュータと韓国キア(起亜)自動車が提携を行い、アップルが36億ドルの投資をキアに対して行なう、とのこと。
加えて「17日に契約を締結し、その後米国ジョージア州にあるキアの工場にてアップルの電気自動車が生産される」とも。
なお、生産開始は思ったよりも早くなる見込みで、「2024年までに年間10万台を同工場で生産する」と報じられているので、生産開始はその1年前の2023年あたりとなるのかもしれません(年間40万台まで生産を増やす計画があるらしい)。※ロイターは取材先について「ソースが明らかではない」としているので、ガセネタの可能性もある
ちなみに2020年におけるテスラの生産台数が約50万台なので、アップルの掲げる「40万台」はかなり大きなスケールでもありますね。
-
株価が1年で7.4倍に達したテスラ!2020年の生産台数は目標「50万台」にわずかに届かない49万9550台だったと発表。ちなみにテスラのクルマは「全部ヒット作」でハズレなし
| 工場閉鎖期間を考慮すると、この数字は「目標達成」と言っていい | さて、テスラが2020年の生産台数について、49万9550台に達したものの、目標の50万台をわずかに下回った、と発表。ただ、コロナ ...
続きを見る
韓国キアはこんな会社
起亜自動車は現在ヒュンダイ(ヒョンデ)傘下にあり、主に普及価格帯のクルマを生産する自動車メーカー。
アウディTTのデザインに関わったペーター・シュライヤーが社長を務めることでも知られ(キアには社長が3人いるらしい)、つい最近もBMWほかからデザイナーを引き抜いたことも報道されたばかり。
-
韓国キアがBMWのトップデザイナー引き抜き!なぜヒュンダイ/キアはこれだけ欧州メーカーからデザイナーを獲得するのに、日本からはスカウトしないのか
| なかなか日本のデザイナーは世界に出てゆきにくい? | さて、韓国キアがBMWのデザイナー、ウォン・キュー・カン氏を引き抜き、デザインイノベーション部門の副社長に任命した、と発表。現在キアはヒュンダ ...
続きを見る
かつては「安かろう悪かろう」の代名詞的存在であり、米国の品質調査でも最下位に近い評価がなされていたものの、近年ではデザイン性の向上とともに品質の確保に努め、比較的高い位置にまで上り詰めています。
-
知ってた。インフィニティを辞したチーフデザイナー、カリム・ハビブが韓国キア自動車に移籍。韓国の自動車メーカーに移った人物は皆「韓国色」に染まっているのが恐ろしい
| とにかく韓国の自動車メーカーはデザイナー獲得に熱心 | 先日インフィニティのデザインチーフを辞し、「新たな可能性を追求する」としていたカリム・ハビブ氏が韓国キアへ移籍し、来月より韓国で勤務するとの ...
続きを見る
キアは現在EVも生産中
現在のキアのラインアップとしてはモーニング(Morning)、レイ(Ray)、K3、K3GT、K5、K7、スティンガー(Stinger)、THE K9(これだけTHEがついてる)、ニーロ(Niro)、ストニック(Stonic)、ソウル(Soul)、セルトス(Seltos)、スポルテッジ(Sportage)、ソレント(Sorento)、モハーヴェ(Mohave)、カーニバル(Carnival)といったところ。
モデルによってはハイブリッドとEVもラインアップされ、ソウルとニーロにはEVが揃います。
つまりはEVに関する経験もそれなりに持っており、これがアップルとの提携に結びついたのだと思われますが、おそらくアップルはキアのEVのバッジエンジニアリングを行なうつもりはなく、新規に開発するものと思われます。
ただしキアには新規にアップルのためにEVを開発するだけのスキルに乏しく、もちろんアップルとしても自社でEVを設計するわけではなさそう。
となるとヒュンダイがキアに力を貸し、ヒュンダイの開発したE-GMPプラットフォームを共有することで、ヒュンダイとしてはE-GMPプラットフォームの開発費用を引き下げるのかもしれません。
以前にはヒュンダイとアップルが提携という話もあったが
なお、直近で「アップルカー(iCar)」の話が出てきたのは「ヒュンダイとの提携話とともに」。
ヒュンダイがアップルカーの製造を行うのではという報道が突如表面化してヒュンダイの株価が暴騰したわけですが(ソースはヒュンダイ)、その後にヒュンダイはこの話について取り消しを行っています。
ちなみにヒュンダイの幹部に間では「アップルとの提携」について賛否が別れたといい、賛成派はもちろんヒュンダイのブランド価値を高めて利益をもたらすというもの。
反対意見としては「ヒュンダイは他社の代理にてクルマの製造を請け負う生産工場ではない」ということ。
実際のところ、ヒュンダイは韓国第二位の財閥グループとしてのプライドがあり、「他社との提携を行いたがらない」ことでも知られ、自動車の製造にかかわる素材やエンジン、トランスミッション等についても自社系列にて手配すると言われます。
-
アップルの自動車(AppleCar / iCar)はヒュンダイ製に?ヒュンダイが「アップルとの協業を検討中」と発表→直後にこれを取り消し。週明けにヒュンダイの株が暴落しそう
| いずれにしても、アップルが近い将来、自動車ビジネスに関わるのは間違いがないようだ | さて、再燃し始めたアップルコンピューター製の自動車、通称「アップルカー(Apple Car / iCar」。今 ...
続きを見る
そんな状況においてアップルと手を組み、アップルの指示に従って電気自動車を開発して製造し、その対価としてお金をもらうのはヒュンダイの企業ポリシーに反するものだという幹部も多いということですね。
ヒュンダイは常に自らが「ボス」であることを好み、しかしこの提携だとアップルがボスとなるため、この提携に反対する幹部の気持ちもわからないでもありません。
ヒュンダイとアップルとの協議開始は2018年にまで遡ることができるそうですが、上記の理由によって「提携は非常に難航しており」、提携を実現させるには反対派幹部をそっくり解任せねばならないと言われたほどだと報じられています(当時、アップルカーは「プロジェクト・タイタン」として進められていた)。
ただ、ヒュンダイはグループ企業のキアであれば「株価もブランド力も上がり、しかしマイナスになることはない」と判断したのだと思われ、それが今回の提携に結びついたのでしょうね(これだと皆が納得する)。
合わせて読みたい、アップルと電気自動車関連投稿
-
アップルはEVベンチャー「Canoo」の買収を考えていた!さらには百度やアップルの下請けもEV産業へと参入し、今後の自動車業界の勢力図が大きく変わりそう
| アップルコンピューターは自社での車両製造を考えていた? | さて、ヒュンダイの思わぬ発言によって明るみに出た「アップルカー(AppleCar / iCar)」ですが、今回はさらなる関連情報が登場。 ...
続きを見る
-
信者よ待たせたな!2021年9月、ついに「アップルカー(iCar)発表」との報道。第二四半期の製造開始にあわせてサプライヤーがパーツの準備をはじめる※2024年説も登場
| それでも今までの流れを考慮すると、アップルがクルマを発売するとは手ばなしで信じることは難しい | さて、久しぶりに「アップルコンピューターがクルマを発売する」というニュース。※画像はアップルのエン ...
続きを見る
-
テスラは過去、アップルに身売りを打診していた!しかしアップルは交渉の席につかず、その後テスラの価値は10倍に。現在はテスラ株で儲けた「テスラネア」が大量に登場
| まさに事実は小説よりも奇なり | さて、アップルが「自動車(iCar)を発売」という話が再燃していますが、ここでテスラCEO、イーロン・マスク氏が衝撃のツイート。テスラはかつてモデル3の生産開始に ...
続きを見る
参照:Reuters