| なかなか日本のデザイナーは世界に出てゆきにくい? |
さて、韓国キアがBMWのデザイナー、ウォン・キュー・カン氏を引き抜き、デザインイノベーション部門の副社長に任命した、と発表。
現在キアはヒュンダイ傘下にありますが、そのヒュンダイともどもキアは著名デザイナーの獲得に熱心なブランドです。
なお、ヒュンダイは自動車メーカーとしては後発にあたり、コンパクトカーにせよSUVにせよラグジュアリーカーにせよ「追いかける」立場となっていて、品質や乗り心地だと日本車、デザインだと欧州車がベンチマークになっていると考えられます。
ヒュンダイ、キアはデザインとプロモーションに注力
そしてヒュンダイとキアがそういった状況で自社の優位性をアピールしてゆこうとなると「目に見える部分」つまりデザインそしてプロモーションが手っ取り早く、よってヒュンダイとキアはベンチマークとする欧州自動車メーカーのデザイナーを獲得しているものと思われます。
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これまでにもランボルギーニ 、ベントレー、ブガッティ、BMW、そしてイタルデザインといったところから多数のデザイナーを獲得しており、実際に魅力的なコンセプトカーや市販車も発表済み。
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そしてプロモーションという観点だと、BTSを起用するなど積極的に打って出ているといった姿勢を見せていますが、こういった戦略は(自動車に限らず)韓国企業特有といえるかもしれません。
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参考までに、中国の自動車メーカーにおいても同様の傾向があり、現代はデザイナーにとって「かつてない売り手市場」だと言えるかもしれませんね。
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キアに話を戻すと、キアの社長はアウディにてTTのデザインを担当したペーター・シュライヤー氏。
当然ながらデザインにたいしてこだわりを発揮し、「ソウル」「スティンガー」といったカッコいいクルマを発売しています。
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ただ、それでもヒュンダイ、キアともに販売が大きく伸びたり、ブランドの価値が大きく向上しているようには思えず、自動車は「デザインやプロモーションのみによって売れるものではない」ということなのでしょうね。※ニューモデルが登場した時は一瞬販売が大きく伸びるが、そのあとが続かない
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ウォン・キュー・カンはこんなデザイナー
そしてウォン・キュー・カン氏ですが、過去には3.0CSLオマージュを手掛けたことも。
そしてBMWからインフィニティ、さらにキアへと移籍したカリム・ハビブ氏の後任(デザインセンターの副主任)を務めていたそうですが、図らずもカリム・ハビブ氏の後を追う形となった模様。
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ちなみに現在BMWで存在感を発揮しているのはコンセプト4、4シリーズをデザインした韓国人のソンモ・リム氏。
BMWに限らずですが、最近は韓国人のデザイナーが世界中にて活躍しているように思います。
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なぜ日本人のデザイナーは引き抜かれない?
そこで思うのが、なぜ日本人デザイナーがヒュンダイやキアに引き抜かれないのか?ということ(実際には引き抜かれているものの報道がないだけなのかもしれない)。
その理由には様々なものがあり、韓国企業が日本人デザイナーを嫌ったり、日本企業側も引き抜きを嫌ってデザイナーの名をあまり表に出さないからなのかもしれません。
もしくは、ヒュンダイ、キアともに「日本の自動車メーカーのデザインはイケていないので、そういったデザインを行う会社のデザイナーを引き抜く価値はない」と考えているのかもしれません。
もちろん、世界で活躍する日本人カーデザイナーも多く存在するものの、なかなか表に名前が出てこないのはちょっと残念だとも思います。
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