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多くの電動化ソリューションを提供するボッシュが「急速な電動化は近視眼的に過ぎる。自動車メーカーはその危険性を重視すべきだ」と警鐘を鳴らす

2022/09/25

トヨタ

| 現在、多くの自動車メーカーが「ほかの解決策を持たない」ことに対する経営上の脆弱さを再認識している |

現在、自動車メーカーによって戦略が分かれており、この先の動向次第では大きな混乱も避けられない

さて、ここ最近「電気自動車へと早急にシフトすることは危険である」とコメントする自動車メーカー、関係各社が出てきていますが、今回は電装品大手のボッシュが「自動車メーカーが電気自動車に全力を投じるのは危険である」と警告を発してちょっとした話題に。

BMW
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もちろんボッシュは電気自動車の開発に際して様々な技術的ソリューションを提供しているわけですが、ここ最近の世界的な様々な事象を鑑み、「ひとつの方向性のみをゼロエミッションの解決策とすることは危険である」と述べているわけですね。

いったいボッシュのいわんとするところは何なのか

そこで今回のボッシュの発言の趣旨ですが、「電気自動車のみをゼロエミッションの手段とすることは危険であり、何らかの理由で電気自動車の普及が難しいとわかったとき、自動車業界に大いなる危機が訪れる」というもの。

そしてボッシュは一つの例として「欧州の天然ガス不足」を取り上げ、これを「ひとつの燃料源に過度に依存することの危険性が顕在化した事象」とコメント。

日本にいるぼくらにとってはあまり実感がわきませんが、ロシアがウクライナに侵攻して以来、ヨーロッパでは天然ガスの価格が高騰しており、ヨーロッパの大部分にガスを供給しているロシアがパイプライン(ノルドストリーム1)を閉鎖したため、この数週間で状況はさらに深刻になっている、とのこと。

ロシアのガスプロム社は、ガスパイプラインの「故障」による一時的な停止後、ドイツへのガス供給を再開する予定だったとされ、しかしその後、同社は修理が行われる間、パイプラインを無期限に閉鎖すると発表しています。

これはG7の様々な決定に対するロシアの報復措置だと考えられますが、これによってドイツでは「ガラスの製造ができなくなり」ビール瓶が製造できなくなったり、自動車のガラスが不足したり、という問題も発生しています。

フォルクスワーゲンID6(VW)

ランボルギーニ・エッセンツァ
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あらゆる自体に備えてリスクは分散すべき

こういった現象は「ドイツがロシアの天然ガスに頼りすぎ、その供給がストップされることで経済が大混乱に陥った」ということを意味しており、ボッシュのモビリティ部門責任者であるマルクス・ハイン氏によれば「我々は現在、ドイツとヨーロッパのガス不足の影響を目の当たりにしているが、それは我々があまりにも少ない代替手段しか持たなかったからだ。自動車業界では、この機会に、バッテリーセルがあまりにも少なくなった場合に何ができるかを自問自答すべきだと思う」。

これは暗に「現在、バッテリー供給(もしくはその資源)を支配している中国が、もしバッテリーを他国の企業に供給しなくなったら、自動車業界はクルマを生産できなくなる」ということに言及しているものと思われます。

中国は現在、電池と電気自動車に搭載されるバッテリーパックの製造に使用される鉱物の世界最大の供給国ですが、これがもし供給されなくなるという危険性をボッシュは指摘しているわけで、そしておそらく他の自動車メーカーも同じように危険性を感じているのか、いくつかの自動車メーカーは中国以外からのバッテリー調達を真剣に考えるようになっており、そのため欧州やカナダに工場を建設する動きが加速中(カナダは鉱物資源が豊富だとされ、カナダはここぞとばかりに多くの自動車メーカーに働きかけて工場を誘致しようとしている)。

テスラ

全世界で自動車メーカー、サプライヤーの「脱中国」が加速中

なお、米国では2023年1月以降、電気自動車に対する税額控除制度が改正され、北米で生産された電池を搭載した自動車にのみ、税額控除が適用されることになっており、これも脱中国に向けた動きの一つ。

加えてホンダは(バッテリー絡みではありませんが)中国にサプライチェーンを依存しすぎたことできたした混乱を反省し、サプライチェーンの脱中国を発表しており、今後各自動車メーカーには「様々なリスクに備えた」動きが要求されることになりそうですね。

ホンダ
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更に参考までに、一時期中国市場にて高級車販売が大きく伸びた際、フェラーリ、ランボルギーニ、ロールス・ロイス等は中国へと大きく販売を振り分けてしまい、しかしその後一気に中国市場が縮小したために(ロールス・ロイスの販売は1/3になった)大きな痛手を負うことになり、これ以降、世界をいくつかのセクションに分割し、バランス良く販売し成長させることでリスクを分散させています。

ボッシュに話を戻すと、同社は昨年にも、各国政府が内燃機関の消滅に注力していることを近視眼的だと批判しており、20~30年間は内燃機関技術への投資を続けるだろうというコメントも残していますね。

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参照:Bloomberg

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