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ステランティスはガソリンエンジンを諦めない!なんと「シリンダーヘッド一体型ターボ」を開発し、パーツ点数と製造時間を大幅に短縮することに成功する

2023/02/16

ステランティスはガソリンエンジンを諦めない!なんと「シリンダーヘッド一体型ターボ」を開発し、パーツ点数と製造時間を大幅に短縮することに成功する

| おそらくはその構造上、小排気量ターボエンジンに組み込むものだと思われる |

まだまだガソリンエンジンの可能性を捨てない自動車メーカーがあるのは嬉しい限り

さて、ステランティス(旧FCA+プジョー・シトロエン)がなんとも興味深い特許を出願してちょっとした話題に。

この特許は「ターボチャージャーをシリンダーヘッドに組み込む」という大胆な発想を持つもので、これまでのターボに比べてパーツ点数が大幅に減少し、コストと重量をぐっと削減できる見込みです。

ちなみにこの特許は米国特許商標庁(USPTO)に提出されたものだと報じられ、(欧州への出願ではないので、ステランティスの中でも)クライスラーやダッジを担当するアメリカ側の研究機関が考えたものかもしれません(もちろん資産は共有されるので、フィアットやマセラティ、アルファロメオといった同グループ内のブランドにも、この構造が採用される可能性も十分にある)。

そもそもターボチャージャーとは何なのか

そこで今回の特許「シリンダーヘッド内蔵ターボ」を簡単に見てみたいと思いますが、まず通常のターボチャージャーについて説明すると、こんな感じでエンジンの各バンクからの排気を(エキゾーストマニホールド経由で)ターボチャージャー(赤い丸で囲んだ部分)に送り込み、そこで流量を増幅させて再度エンジンへとエアを送り込みます。

これによって「自然吸気」では実現できない「強制吸気」を行い、シリンダー内部での爆発力をアップさせるわけですね。

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なお、このタービンの配置はエンジンによって様々で、画像のようにVバンクの内側(ホットV)へと配置されることもあれば、両バンクの外側に配置されることもあり、直列エンジンではシリンダーケースから排気がなされる側に取り付けられるのが一般的です。※ホットVであっても、バンク角が狭ければ、画像のようにタービンを横に並べることができず、縦にタンデム配置されることがある

「シリンダーヘッド内蔵ターボ」はどういった構造を持つのか

そして今回ステランティスが出願した特許を見てみると、通常のターボの「エンジンから排気を取り出してターボチャージャーへと導入する」部分が短縮され、タービンがシリンダーヘッドと一体化するという構造を持っています。

今回の特許では「通常のターボでは、部品点数が多くなり構造が複雑になる」ことを問題点として指摘しており、タービンへと排気を送るエキゾーストマニホールドを無くす(もしくは最短化する)ことで材料や製造にかかる時間を削減するという狙いがあるもよう。

構造としては「ターボチャージャーのハウジングを、シリンダーヘッドの一部として鋳造する」ことになり、これによってマニホールド、マニホールドをヘッドに固定するためのボルト、スタッド、ガスケット、ターボチャージャーに必要な追加のオイルラインを捨て去ることが可能となるわけですね。

特許の申請内容によれば、シリンダーヘッドとターボのコンプレッサーハウジング、タービンハウジングの両方を一体化し、組み立ての段階でタービンとシャフトを追加することになりますが、この設計の優れたところは「ターボチャージャーアセンブリ全体を自動工程でヘッドに装着することが可能」ということで、これもやはり大幅なコスト削減に寄与するものと思われます。

Turbo (2)

新型ターボは耐久性も高い

加えて耐久性とメンテナンス性も優れているといい、最小限の分解で検査することが可能となっているほか、ターボチャージャーとウェイストゲートアセンブリ全体を1つの耐熱シールドで覆い、ウェイストゲートの作動をオルダムカップリングで制御する設計となっているもよう。

さらにはオルダムカップリングがエンジンの振動に耐えられるようウェアワッシャーが装着され、ヘッド付近にタービンを装着することによる「熱問題」については、タービンとコンプレッサーのハウジングがヘッドの一部として鋳造されているため、一般的なターボチャージャーにて使用されるガスケットやシールの多くが不要になり、むしろ全体のサービスインターバルや寿命が延びる可能性がある、としています。

このシリンダーヘッド一体型ターボについては、上述の通りコスト削減や省スペース化に大きく寄与する反面、大きなタービンを装着することが難しい、そして重心が高くなってしまう等の課題もあるものと思われ、そう考えると(スポーツカーではなく)小排気量エンジン、そしてコンパクトカーやSUVにマッチしているのかもしれませんね。

なお、メルセデス・ベンツはじめいくつかの自動車メーカーは「新規にガソリンエンジンの開発を停止した」と公言し、ガソリンエンジンの開発要員を(エレクトリックシステム開発へと)転向させたり、工場の設備をEV向けに作り直したりしていますが、ステランティスはじめいくつかのメーカーはまだまだガソリンエンジンに投資を行っており、これほど自動車メーカーの間で判断が分かれる時代も珍しい、と思います。

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参照:CARBUZZ

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