■そのほか自動車関連/ネタなど

「EVの整備を担当できる工場」「電気技師」が圧倒的に不足しているとの統計。このままでは修理期間の長期化、費用の高騰、保険料の上昇が懸念される

2023/09/14

「EVの整備を担当できる工場」「電気技師」が圧倒的に不足しているとの統計。このままでは修理期間の長期化、費用の高騰、保険料の上昇が懸念される

| やはり何事も「自然に」任せないと色々な物事がついてこない |

急激に、そして無理やり物事を進めてしまうと必ず歪みが生じることに

さて、現在世界中でEVの普及が加速している状態ですが、そこには様々な(潜在的な、あるいは顕在的な)問題が存在しています。

購入の際のハードルはさておいて、いったん購入したオーナーには「思ったよりも充電インフラが使えない」「火災のリスク」「バッテリー交換理費用が高額」といった不満や懸念が存在するわけですね。

そして今回報じられているのが「修理の際の問題」であり、修理にかかる期間やコストについて、最新のデータとともに新たなる課題が示されています。

EVを修理できるショップがそもそも少ない

現在の普及率であればともかく、このままEVの普及が進んだ際に直面するであろう問題が「修理工場不足」。

一般に正規ディーラーにおける修理は「割高」となる可能性があるため、EVが普及し多く補人が低コストでそれを維持するのに不可欠なのが「独立系修理工場」ですが、EVの点検や修理には専用のツールや知識・経験が必要であるため、多くの既存修理工場ではEVの修理に対応することが難しいと言われているわけですね。

さらに最近のEVの多くは400ボルトや800ボルトのシステムを搭載しており、訓練を受けていない技術者が扱いを誤ると致命的なことになりかねず、電気ショックのほかにも電気自動車の火災がもたらすリスクも存在します。

そして火災が発生したりリチウム電池が熱暴走に陥った場合、専門的な設備と訓練がなければ、結果として発生した炎を消すのは非常に困難だと言って良いかもしれません。

F5gzfOhWoAEbzHp

よって既存修理工場は「知識・技術の習得」「修理・点検のための設備導入」という観点からEVの修理に対応したがらないという調査結果が示されており、とくにイタリアのようにEVの普及率が低く、充電インフラが貧弱な国ではその傾向が顕著なのだそう。

参考までに、EVの点検・整備・修理に必要な最低限の設備を導入しようとなると約450万円程度のコストがかかり、さらには整備士の訓練も必要であることを考慮すると独立系整備工場がEVの点検・整備・修理に積極的ではないことにもうなずけます。

世界的にEV修理のための電気技師が大幅に不足

そしてもう一つの問題として報じられるのが伝記自動車の流離を行うことができる電気技師の不足。

たとえば米国の労働統計局は(米国国内で)2031年までに8万人の電気技師が必要になると予測しており、オーストラリアのビクトリア自動車商工会議所は2030年までに9,000人のEV技術者が必要になると想定。

しかしながら現状では到底この数を満たすことはできず、さらに英国の自動車産業協会(IMI)によると「自動車技術者の20%が何らかのEVトレーニングを受けているものの、日常点検以上のことができるのはわずか1%」なのだそう。

FwwGwXyaYAE69e8

この「技術者不足」がもたらす問題はすなわち「EVの修理にかかる待ち時間が長くなる」「EVの修理コストが高くなる」ということ、これによる「保険料の高騰」。

中国にてEVの火災が増加。保険料はガソリン車よりも20%高く、各社とも激化する競争に対応するため開発期間を短縮し発売を急いだことが原因か
中国にてEVの火災が増加。保険料はガソリン車よりも20%高く、各社とも激化する競争に対応するため開発期間を短縮し発売を急いだことが原因か

| 中国だけではなく、世界中で同様の問題が起こりうる | やはり急激なEVシフトは様々なひずみを生むようだ さて、中国にて「EVの保険料は、ガソリン車に比較して20%ほど高い」という報道。現在中国はも ...

続きを見る

さらにはEVの充電施設のメンテナンスも必要であることは間違いなく、しかしこれを修理するための技師も不足しており、実際に「動作しないまま」の充電器が多いという報告もよく聞くところではありますね。

なお、テスラはすでにアメリカ各地にてEV修理のトレーニングコース、独立系ショップ向けのトレーニングの提供を開始しているといい、シーメンスはEV充電器のメンテナンスと設置について米国の技術者を養成するプログラムに3,000万ドルを投資済み。

しかしこれらでは十分とはいえず、少なくとも短期・中期的には、EVの修理はより高額になり、待ち時間も長くなるというのが専門家の見解だとして報じられています。

テスラ
修理工場を持たないテスラの代わりにGMがテスラを修理していた!GM「これは新しいビジネスになると言わざるを得ない。収益源として成長中」

| すでにGMは11,000台以上のテスラを修理済み、同時にノウハウも蓄積しているようだ | テスラも整備拠点不足の問題を解決でき、顧客としても利便性が向上するという、まさに「Win-Win」 さて、 ...

続きを見る

合わせて読みたい、関連投稿

保険会社「EVの事故はEVの特殊性に起因して修理費用が高額になる傾向がある。なおEVの事故は加速時に多く、ガソリン車に比較して50%多い」
保険会社「EVの事故はEVの特殊性に起因して修理費用が高額になる傾向がある。なおEVの事故は加速時に多く、ガソリン車に比較して50%多い」

| このままではEV普及のツケはそのユーザーに回ってきそう | これもまた急速にEVを普及させようとした副作用なのかもしれない さて、保険会社アクサ(AXA)がEV(電気自動車)の事故に関する特殊性を ...

続きを見る

購入金額1500万なのに修理費用1000万円!納車後20分でハマーEVで事故を起こしてしまったユーチューバー、やむなくハマーEVを廃車扱いにして売却
購入金額1500万なのに修理費用1000万円!納車後20分にてハマーEVを壊してしてしまったユーチューバー、やむなくハマーEVを廃車扱いにして売却することに

| やはりEVの修理費用は様々な理由において高額になりがち | これを考慮するとハマーEVの保険はとんでもなく高いのかもしれない さて、つい先週、納車されて20分後、距離にしてわずか30kmのみの走行 ...

続きを見る

トヨタ
近年の新車は非常に高度化し修理コストが大幅上昇。あわせて保険料も17%高くなるなど負のスパイラルに。なおEVの修理費が高い理由についても究明される

| 規制強化はクルマのコストアップに繋がり、購入時の負担はもちろん、保険料の高騰、修理費の高額化など消費者にも大きな負担がかかる | そう考えると一体何が正解なのかがわからなくなってくる さて、新車の ...

続きを見る

参照:Reuters

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Cirqua_Recommend / 1845256

-■そのほか自動車関連/ネタなど
-, , , ,