| やはり何事も「自然に」任せないと色々な物事がついてこない |
急激に、そして無理やり物事を進めてしまうと必ず歪みが生じることに
さて、現在世界中でEVの普及が加速している状態ですが、そこには様々な(潜在的な、あるいは顕在的な)問題が存在しています。
購入の際のハードルはさておいて、いったん購入したオーナーには「思ったよりも充電インフラが使えない」「火災のリスク」「バッテリー交換理費用が高額」といった不満や懸念が存在するわけですね。
そして今回報じられているのが「修理の際の問題」であり、修理にかかる期間やコストについて、最新のデータとともに新たなる課題が示されています。
EVを修理できるショップがそもそも少ない
現在の普及率であればともかく、このままEVの普及が進んだ際に直面するであろう問題が「修理工場不足」。
一般に正規ディーラーにおける修理は「割高」となる可能性があるため、EVが普及し多く補人が低コストでそれを維持するのに不可欠なのが「独立系修理工場」ですが、EVの点検や修理には専用のツールや知識・経験が必要であるため、多くの既存修理工場ではEVの修理に対応することが難しいと言われているわけですね。
さらに最近のEVの多くは400ボルトや800ボルトのシステムを搭載しており、訓練を受けていない技術者が扱いを誤ると致命的なことになりかねず、電気ショックのほかにも電気自動車の火災がもたらすリスクも存在します。
そして火災が発生したりリチウム電池が熱暴走に陥った場合、専門的な設備と訓練がなければ、結果として発生した炎を消すのは非常に困難だと言って良いかもしれません。
よって既存修理工場は「知識・技術の習得」「修理・点検のための設備導入」という観点からEVの修理に対応したがらないという調査結果が示されており、とくにイタリアのようにEVの普及率が低く、充電インフラが貧弱な国ではその傾向が顕著なのだそう。
参考までに、EVの点検・整備・修理に必要な最低限の設備を導入しようとなると約450万円程度のコストがかかり、さらには整備士の訓練も必要であることを考慮すると独立系整備工場がEVの点検・整備・修理に積極的ではないことにもうなずけます。
世界的にEV修理のための電気技師が大幅に不足
そしてもう一つの問題として報じられるのが伝記自動車の流離を行うことができる電気技師の不足。
たとえば米国の労働統計局は(米国国内で)2031年までに8万人の電気技師が必要になると予測しており、オーストラリアのビクトリア自動車商工会議所は2030年までに9,000人のEV技術者が必要になると想定。
しかしながら現状では到底この数を満たすことはできず、さらに英国の自動車産業協会(IMI)によると「自動車技術者の20%が何らかのEVトレーニングを受けているものの、日常点検以上のことができるのはわずか1%」なのだそう。
この「技術者不足」がもたらす問題はすなわち「EVの修理にかかる待ち時間が長くなる」「EVの修理コストが高くなる」ということ、これによる「保険料の高騰」。
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さらにはEVの充電施設のメンテナンスも必要であることは間違いなく、しかしこれを修理するための技師も不足しており、実際に「動作しないまま」の充電器が多いという報告もよく聞くところではありますね。
なお、テスラはすでにアメリカ各地にてEV修理のトレーニングコース、独立系ショップ向けのトレーニングの提供を開始しているといい、シーメンスはEV充電器のメンテナンスと設置について米国の技術者を養成するプログラムに3,000万ドルを投資済み。
しかしこれらでは十分とはいえず、少なくとも短期・中期的には、EVの修理はより高額になり、待ち時間も長くなるというのが専門家の見解だとして報じられています。
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参照:Reuters