
| 目立つクルマには目立つなりの使いかたがある |
ただしブレーキキャリパーがピンクだったりハローキティ仕様なのはちょっと気になる
高級スポーツカーといえば、ステータスや走りの歓びを象徴する存在として街行く人々の視線を集めるものですが、しかし中国の路上で注目を一身に浴びている1台のポルシェ718ボクスターが全く異なる理由で人々の心を揺さぶっている、とのニュース。
車体全体を覆い尽くしているのは高級感漂うカスタムラッピングではなく、行方不明になった子どもたちの顔写真と情報が書かれた告知内容であり、一見異彩を放つこのラッピングカーが誕生した背景、そして実際に起きた感動的な変化について見てみましょう。
この記事の要約
- 中国・雲南省で、車体全体に行方不明児90人の情報チラシを張り巡らせたポルシェ718ボクスターが大きな話題を呼んでいる
- 27歳のオーナーは売名行為との批判を受けつつも「目立つスポーツカーだからこそ情報の拡散力がある」と主張
- 実際に掲載された90人のうち1人の子どもが家族と無事に再会を果たすという奇跡的な成果を上げている
車両と活動の概要
話題となっているのは、中国南西部の雲南省昆明市を走るポルシェ718ボクスター。
所有者である湖北省出身の杜林(ドゥ・リン)さん(27歳)は、慈善団体「ベイビー・カム・ホーム(Baby Come Home / 宝貝回家)」のウェブサイトから行方不明児90人分の情報を収集し、自ら車体用のラッピングをデザインして車体に貼り付けたのだそう。
街頭で用紙を配布する従来の街頭配りは歩行者に無視されやすい点に着目し、自然と目を引く高級スポーツカーを「走る巨大広告塔」として活用することを思いついたといい、公道を走行するに際しては法規制や交通ルールに適合するよう地元の警察署へ事前に車両変更の届出も済ませてる、とも報じられています。

取り組みの詳細
車体に表示されたのは単なる文章データではなく、杜さんが見やすさを考慮して顔写真をレイアウトした特別仕様のグラフィックで・・・。
| 項目 | 詳細情報 |
| ベース車両 | ポルシェ 718(ミッドシップ・スポーツカー) |
| オーナー | 杜林(ドゥ・リン)氏(27歳 / 湖北省出身) |
| 掲載人数 | 行方不明児童 90人分(顔写真および詳細情報付き) |
| 協力団体 | ベイビー・カム・ホーム(Baby Come Home / 宝貝回家) |
| 活動目的 | 行方不明児の認知向上と情報提供の促進による家族再会の支援 |
| 現時点の成果 | 掲載された児童のうち1人が実際に家族との再会を果たした |
「Baby Come Home」は2007年に設立されたボランティア組織だといい、これまで40万人以上の協力者の手により1万5,000組以上の家族の再会を成功させてきたという実績もあるそうですが、今回のポルシェを使った取り組みは、その活動を”民間の知恵で”さらに後押しするものとなっています。
競合比較・市場での位置付け
中国における行方不明児の捜索手法や一般的なチャリティ活動との比較は以下の通りとなっていて・・・。
- 従来の街頭チラシ配布:駅前や路上で一枚ずつ配る手法は人手と時間がかかる上、受け取りを拒否されるケースも多く、拡散力に限界があった
- SNSによるデジタル拡散:拡散速度は速いものの、日々大量の情報に埋もれてしまい、特定の地域や日常の現場で強い印象を残しにくい側面がある
- 高級車を活用した「リアル広告」:高級スポーツカー特有の視認性と話題性を生かし、写真撮影やSNS投稿を促すことで「リアル×デジタル」の相乗効果を生み出す
ネット上では「目立ちたがり屋の売名行為だ」という心ない批判も一部で上がったものの、杜さんは「注目されればされるほど、子どもたちの情報が人の目に留まる確率が上がり、再会のチャンスが増える」と毅然と回答しており、ある意味ではスーパーカーオーナーの見本のような人でもありますね。

補足情報
中国では近年、防犯カメラ網の整備や公安当局の対策強化により、子供の連れ去り事件自体は2012年の約6,000件から2020年には700件未満へと大幅に減少していますが、しかし過去に行方不明となった子供を探し続けている絶望的な状況の親たちは今も数多く存在し、そして今回の718ボクスターはそうした両親にとって一筋の光」になる可能性を秘めた一台。
ECサイトでは1枚あたり約3元(約60円)で行方不明児のポスターが販売されており、一般のドライバーやトラック運転手が自分の車に貼って走行する動きも広がっているといい、杜さんのポルシェに掲載された90人のうち、すでに1人の子どもが家族と無事再会できたという事実は、こうした草の根活動の有効性を証明する大きな源泉ともなっています。
結論
愛車を奇抜なデザインで飾るカスタムは数多く存在しますが、これほどまでに人の命と温かい情熱が込められたラッピングは他になく、「これまで見た中で一番カッコいい車だ」と賞賛されるこのポルシェの取り組みは、クルマというプライベートな空間を社会貢献のプラットフォームへと昇華させた素晴らしいアイデアとも言えるもの。
自動車メーカー本体が「チャリティのため」車両を競売にかけることも少なくはありませんが、オーナー一人であっても「できること」があると示したのが今回の例でもあり、1人でも多くの子どもたちが無事に温かい我が家へ帰れる日が来ることを願ってやまない今日このごろです。
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参照:Southchina Morning Post











