
Image:JLR
| 現時点で生産再開時期は未定、サプライチェーン崩壊の二次的影響も指摘される |
あな恐ろしやサイバーアタック
9月頭には「8月31日に発生したサイバー攻撃の影響で、ジャガー・ランドローバー(JLR)が所有する英国ソリハル、ヘイルウッド、ウルヴァーハンプトンの各工場が完全停止した」と報じられていますが、最新のニュースによると、なんと現現在に至るまで「1台も生産がなされていないまま」。
この攻撃により内部システムが麻痺し、通常であれば1日1,000台以上の車両がラインオフするはずの生産がゼロになっている状態が続いている、とされています。
1日あたり最大13億円の損失
JLRは当初、9月中の再開を目指していましたが、現時点で10月1日まで停止延長が決定。
BBCの報道によれば、さらに11月まで長引く可能性もあるとのことで、今回の停止は、JLRに深刻な経済的打撃を与えており、英メディアによると、
- 1日あたりの損失額は500万~1,000万ポンド(約6.8億~13.6億円)
- ディーラーではシステム停止のため登録業務を手作業で実施
といった異常事態に陥っています。
サプライチェーン崩壊の危機
さらに深刻なのはサプライヤーへの影響で、小規模・中規模の部品メーカーは資金力に乏しく、長期の停止に耐えられない(JLRの生産が行われないためパーツの納入ができず、となると支払いも受けることができないので倒産する)ケースが多いのでは、と警告されています。
この件については元アストンマーティンCEOのアンディ・パーマー氏も「一部サプライヤーは破綻に追い込まれるだろう」と指摘し、現場の労働組合からも次のような懸念が上がっているようですね。
「従業員は住宅ローンや家賃を支払わなければならない。収入が途絶えれば生活できない。工場再開時に(サプライヤーが倒産し)供給網が残っていなければ、JLRも立ち行かなくなる」
Image:JLR
こういった報道を見るに、今回のサイバー攻撃は単に「生産停止」というだけではなくサプライチェーンの破綻を招く可能性があり、(もしそうなれば)生産が再開したとしてもパーツの供給を受けられず、これまた「別の理由で」生産ができないということに。
今のところどうなるかは不透明ではあるものの、いかにサイバーセキュリティ対策が重要であるかがわかる一件だとも考えられます。
まとめ
- JLRは8月末のサイバー攻撃以来、生産を全面停止
- 1日最大13億円の損失が発生
- サプライヤーや雇用への影響が深刻化
再開の目処は立たず、11月まで延長の可能性
JLRにとって今回の事件は近年で最大級の危機といえ、「販売の減少」どころではないダメージを受けたことは間違いなさそうですね。
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参照:CARSCOOPS