| しかし現在のマクラーレンにはいくつかの優先順位があり、ピュアエレクトリックハイパーカーは「最優先」ではない |
残念ながらポルシェ、フェラーリのエレクトリックハイパーカーとは発売時期が揃うことはなさそうだ
さて、マクラーレンの新CEO、マイケル・ライターズ氏(ポルシェやフェラーリで技術部門の責任者を努めた人物)がカーメディアに対して「P1後継モデル」についていくつかのヒントを公開。
ただし登場については「2030年以降」だとしており、よってここから先の事情は流動的であるということも考慮する必要があるかもしれません。
なお、マクラーレンはP1後継モデルについてはピュアエレクトリックカーとなることを示唆してきましたが、最大の懸念は「重量」だとされ、「サーキットを数周走ることができるバッテリーを搭載すると、とんでもなく重いクルマになる」としていたわけですね。
マクラーレンP1後継モデルは「軽量性」を最重要視
そして今回マイケル・ライターズ氏が述べたのは「マクラーレンのピュアエレクトリックハイパーカーは、クレイジーなパワーを持つことはないだろう」ということ。
2,000馬力、2,000kgの重量を持つクルマを作る気はない。それはマクラーレンのDNAではないし、どのメーカーでもできることです。
そして我々の目標は、750Sの重量である1,277kgと同じ軽量性を持つエレクトリックハイパーカーを作ることです。マクラーレンが何を考え出すにせよ、パワー、パフォーマンス、ハンドリングの面で同等のICE(内燃機関搭載)モデルを凌駕する必要があるのです。
ただ、これを実現するには10年くらいを要するかもしれません。
なお、マクラーレンP1は2012年にハイブリッドカーとして、ラ・フェラーリ、ポルシェ918スパイダーとあわせ「ハイパーカー御三家」として発表されています。
そして現在フェラーリは「初」のピュアエレクトリックハイパーカーを2027年に発表すべく鋭意開発中、そしてポルシェも918スパイダー後継となるであろうハイパーカー「ミッションX」を(コンセプトモデルとして)発表済み。
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ただし、ハイパーカー御三家とは異なり、「ピュアエレクトリックハイパーカー」となるとポルシェ、フェラーリ、マクラーレンの足並みが揃うことはないものと思われ、ここはちょっと残念なところですね。
エレクトリックカーは「重量」が常に懸念となる
そして上述の通り、ピュアエレクトリックカーはその重量が常に問題となりますが、出力を上げれば上げるほど、そして加速や速度を向上させればさせるほどバッテリーを消耗するので必然的にバッテリーサイズも大きくなります。
つまりスポーツカーやスーパーカー、ハイパーカーに求められる要件を満たそうとすればするほど重量が増えるということになり、これらと電動化は非常に相性が悪いということもわかりますね。
実際のところリマック・ネヴェーラは1,914馬力 / 2,150kg,ピニンファリーナ・バッティスタは1,900ps / 2,063kg、ロータス・エヴァイヤは2,011ps / 1,680kg。
エヴァイヤはほかモデルに加えると軽いものの、マクラーレンの求める重量とはまだまだ乖離があり、そしてその差を埋めるのは容易ではないかもしれません。※ポルシェはミッションXの詳細については発表していないものの、コンセプトカーのパワーウェイトレシオは1:1だと説明
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ただし現在はバッテリーに関する技術も日進月歩であり、メルセデス・ベンツとポルシェは「シリコンバッテリー」を導入するとしており、トヨタは全固体電池(ソリッドステートバッテリー)の実用化を控えている、とも。
そしてもしソリッドステートバッテリーの実用化がなされたとなるとマクラーレンの計画に一歩近づくことになりそうですね。
ただ、その場合であってもマクラレーンはいたずらにパワーを追求せずに軽量性を追求することなりそうですが(その結果としてマクラーレンのいう”馬鹿げた”パワーには達しないことに)、そうなったときに顧客が「2,000馬力だが重いハイパーカー」と「1,000馬力だが軽いハイパーカー」どちらを選ぶのかは興味のあるところです。
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参照:Autocar