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| ブガッティの設計思想は「時代を超越」している |
この記事の要
- 不変の美学: 流行に左右されない「116年の伝統」と「未来」の融合
- 脱デジタルの衝撃: 液晶モニターを隠し、スイス製時計技術を注ぎ込んだアナログ計器の採用
- カー・クチュール: オートクチュールの概念をクルマに持ち込んだ、究極の素材選びと仕立て
- 職人技の極致: 固定式ステアリングボスとスケルトン構造が織りなす機械美
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ブガッティがトゥールビヨンの「開発秘話」を語る。「限界を超えるため、すでに優れた空力性能を持つシロンをベースに、さらなる高みを目指した」
Image:Bugati | おそらくブガッティはこのトゥールビヨンにて「最高速記録」を目指すだろう | ただし問題は「その環境」がないことである さて、ブガッティは公式コンテンツとしてトゥールビヨン ...
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詳細:ブガッティが挑む「永遠」への試練
モルスハイムに本拠を置くブガッティにとって、デザインとは常に「永遠に続くかどうか」という厳しい試練と問いかけの連続です。
創業から116年、ブランドを象徴するアイデンティティは、最新モデル「トゥールビヨン(Tourbillon)」のキャビンにも色濃く反映されており、チーフ・インテリアデザイナーのイグナシオ・マルティネス氏は、このプロジェクトを「単なる内装設計ではなく、ブガッティのDNAを継承しながら、直感的なユーザー体験を構築する旅」だと語ります。
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デザインの特徴:デジタル時代への「アンチテーゼ」
そもそも「トゥールビヨン」という名は、19世紀初頭に発明された時計の複雑機構に由来します。
そしてこの機構を採用する機械式腕時計は「デジタル全盛」の時代に絶滅の危機に瀕するも、「時を知る」という腕時計本来の価値を超越し、今では「デジタルにはない職人技の結晶、そしてそれを理解し、その対価を支払える、精神的にも経済的にも余裕がある人物」に支持される形で復権を遂げているわけですね。
こういった背景をもとに、ブガッティ・トゥールビヨンもまた、その名が示すように、時代に左右されない、「タイムレス(時を超越すること)」を原点としてデザインがなされています。
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ブガッティ・トゥールビヨンを見てきた。外装もスゴいが内装もこれまたスゴい。やはり最大のハイライトは「機械式腕時計職人が作ったメーター」だろう【動画】
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1. 「脱デジタル」が生む究極のラグジュアリー
その手法として、現代のクルマの多くが大型液晶ディスプレイを競う中、ブガッティはあえてアナログ技術を追求しています。
- 格納式ディスプレイ: 通常時はダッシュボード内に隠され、必要な時だけ展開
- 物理コントロール: スイッチの一つひとつに、触覚的なフィードバックと適切な抵抗感を持たせ、機械としての質感を極めている
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2. スイス時計職人との共同開発
そして運転席の正面に鎮座するインストルメントパネル(メーター)はまさに芸術品
- スケルトン構造: スイスの熟練時計職人と共同開発。歯車一つひとつが露出した精巧なメカニズム
- 素材のこだわり: 削り出しのアルミニウム筐体に、クリスタルガラスを組み合わせた贅沢な造り
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3. 「カー・クチュール」という新概念
さらにはファッション界の「オートクチュール」を自動車の世界へ。
- センターラインの調和: 外装の特徴であるセンターラインが内装まで貫かれ、運転席と助手席を優雅に仕切る構造を採用
- 新素材の採用: 従来の最高級レザーに加え、新たに開発された専用ファブリックをシートやドアトリムに使用。五感を刺激する空間を作り上げている
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スペック・主要諸元(インテリア注目点)
| 項目 | 特徴・仕様 |
| コンセプト | アナログ・デトックス & タイムレス |
| 計器類 | スイス製フルアナログ・スケルトンメーター |
| ステアリング | 固定式センターハブ(リムだけが回転する特殊構造) |
| 内装テーマ | カー・クチュール(オートクチュール仕立て) |
| 主要素材 | 削り出しアルミニウム、クリスタル、最高級レザー、専用ファブリック |
| インターフェース | 完全格納式センターディスプレイ |
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市場での位置付けと競合比較
現在のハイパーカー市場(フェラーリ、ランボルギーニ、パガーニなど)では、ハイテクなデジタルコックピットが主流ですが、ブガッティはあえてその逆を目指すことに。
「デジタル技術は数年で陳腐化するが、優れた機械式時計は100年後も価値を失わない」
この哲学に基づいたトゥールビヨンは、もはや「移動手段」ではなく「受け継がれる資産」としての地位を確立しており、パガーニのような職人芸的なアプローチをさらに進化させ、自動車工学と時計工学をかつてないレベルで融合させた点において”唯一無二の存在”へと昇華しているわけですね。
なぜ「固定式ステアリングコラム」なのか?
トゥールビヨンでは、ステアリングホイールを回しても中央のロゴやメーター類が回転しない「固定式ハブ(コラム)」を採用しています。
これはかつてシトロエンなども採用した機構ですが、ブガッティはこれを「複雑なアナログ時計を常に最適な角度で鑑賞するため」という、贅沢極まりない理由にて採用しており、視認性と芸術性を両立させる、ブガッティならではのこだわりです。
結論:これは「走る精密時計」である
ブガッティ・トゥールビヨンの内装は単に豪華なだけではなく、それはデジタル化の波に抗い、人間が本能的に感じる「機械美」への回帰です。
固定式ハブのステアリングホイールの背後で、精巧なギアが時を刻むように動く。
その体験は、オーナーに「一生モノ」を所有する悦びを与えてくれ、イグナシオ・マルティネス氏が語るように、鉛筆と手、そして精神によって生み出されたこの空間は、数十年後の世界でも変わらぬ輝きを放ち続けることとなりそうですね。
ブガッティのデザイナーがトゥールビヨンの内装について語る動画はこちら
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参照:Bugatti




















