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新時代を告げる狂気の咆哮。ブガッティがトゥールビヨンの「自然吸気V16」におけるサウンド開発の「裏側」を公開。「いかにして騒音規制をクリアしたか」

ブガッティ トゥールビヨンの開発風景〜走行
Bugatti

| 現代のスーパーカーやハイパーカーにおける大きな壁、それが騒音規制である |

いずれの自動車メーカーであってもここから逃れることはできない

20年以上にわたり、ヴェイロンやシロン、シロンの派生モデル(ボリードやミストラル)を通じてブガッティのアイコンであり続けたW16エンジン。

その重厚なエキゾーストノートはブランドのアイデンティティそのものでしたが、しかし次世代ハイパーカー「トゥールビヨン(Tourbillon)」の誕生に伴い、ブガッティは完全新設計となる自然吸気V16エンジンを選択しています。

そして今回、公式ドキュメンタリー『A New Era』の最新エピソードにて、エンジニア陣がこの究極のV16サウンドをどのように練り上げ、法規制をクリアして完成させたのか、その壮大な開発秘話が明かされることとなっています。

この記事の要約

  • ブガッティの象徴だった8.0L W16クワッドターボから新開発の8.3L 自然吸気V16+プラグインハイブリッド(PHEV)へ刷新。
  • スピーカーからの擬似音(人工サウンド)を全否定。吸排気系メカニズムのみで生み出す「生のサウンド」を徹底追求。
  • 最高回転数9,000rpmの咆哮を維持しつつ、EU等の厳格な騒音規制(ホモロゲーション基準72dB)を見事にクリア。
ブガッティ トゥールビヨンの開発風景〜音響チェック
Bugatti

伝統を継承する「あえて削らない荒々しさ」

トゥールビヨンのサウンド開発は「白紙からのスタート」ではなく、ブガッティが築いてきたヘリテージ(伝統)の再解釈から始まったといい、ブガッティのNVH(振動・騒音)&アコースティック部門を率いるロマン・ヴォラティエ(Romain Volatier)氏は次のように語ります。

「音の観点から言えば、ブガッティのエンジンは決して優等生のように綺麗で澄んだサウンドではありませんでした。常にどこか荒々しく、生々しい(Raw)質感を持っていたのです。だからこそ、新しいV16でもそのワイルドなキャラクターを核として残すことに決めました」

そこで開発チームは数千回に及ぶ吸気・排気シミュレーションを実施。PHEVとしての洗練された質感とハイパーカーに求められる圧倒的な感情を揺さぶるエキゾーストノートを高次元でバランスさせることに成功しています。

ブガッティ トゥールビヨンの開発風景〜W16エンジン
Bugatti

テストドライバーが求める「機械とドライバーの直感的な対話」

「音」は単なる聴覚的演出にとどまらず、走りのパフォーマンスにも直結する”非常に重要な要素”。

開発ドライバーのパオロ・マグローネ(Paolo Magrone)氏はアクセル開度とサウンドの連動性の重要性を強調しており・・・。

「テストドライバーにとって、エンジンの声を聞き、アクセル操作に応じて回転数が上がっていく鼓動を身体で感じ取ることは極めて重要です。スロットルを通じて車に求めている挙動とエンジンサウンドが完全に同期して初めて、ドライバーとマシンの一体感が生まれます」

日常のEV走行時には静粛で快適なキャビンを維持しつつ、ひとたび窓を開ければV16の吸排気音がダイレクトに室内を満たす構造が緻密に設計されていると説明されており、そして何より電子スピーカーで合成された疑似音に頼らず、100%機械的なメカニズムからその音を発生させている点が妥協なきブガッティの真骨頂というわけですね。

ブガッティ・トゥールビヨンのインテリア
Life in the FAST LANE.

72デシベルの壁:厳しいホモロゲーション(型式指定)との闘い

サウンド開発における最大の壁は「官能的な音」と「法的規制(騒音基準)」の両立であったとされ、型式認定テストにおける最大許容騒音レベルは72デシベル(dB)。

この数値をクリアするには、エンジン音だけでなくタイヤのロードノイズ、走行風、さらにはアクティブ・リアウイングが発生させる空気抵抗音まで、車両全体が出すあらゆる音を考慮しなければならず、気温や風速などの気象条件にも左右される繊細なテストではあったものの、チームは見事に一発でホモロゲーションを通過させており、「クルマとして合法でありながら最高にエモーショナルな音を響かせること。その困難な課題を完璧に達成できました」とヴォラティエ氏は自信を覗かせます。※エンジンサウンドを際立たせるためにはロードノイズを抑えるなどの対応が必要であり、非常に繊細な作業が要求されるものと思われる

なお、この「騒音規制」は非常にやっかいなもので、これに適合させるために様々なスーパーカーやハイパーカーのサウンドが「小さく」なってしまい、フェラーリF80が走行する姿を捉えられた際にも少なくはない数の指摘がなされていますね。

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Life in the FAST LANE.

ブガッティ・トゥールビヨンの概要とスペック

「トゥールビヨン」は、コスワース(Cosworth)と共同開発した8.3リッター自然吸気V16エンジンへとフロント2基・リア1基の計3基の電動モーターを組み合わせたハイブリッド・ハイパーカーで・・・。

項目詳細スペック
パワートレイン8.3L V16 自然吸気 + 電動モーター×3(PHEV)
エンジン最高回転数9,000 rpm
最高出力(単体)エンジン:1,000 hp / モーター:800 hp
システム総合出力1,800 hp
0-100 km/h 加速2.0 秒以下
最高速度445 km/h(限定キー使用時)
車両重量1,995 kg 未満(シロンより軽量)
生産台数 / 価格世界限定250台 / 約380万ユーロ(約6億1,000万円〜)

歴代W16モデルおよびライバル車との比較

トゥールビヨンは自然吸気V16を採用したことにより、過給器(ターボ)を持つ前作シロン、そして他社のハイブリッドハイパーカーとは明確に異なるキャラクターを獲得するに至っています。

  • シロン(Chiron)との比較: 8.0L W16クワッドターボ(1,500hp)を搭載していたシロンは重厚で太い低音域とターボの吸気音がその特徴。一方のトゥールビヨンは自然吸気化により最高回転数が9,000rpmまで引き上げられ、高回転域で甲高く伸びやかな高音系エキゾーストノートへと変貌を遂げている。
  • フェラーリ「F80」やマクラーレン「W1」との比較: 競合ブランドがダウンサイジングV6 / V8ターボ+ハイブリッド化へ舵を切る中でもブガッティは「大排気量マルチシリンダー(16気筒)NA」を維持。電動化の力強いレスポンスと純粋な内燃機関の咆哮を融合させた唯一無二の存在感を放っている
ブガッティ トゥールビヨンのリア
Life in the FAST LANE.

結論

3年以上の歳月に及ぶ開発を経てブガッティ・トゥールビヨンのサウンドが完成の時を迎えたというのが今回のストーリー。

最高回転数9,000rpmまで一気に吹き上がる8.3L V16エンジン。それは単なる移動手段の音ではなく、機械工学の粋を集めた芸術品であり、ドライバーの感情を揺さぶる真のオーケストラともいえる存在です。

電動化時代にあっても「本物の機械仕掛けの音」にこだわり抜いたブガッティの情熱はハイパーカーの歴史に新たな1ページを刻むこととなり、この官能的なV16サウンドの開発背景を描いたドキュメンタリー『A New Era pt.1』は、ブガッティ公式YouTubeチャンネルにて公開済み。

過激にして洗練された「新時代の咆哮」を、ぜひ映像と音声で体感してみるのもいいのかもしれません。

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参照:Bugatti

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