
| 加えて「W16」は高回転には向かなかったことも明かされている |
ブガッティは「より高いパフォーマンスを追求するため」W16エンジンを捨て去ることに
現代ブガッティを20年以上にわたり象徴してきた8.0L W16クワッドターボエンジン。
ヴェイロンからシロン、そして最新のワンオフモデル「デストリエ(Destrier)」に至るまで、その圧倒的な存在感とパワーで世界中の自動車ファンを魅了し続けてきた存在です。
しかしブガッティはこのW16エンジンを(トゥールビヨンへの移行に際して)「V16+ハイブリッド」へと置き換えていて、この「ハイブリッド」というところから推測し、世間では「排ガス規制(環境規制)の強化によってW16エンジンが姿を消した」と捉えがちというのが実際かと思います。
ただしW16エンジン消滅の理由は「それだけ」ではないといい、最新ハイパースポーツ「トゥールビヨンの誕生とともに明かされたのは、より速く、より美しく、そしてより高度なエアロダイナミクスを追求するための「物理と数値の計算(Math)」の結果によるものであったこと。
ここでその内容を見てみましょう。
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この記事の要約
- ブガッティのW16エンジン終焉の主因は環境規制だけでなく、車両パッケージングや空力性能における物理・計算上の限界だった
- 後継機「トゥールビヨン」にはコスワースと共同開発した自然吸気V16+プラグインハイブリッドシステムを採用
- ワンオフモデル「デストリエ」などの限定車両に僅かに残されたW16が積まれ、その輝かしい歴史のフィナーレを飾っている

ブガッティ伝説を築いたW16エンジンの系譜
W16エンジンは、フォルクスワーゲングループの故フェルディナント・ピエヒ会長の壮大なビジョンから誕生し、パサートなどに搭載された狭角V型エンジン(VR6やW8)の構造を拡張して2組のVR4バンクをV型に配置することで、V8並みの全長に16気筒を収めるという極めてコンパクトかつ複雑なレイアウトを実現した「名機」。
2005年のヴェイロン登場以来、このW16ユニットはブガッティの絶対的な象徴として君臨しており、現在、W16の生産自体は終了しているものの、フランス・モルスハイムの本社にはわずかな数のエンジンが保管され、「デストリエ」や「F.K.P. オマージュ」といった超希少なワンオフモデル(Programme Solitaire)へと特別に搭載されることでその血脈を保っています。

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特徴・スペック・デザイン
そしてW16エンジン、そしてトゥールビヨンに採用された最新の自然吸気V16ハイブリッドシステムの主要スペック比較は以下の通り。
| 項目 | ヴェイロン / シロン系(W16) | トゥールビヨン(V16 ハイブリッド) |
| エンジン形式 | 8.0L W型16気筒 4ターボ | 8.3L V型16気筒 自然吸気 |
| 最高回転数 | 約6,900 rpm | 9,500 rpm |
| 単体出力 | 1,000 PS〜1,600 PS(シロン) | 1,000 hp(エンジン単体) |
| 電動化 | なし | 3基のモーター(+800 hp) |
| システム総合出力 | 最大 1,600 PS | 1,800 hp |
| トランスミッション | 7速DSG | 8速DCT |

W16は幅広で重厚なエンジンのため、車体後部に巨大なスペースを設ける必要があり、一方、コスワースと共同開発された新V16エンジンは全長こそ長いものの、エンジン自体を前傾配置することが可能となるという特徴も。
このメリットを活かす形でトランスミッションとモーターを後方にレイアウトすることで(トゥールビヨンでは)車体後部のディフューザーをより”前方から”引き上げる自由度を獲得することが可能となり、これによってドラッグ(空気抵抗)を増やさずに絶大なダウンフォースを生み出すことに成功したというわけですね。
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さらにはAIを駆使した構造設計と新設計カーボンモノコックにより、バッテリーやモーターを追加したハイブリッドシステムを持ちながら(驚くべきことに)車両重量はシロンよりも約66kg軽量に仕上がっています。
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競合比較・市場でのポジショニング
現在、ハイパフォーマンスカーの世界ではダウンサイジングと電動化が主流となっていて、フェラーリ「F80」やメルセデスAMG「ONE」などはV6ターボ+ハイブリッドシステムを採用しており、シリンダー数を減らして効率を追及するというのが現代のセオリーというのも一つの事実(モータースポーツの現場がすでにそうなっている)。
しかし、リマック傘下となったブガッティは完全電動車(BEV)へと一気にシフトするのではなく、あえて16気筒という伝統のシンボルを維持する道を選択し、かつターボに頼らず9,500rpmまで吹け上がる8.3L自然吸気V16を(W16クワッドターボにかわって)搭載することでラグのないレスポンスと有機的なサウンドを実現し、他社ハイパーカーとは一線を画す「タイムレスな芸術品」としての立ち位置を確固たるものとしています。
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W16からV16への転換がもたらした新しい気止
「W16の終焉=排ガス規制の被害者」という見方は「ほんの一面」でしかなく、たしかにW16エンジンにて欧州のCO2排出基準(W16ミストラルで21.8L/100km、495g/kmのクラスG)をクリアし続けるのはますます厳しさを増していたことも事実ではありますが、決定打となったのは「さらなる速度と運動性能を突き詰めるための計算結果」。
- ターボラグの排除: モーターの即時トリップにより低回転域のトルクを補うことで、巨大なターボチャージャーが不要になった(これにより高回転化が可能となった)
- パッケージングの刷新: ターボ配管や巨大な冷却ラインから開放され、より低く流麗なボディラインと高度なグラウンドエフェクトを実現できた
- 日常性とエモーショナルの両立: 約60km(37マイル)のEV走行モードを備えることで静粛な街乗りを可能にしつつ、サーキットや超高速域では高回転NA V16の官能的なエキゾーストノートを堪能できる
W16という重厚な巨大な金属の塊から解き放たれたことにより、ブガッティはデザインとエアロダイナミクス、そしてパフォーマンスを新たな次元へ引き上げたというのが正しい解釈かと思われます。
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結論
ブガッティがW16エンジンを「引退」させたのは単に時代の波(環境規制)に押し流されたからではなく、ハイパーカーとしての絶対的なパフォーマンス、軽量化、そして極限のエアロダイナミクスを追求した結果として「自然吸気V16+電動化」という新たな解に辿り着いたからであり、つまり消極的な理由ではなく「積極的な理由」によるもの。
クワッドターボW16が残した偉大な功績は「デストリエ」のような特別なワンオフモデルの中に息づきつつ、ブガッティの未来は「トゥールビヨン」が切り拓く新時代へと確かに受け継がれているというわけですね。
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参照:CARBUZZ











