
| ブガッティ最新ハイパーカー「トゥールビヨン」のエンジン始動シーケンスとは? |
たしかに「昔のクルマのエンジン始動方法をオマージュ」と言われていたが
1,800馬力を誇るブガッティの最新ハイパーカー「トゥールビヨン(Tourbillon)」。
そのエンジン始動映像がドライバー視点(POV)で公開され、大きな話題を呼ぶことに。
ブガッティはトゥールビヨン発表時、そのエンジン始動の方法についても「昔のクルマをオマージュ」したと述べていたものの、実際の動作については説明されておらず、そして今回初めてそれが明かされたというわけですね。
単にボタンを押して始動する一般的なクルマとは異なり、トゥールビヨンの始動にはキャブ車の”チョーク”作業のような「手順(シーケンス)」が存在し、ここではドライバー視点だからこそ味わえるコクピットの質感、そして新開発V16エンジンが奏でる咆哮を見てみましょう。
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この記事の要約
- 独特な始動アクション:一般的なプッシュスタートではなく、スイッチがポップアップしてから引いて始動する独自の儀式を採用。
- 新開発8.3L V16自然吸気:ターボを廃し、最大9,000rpmまで一気に吹け上がる圧倒的なレスポンスとサウンド。
- 機械式時計のようなコクピット:スイスの時計職人と共同開発されたスケルトンメーターなど、工芸品レベルのメカニズムを搭載。
ドライバー視点で明かされた「エンジン始動」の緻密な儀式
Instagramで共有された動画では、精巧に作り込まれたセンターコンソールとメーターがドライバー視点にてリアルに映し出されていますが、トゥールビヨンではスタート/ストップボタンを押すだけではエンジンはかからず、まずはこのスタート / ストップボタンを一度押すとコンソールからボタン自体が静かにポップアップ。
この段階でシステムチェックが走り、燃料ポンプなどの補機類が起動して走りの準備が整い、その後にドライバーがポップアップしたボタンを「手前に引く」ことで背後に積まれた巨大なV16エンジンが爆音とともに目覚めるといったプロセスを減るようです(これは知らないと絶対に始動できない)。
なお、この作業はまさに「キャブ車」におけるチョークそのもので、チョークを知る人は「ニヤリ」としてしまうのかもしれません。

「チョーク」とは
キャブ車にあった「チョーク(choke)」とは、主にキャブレター式エンジンを冷間始動するときに混合気を濃くするための装置なのですが、昔のクルマの多くは現在のような電子制御燃料噴射ではなくキャブレターでガソリンと空気を混ぜていて、そのためエンジンが冷えていると、
- ガソリンが気化しにくい
- 吸気管やエンジン内部にガソリンが付着する
- 通常の空燃比では燃焼しにくい
という問題起こってしまい、そこで始動時だけガソリンの割合を増やした「濃い混合気」を作る必要があり、そのための操作が「チョークを引く」。
実際には何をしていた?
一般的な手動チョーク車では、ダッシュボードに「CHOKE」と書かれたノブやレバーがあり、これを引くことでキャブレター入口のチョークバルブ(蝶弁)を閉じ気味にし、すると、「吸入空気量ダウン → キャブレターでの燃料供給量 アップ → 混合気が濃くなる」という状態に。
つまり「チョーク」という名前ですが、単純に空気を遮断するだけではなく、結果として始動しやすい濃い混合気を作るのが目的です。
作業手順だと以下のような感じとなっていて、「チョークを戻す」ところまでが一連の作業となり、しかし今回の動画では「スタート / ストップボタンを戻す(あるいは自動で戻る)」ところまでは確認できず。
① チョークを引く
↓
② アクセルを少し踏む/ポンピングする
↓
③ セルを回す
↓
④ エンジンが始動
↓
⑤ エンジンが暖まってきたらチョークを徐々に戻す
そのレスポンスは「一瞬でオーバーレブしそう」
そしてこの動画ではアクセルをあおって軽く空ぶかしをすると、自然吸気V16エンジンは恐ろしいスピードで回転数を上げ、9,000rpmの領域まで一気に駆け上がり、そのレスポンスの速さと研ぎ澄まされたエキゾーストノートはまさに息をのむクオリティで、「見れば必ず驚く」レベルです。

なお、このレスポンスの鋭さを見て思うのは「オーバーレブしてしまいそう」ということで、実際には制御が入るためにオーバーレブすることはなさそうではありますが、これだけの反応速度を持つエンジンはそうそうなく、このメーターを見ながら運転するという行為のためだけにも「7億円を払う」価値はあるのかもしれません。
参考までにですが、ランボルギーニ・ガヤルドのエンジンはV10ながらも「超高回転型」で知られていて、常用回転数が3,000回転くらい、そしてレブリミットは8,500回転だったと記憶していますが、5,000回転からレブリミットだと「一瞬」で、これは文字通り普通のドライバーがアクセルペダルをコントロールしてタコメーターの針をレッドゾーン手前にとどめておけるスピードとレスポンスではなく、よってマニュアル・トランスミッション車の場合はオーバーレブが続発したと言われています(Eギアだとレブリミット以上は回らない)。
ブガッティ・トゥールビヨン:車種概要・スペック・機械式時計の美学
トゥールビヨンの概要と圧倒的スペック
シロンの後継モデルとして登場したトゥールビヨンは、W16クワッドターボから一転し、コスワースと共同開発した8.3リッターV16自然吸気エンジンに3基の電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHEV)を採用しており、そのスペックは以下の通り。
| 項目 | スペック・仕様 |
| パワートレイン | 8.3L V16自然吸気 + エレクトリックモーター3基(前2 / 後1) |
| システム総合出力 | 1,800 hp(エンジン 1,000 hp + モーター 800 hp) |
| 最高許容回転数 | 9,000 rpm |
| 0-100km/h 加速 | 2.0 秒 |
| 最高速度 | 445 km/h(スピードキー使用時) |
| トランスミッション | 8速デュアルクラッチ(DCT) |
| 生産台数 / 価格 | 世界限定250台 / 約380万ユーロ〜(約6億円〜) |

スイス時計職人が手がけた「トゥールビヨン(渦巻)」の名の由来
車名である「トゥールビヨン」は、機械式時計において重力による誤差を補正する最高峰の複雑機構に由来していて、その名に恥じず、メーターパネルはスイスの高級時計職人によって設計・製造されるもの。
600以上ものチタンやルビー、サファイアなどのパーツで構成されたスケルトン構造のメーターは、ステアリングホイールの外枠だけが回転しても常に固定され、視認性を保つ独自の構造を採用していますが、デジタル液晶画面が数年〜数十年で陳腐化するのに対し、「100年後も色褪せない美しさ」を追求したアナログメカニズムです。

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競合ハイパーカーとのポジショニング比較
近年、マクラーレンW1やフェラーリの最新フラッグシップがV8ターボ+ハイブリッドへとダウンサイジングを進める中、ブガッティは「16気筒自然吸気」という極上のフィーリングを維持する道を選んでおり、電動化による環境性能や瞬発力を備えつつも、内燃機関の感性を極限まで高めた唯一無二の存在であると言えそうです。
結論:デジタル時代に際立つ「アナログの最高峰」
デジタル化と自動化が加速する現代において、ブガッティ・トゥールビヨンが見せたエンジン始動の儀式は、このハイパーカーがスピードのみを誇示する存在ではなく「情熱と職人技の融合」であることを改めて証明するもの。
ボタンを引いてV16エンジンを目覚めさせ、9,000rpmの快音を響かせる。
この体験は限られたオーナーだけに許された究極の”ラグジュアリー”ともいうべきものであり、、時代を超えて語り継がれる新たな伝説がここから始まるというわけですね。
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参照:omerta_vip











