| アメリカの市場動向はけっこう独特 |
米国「GoodcarBadcar.net」による、2018年4月までの自動車販売状況。
これを見るとけっこう独特(いや日本が特殊なだけか)で、ミニバンやワゴン、コンパクトカーは不在。
SUVダントツ、次いでセダンという状況となっており、これは「中国市場」にかなり似ている、と言えるかもしれません。
「SUV」「高級車」など各セグメントごとに公開されており、ここでその内容を見てみたいと思います。
乗用車全体でのランキングはこうなっている
こちらは乗用車全体のランキングですが、要注意なのは「SUVはここに含まれない」ということ。
アメリカでは乗用車とSUVとを分けているということになりますが、1位のカムリはこのジャンルではトップではあるものの、SUVまで含めると3位に後退。
それだけSUVが売れているということになりますが、さらにカムリは2位のシビックにも追い上げられている状態で、かつホンダだとそのシビックがアコードの販売を「食ってしまって」いることもわかります(カムリも早晩カローラに侵食される)。
これはつまり、「下位モデルが上位モデルの販売を奪っている」というカニバリズムが生じていることになり、これの意味するところは「メーカーの利益減少」。
フォードは「乗用車市場は縮小するだけではなく、安価なモデルしか売れなくなるだろう」と踏んでSUV/トラックに集中することにしたのだと思われ、かなりドラスティックな判断ではあるものの「賢明な」方法だと言えます。
このあたり「犠牲を出してでも生存者を確保する」というアメリカの考え方がよく現れているのかもしれません(日本だと犠牲者を出すこと、切り捨てることは許されない傾向がある)。
なお、プリウスと同じくらいマスタングが売れているのにも驚きです。
1.トヨタ・カムリ 120,615台
2.ホンダ・シビック 110,548台
3.トヨタ・カローラ 103,716台
4.ホンダ・アコード 83,352台
5.日産セントラ 77,001台
6.日産アルティマ 73,806台
7.ヒュンダイ・エラントラ 61,108台
8.フォード・フュージョン 56,047台
9.フォード・フォーカス 48,047台
10.ヒュンダイ・ソナタ 33,441台
11.キア・フォルテ 32,930台
12.スバル・インプレッサ 32,142台
13.日産ヴァーサ 31,363台
14.キア・ソウル 30,243台
15.トヨタ・プリウス 29,665台
16.ダッジ・チャージャー 27,897台
17.キア・オプティマ 27,886台
18.フォード・マスタング 26,289台
19.ダッジ・チャレンジャー 23,540台
20.メルセデス・ベンツCクラス 18,498台
SUVランキングを見てみよう
SUVで最も強いのは「日産ローグ(エクストレイル)」。
その他特筆すべきはジープの強さで、ここは「さすがアメリカ」といったところ。
中国企業が「ジープブランド」を欲しがるのもよくわかりますね。
なお「売れまくっている」という印象の強いスバルですが、意外や下位。
しかしラインナップの多くがランクインしていることを考えるに「効率は良い」と言えそう。
1.日産ローグ(エクストレイル) 139,785台
2.トヨタRAV4 122,466台
3.ホンダCR-V 110,369台
4.フォード・エスケープ 88,773台
5.ジープ・ラングラー 85,280台
6.フォード・エクスプローラー 83,669台
7.トヨタ・ハイランダー 71,338台
8.ジープ・グランドチェロキー 70,095台
9.ジープ・チェロキー 67,497台
10.スバル・アウトバック 58,205台
11.ジープ・コンパス 55,041台
12.マツダCX-5 54,129台
13.スバル・フォレスター 50,783台
14.ホンダ・パイロット 49,724台
15.スバル・クロストレック 45,728台
ラージ・ラグジュアリーSUVのランキングはこうだ
SUVを細分化し、その中の「高級」部門。
あくまでも「高級」なので、シボレー・タホのようなモデルはここに含まれず。
メルセデス・ベンツの人気が高いことがわかりますが、メルセデスは「全体」ランキングにCクラスが入っていて、BMW、アウディに対して北米市場では明らかな優位性があるようです。
1.メルセデス・ベンツGLS 10,006台
2.キャデラック・エスカレード 7,505台
3.レンジローバー 6,949台
4.インフィニティQX80 6,691台
5.リンカーン・ナビゲーター 3,191台
6.レクサスLX 1,895台
7.メルセデス・ベンツGクラス 1,373台
8.トヨタ・ランドクルーザー 1,033台
9.ベントレー・ベンテイガ 286台
高級車市場はどうなっている?
「高級車」に分類されるマーケットでのランキングはこちら。
トップはレクサスのSUV、「RX」。
もはや高級車市場においてもSUVでないと売れないと言ったことが鮮明になっていますが、ここでもメルセデス・ベンツの強さが光るところ。
ちなみにコンシューマーレポートはじめとするアメリカの調査結果だとメルセデス・ベンツの評価はかなり低くなっているものの、その評価と売れ行きとは直接の因果関係はないようですね。
1.レクサスRX 31,500台
2.メルセデス・ベンツGLC 22,113台
3.アウディQ5 19,305台
4.レクサスNX 18,835台
5.メルセデス・ベンツCクラス 18,498台
6.BMW3シリーズ 17,201台
7.メルセデス・ベンツEクラス 16,380台
8.BMW X5 15,876台
9.メルセデス・ベンツGLE 15,766台
10.アキュラRDX 15,326台
高級車(大)の順位はこちら
高級車をさらに分け、こちらはラージクラスのランキング。
テスラ・モデルSが圧倒的な強さを見せていることがわかりますが、やはりメルセデス・ベンツがBMW、アウディに対してリードしていることもわかります。
ジャーマンスリーの世界販売を見るにメルセデス・ベンツは北米、アウディは中国の販売比率が多いようですが、成長力では中国のほうが勝るものの、安定性では北米のほうが優れると思われ、「安定している」のはメルセデス・ベンツのほうかもしれません。
1.テスラ・モデルS 7,200台
2.メルセデス・ベンツS60クラス 5,139台
3.BMW 7シリーズ 3,097台
4.ポルシェ・パナメーラ 1,715台
5.ジェネシスG90 1,519台
6.レクサスLS 1,238台
7.BMW 6シリーズ 1,029台
8.アウディA8 1084台
9.ジャガーXJ 966台
高級車(中)はこんな感じ
こちらは高級車の”ミドルクラス”。
やはりメルセデス・ベンツの強さが目立ち、アウディが弱いこともわかります。
トヨタ・ホンダは普及価格帯、レクサスは高級SUV、テスラは高級サルーン、ジープはオフローダーといった感じでそれぞれの強みを持ちますが、BMWやとりわけアウディは「北米での強み」を発揮できず、やや存在感が薄いという印象を持たれているのかもしれませんね。
1.メルセデス・ベンツCクラス 28,440台
2.BMW3シリーズ 18,131台
3.インフィニティQ50 13,009台
4.アキュラTLX 12,382台
5.アウディA4 12,050台
6.BMW4シリーズ 11,962台
7.レクサスIS 7,858台
8.メルセデス・ベンツCLA 5,077台
9.インフィニティQ60 4,115台
10.ボルボS60 4,099台