| トヨタはBMWを理解するのにかなり苦労したようだ |
新型トヨタ・スープラとBMW Z4は両者の共同開発となりますが、これには様々な苦労があった、とトヨタのスポーツ車両統括責任部長、多田哲哉氏がメディアに激白。
車両どうこうよりもまず「会社としてのフィロソフィ」「日本人とドイツ人とのメンタリティの違い」が大きかったとされ、こういった相違を乗り越えてゆくことが困難であったようですね。
新型スープラとBMW Z4とはもともと一つの車ではない
なお新型スープラの開発についてはBMWが主導で行い、トヨタはほぼ関与していないと言われるものの、実際のところは謎。
本来トヨタはもっと開発に関わりたかったところ、こういった相違を鑑みるに「もうBMWに任せたほうが」と考えたのかもしれませんし、違いを克服してでも思うところを通したのかもしれません。
ちなみにトヨタ86とスバルBRZも両社の共同開発となり、その際もトヨタ側からのコメントとして、「文化の異なる他社と共同でクルマを開発するというのは相当に難しい作業であると思い知らされた」とも語っています。※スズキはこういった「相容れない思想」のためにVWと袂を分かったと言われる
その際、具体的な例として「(トヨタとスバルは)同じ日本の会社で、同じパーツや構造なのに、両社で呼び方が異なる」ということを掲げていましたが、こういった小さな積み重ねが大きな壁となるのでしょうね。
多田 哲哉氏によるとトヨタとBMWの共同作業は2012年に始まり、最初の二年は「両社のデザインやエンジニアリング思想についての相違を洗い出すこと」に費やし、次の二年は「お互いが何をするかを明確にする」ために使った、とのこと。
なお、最初から両社がアイデアを出して一つの車にするのではなく、まずはトヨタとBMWそれぞれが「作りたいクルマ」を描き出し、そこから「共通化できる部分/パーツ」を探ってゆく手法が取られたそうですが、これに先駆けトヨタが最初にBMWへとアプローチした際にBMWから帰ってきたコメントは予期していないかった内容であり、「両社がそれぞれ目指すようなクルマを作れないのであれば、パーツ共有化を行う意味はない」というもので、そもそもトヨタの考えていた「最大限パーツの共有化を行う」という目的とは完全に異なるもの。
そこで上述のように「まずは別々のものを考え」、そこから共通化できるものを探したのがスープラとZ4だとし、つまりは「もともと一つのクルマであったものを、”トヨタ版” ”BMW版”へと分けたものではない、ということですね。
こう聞くとトヨタ・スープラは「単なるBMW Z4のバッジ違いではない」ということも理解でき、トヨタがかねてより主張する「新型スープラはよりハンドリングに特化した、サーキットに近い車」ということも俄然信憑性が増してきます。
トヨタが今回(BMWと共同開発を行うことで)相当な苦労を重ねてきたことは理解できますが、いったんBMWの文化を理解したことをきっかけに「BMWとの共同開発」が加速するのか、それとも「もうこりごり」なのかも正直な意見を聞いてみたいところ(BMWのコメントを見るに、”次”はなさそうですが)。
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