｜ 実際に統計を取ってみると、ジャンボキドニー装着モデルの成長率がモノ凄い ｜
しかもライバルメーカーのクルマをも圧倒、まさに成長の原動力と言っていい
さて、近年の自動車デザインにおいて大きな話題となっているのがBMWのジャンボキドニー。
あまりにグリルが大きく目立つので「醜い」「販売を阻害する」と言われたものの、実際には”ジャンボキドニーを持つモデルの販売が、そうでないモデルに比べ、好調に推移している”ということが統計から明らかに。
具体的には、BMWが発表した（北米市場における）2023年第2四半期の販売につき、4シリーズ、7シリーズ、iX、XMなど”ジャンボキドニー装着モデル”の販売台数が2022年第2四半期と比較して大幅に増加し、非常に高額なXMでさえ堅調な実績を残したことが判明しています。
-
-
参考喧嘩上等！BMWが東京オートサロンに巨大キドニーグリルを再現したブースを設置すると発表、「話題にならなかったら負け」を地でゆくようだ
｜ BMWは常にその製品、プロモーションにおいて話題になることを心がけている ｜ 現代において「議論されること」は最高のプロモーションだとも言えるだろう さて、BMWが「2023年1月13日から1月1 ...
続きを見る
そもそもなぜキドニーグリルが巨大化したのか
なお、BMWのキドニーグリルが大きくなったのは先代7シリーズの後期モデルから。
後期モデルにスイッチするに際し、BMWはわざわざ（フェイスリフトでは異例でもある）ボンネットの造形を変更してまでキドニーグリルを40％も巨大化させており、この理由は「高級車は高級車らしく見える必要があるから」。
これはおそらく、BMWが傘下に収めるロールス・ロイスのパルテノングリルが非常に好調であることにヒントを得たためだと思われますが、高級車はやはり大きなグリルを持ち、相対的にヘッドライトを小さく見せることで車体の大きさを強調するという意図があったのだと思われます。
その後BMWはX5やX6でもジャンボキドニーを採用しており、批判をよそにキドニーグリルを巨大化させてゆきますが、実際のところこの時点で「ジャンボキドニー採用モデルの販売が好調」だというコメントも出されています。※そしていまや、X5やX6のキドニーグリルはさほど大きな部類ではないということにも驚かされる
-
-
BMW「巨大キドニーグリル？ええ、評判いいですよ」。BMWは自信を得てさらに大きなキドニーグリルを各車に採用する模様
｜ ただしそのサイズはモデルごとのキャラクターによって決定される ｜ BMWはキドニーグリルをどんどん巨大化させていますが、これについては（フェイスリフト/マイナーチェンジ版の）7シリーズが第一弾。こ ...
続きを見る
さらにキドニーグリルは進化を遂げる
そしてBMWが次に繰り出してきたのが縦型キドニー（バーチカルキドニーグリル/ビーバートゥース）。
これは4シリーズで導入され、その後M4やM3にも採用されていますが、その理由は「冷却等のためのエアの取り込みをセンターに集中させることで、ラジエターを中央に集約させることができ、軽量化やロールセンターの適正化に貢献するうえ、バンパーサイドのエアインテークをエアロダイナミクス向上のために使用できるようになり車両全体の効率性が向上する」。
さらにBMWはこのキドニーグリルにつき、形状やサイズ以外にも「光る」「立体構造」といったアレンジを加えてゆき現在に至るわけですが、これだけバリエーションを増やしているのは、現実問題として「押し出しの強いキドニーグリル」が消費者に支持されているということの証左なのだと思われます。
-
-
BMWのデザイナー「キドニーグリルはこれからも進化、そして多様化するでしょう。M4の巨大グリル？採用したことに後悔などしていません。もちろんです」
｜ たしかに、BMWはキドニーグリルのおかげでアウディやメルセデス・ベンツに比較して各モデルごとの個性が際立っている ｜ 実際に販売に結びついているところを見ると、BMWの言うとおり、それは「正しい行 ...
続きを見る
実際のところ、こういった押出の強い顔つきを好む人も少なくはなく、よってトヨタもノア/ヴォクシー、アルファード/ヴェルファイアにおいて「フロントのほとんどがグリル」といった状況になっているわけですが、BMWのジャンボキドニーは「消費者が潜在的に求めていたもの」と捉えることも可能です。
-
-
BMWとアウディのドライバーは他メーカーに比較して圧倒的にサイコパス傾向が高いとの統計。「大きなグリル」「プレミアムメーカー」が共通項？
｜ さらにはエレクトリックパワートレーンを積むクルマのドライバーもサイコパス傾向が高いもよう ｜ なんとなく今回の統計には納得させられる さて、世界中の統計において評判が悪いのがBMWのドライバー。「 ...
続きを見る
参考までに、BMWと同じように「大きなグリル」を採用してきたアウディは「今後、ソフトなデザインを採用し、大きなグリルを用いない」とコメントしていますが、これはコロナやロシア-ウクライナの紛争など、ここ最近起きた不幸な出来事に対して人々が疲弊しているからであり、そこに刺激的なデザインを投入することはできないという理由から。
-
-
アウディのデザイナー「今後はもう、怒った顔のクルマをデザインすることはないでしょう。路線を180度転換し、ソフトで柔らかく、フレンドリーになってゆきます」
｜ アウディのデザイナーは実のところ、アグレッシブでダイナミックなデザインが好きではなかったらしい ｜ しかしアウディらしさを捨てることで、アウディは新しい「アウディらしさ」を考えねばならない さて、 ...
続きを見る
実際のところ、ジャンボキドニー採用モデルはこれくらい売れている
そこで実際、BMWのジャンボキドニー採用モデルがどれくらい売れているのかを見てみたいと思いますが、その代表格である4シリーズだと（2023年第2四半期に）前年同期比107.1%増となる13,765台を販売しています。
これに対し、「控えめな」通常のグリルを持つ3シリーズの販売は24.1％増となっており、それまでの「抜きつ抜かれつであった3シリーズと4シリーズの販売」に大きな差が生じることに。
そして（当時）BMW史上もっとも大きなグリルとともに登場し、自動車業界に衝撃を与えた新型7シリーズは2023年第2四半期に前年同期比で66.1%増の販売を記録しています。
ただ、もっとも販売が伸びたのは、その全体のスタイリング含めて「もっとも奇っ怪な」BMWでもあるiXで、こちらはなんと282.5%増の4,135台を販売。
なお、増加率だけではその数字的インパクトが弱く、しかし同じピュアエレクトリックSUV、かつBMW iXよりも安価なアウディQ8 e-tronとQ8スポーツバックe-tronの販売台数が合わせて1,119台であったといえば、いかにiXが支持されているかがわかりますね。
さらにジャンボキドニーの効果を裏付けする数字を挙げてみると、X1の販売は138.4％増、しかし通常のグリルを持つ2シリーズでは21.7%減、8シリーズだと32.6%減、X3も32.5%減。
こういった数字を見ると「キドニーグリルが大きなモデルは良く売れていて、そうでないモデルは売れていない」という結論を導き出すこともできますが、もちろん各モデルそのものの商品価値、競合と比較した際の競争力、新鮮さなどの要素も関係しているとも考えられ、よって「ジャンボキドニー装備＝売れる」という相関関係が立証されたわけではないのには要注意。
ただ、多くの「外野」が主張するように、ジャンボキドニーの個性が強すぎて売れないということについては、明確に「誤りである」と捉えることが出来るのかもしれません。
実際のところ、ジャンボキドニーを持つBMWを購入し、次に買い替えるBMWのキドニーグリルが小さかったら「えぇ・・・」となったり、物足りなく感じたりすることもありそうですね。
-
-
BMWのキドニーグリルの歴史は100年超。それはどう始まり、どう変化し、そしてこれからどこへ向かうのか。10の歴史的モデルとともに解説
｜ BMWのキドニーグリルは見た目以上にその「意味」が大きく変化していた ｜ キドニーグリル、それはBMWのDNAそのものである さて、BMWのデザインにおいてはホフマイスターキンクなどいくつかのデザ ...
続きを見る
あわせて読みたい、BMW関連投稿
-
-
BMWの巨大グリルは話題作りのための炎上商法だった！「発売されて、論争の対象にならないようであれば我々の負けです。議論によって新しい顧客を呼び込めるのです」
｜ たしかにBMWのいうことは一理ある。知ってもらわなければなにもはじまらない ｜ 炎上だろうがなんだろうが、知ってもらえれば残る人はちゃんと残る さて、BMWは「Mブランド2番めとなる専売モデル」と ...
続きを見る
-
-
BMWのデザイナー「これからもキドニーグリルは変わり続けます。今までは横に長くしたり縦に伸ばしましたが、ちょっとクリーンなデザインになるでしょう」
｜ 正直、ボクは現在のBMWのデザインをけっこう支持している ｜ そして今後、どういったデザインになるのかにはちょっと期待している さて、とにかく近年のクルマのデザインで話題に上がるのがBMW。もとは ...
続きを見る
-
-
BMW史上もっともパワフルな「XMレーベルレッド」発表！BMW史上最大のグリルに加え、そのインパクトも確実にBMW最強だと思う
｜ BMWはとことんそのインパクトを追求するデザイン的戦略を突き詰めるようだ ｜ ここまでのインパクトを持つBMWは過去に存在しないだろう さて、BMWが以前に予告していた「BMW史上もっともパワフル ...
続きを見る
参照：CARBUZZ