| たしかに、BMWはキドニーグリルのおかげでアウディやメルセデス・ベンツに比較して各モデルごとの個性が際立っている |
実際に販売に結びついているところを見ると、BMWの言うとおり、それは「正しい行動」なのだろう
さて、BMWはつい先日、ラスベガスにて開催された家電見本市「CES」にてi ヴィジョン Deeを発表しています。
このクルマはBMWが2025年に発表する革新的なEVシリーズ「ノイエクラッセ」のある種の予告となっていますが、そこで採用されたのが「eインク」なる電気的にボディカラーを変更できる技術、そしてヘッドライトを内蔵した「ワイドなキドニーグリル」。
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BMWは過去にも「ワイドなキドニーグリル」を採用したことも
こちらがそのi ヴィジョン Deeのフロントグリル。
自由に色が変わるのでボディカラー同色からブラックにも変化させることが可能です。
そしてこの「ライトユニット内蔵キドニーブリル」で思い出すのが1961年に発売された初代ノイエクラッセ、BMW 1500。
これは中央の縦長キドニーグリルのほか、その両脇に横長キドニーグリルを設けた(ダブルキドニーとも言える)初めての例で、横長キドニーの中にヘッドライトを格納していることがさらなる特徴なのですが、「新」ノイエクラッセを予告するi ヴィジョン Deeにおいては、この初代ノイエクラッセのグリルを意識したんじゃないかとも考えています。
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BMWはさらにキドニーグリルを多様化させる
つまりBMWは昔から様々なキドニーグリルにチャレンジしてきた歴史を持ち、そしてこれからもそうであり続けるということになりますが、今回BMWにてデザイン部門を率いるエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏によれば「キドニーグリルは進化し続け、さらなる多様化が計画されている」。
ちなみに進化し続けた結果、大きくなりすぎて批判を浴びてしまったM4/M3のバーチカルキドニーにつき、同氏は「後悔していないか」と尋ねられ、これについては「後悔していませんよ。もちろん変化は我々が意図的に加えるものであり、人々が話題にすることは事前にわかっていました。また、人々の話題にのぼることは、必ずしも悪いことではないことも知っています。悪いのは、人々が話すだけで買わないことです。でも、話してくれるし、買ってくれるのだから、やはり正しいことをした考えて良いでしょう」。
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実際のところ、BMWは「話題にならなければ我々の負け」とも語っており、意図的に議論を呼ぶようなデザインを用いていることについて言及していますが、その結果(エイドリアン・ファン・ホーイドンク氏が指摘するように)販売を伸ばしているので、議論を巻き起こすことにより、今までBMWに興味を持たなかった人がBMWに興味を持ち、そしてそのうちのいくばくかは購入に至っているのでしょうね。
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そして今後「どう」キドニーグリルが進化するのかはわからないものの、同氏はかつて、「一般的なモデルには一般的なキドニーグリルを、そして尖ったモデルには思い切ったキドニーグリルを」と述べており、キドニーグリルはモデル間の差別化を拡大する要素として活用できることにも言及しており、これによって(そのモデルの)キャラクターを際立たせることが可能になるのだと思われます。
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これはBMW各モデルに固有のファンをつけることにも役立つものと思われ(金太郎飴を脱し、それぞれのモデルを”積極的に”選ぶ動機を与えることができる)、モデル間での差別化、そして個性に乏しいと言われるアウディやメルセデス・ベンツに対するBMWのアドバンテージたりうるのかもしれません。
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参照:BMWBLOG