| ただしこれはニュルブルクリンク「特攻仕様」だとも考えられ、市販車としてカウントするのは難しい |
ポルシェは「MRキット」を純正オプション扱いとすることで”市販車”の枠に収めたいようだが
さて、ポルシェ911GT2 RS「MR改」がニュルブルクリンクを6:38.84で走り、「ニュルブルクリンク王者」に輝くメルセデスAMG GT ブラックシリーズ(6:43.616)を下した、とのこと。
なお、このポルシェ911GT2RS MR改、メルセデスAMG GTブラックシリーズのタイムは「以前の方法」で計測されたもので、「最新の方法」だとそれぞれ6:43.30と6:48.047という数字となります。
ニュルブルクリンクには二種類のタイム計測方法がある
ニュルブルクリンクのタイム計測については二種類が混在し、これまで一般的だったのは「グランドスタンドT(ターン)13の終わりから計測を開始し、T13の始まりで計測を終了する」というもの。
これは走行距離はちょっと短くなる(20.6キロ)のでタイム計測的に有利であり、多くの自動車メーカーそしてカーメディアが採用してきた方法です。
ただし2019年にニュルブルクリンクGmbHは旧来の方法ではなく、「T13の同じところを計測開始と終了のポイントとし、この方法にて計測したタイムを公式として認定する」と制定しており、これによって走行距離は20.6キロから20.8キロへと伸びる(正確には232メートル)ことに。
ただ、現在でも多くの「旧方式」による記録が残っているため、多くのメーカーは「二種類」のタイムを公表することが多いようですね。
ポルシェは何が何でも「ニュルNo.1」でなくては気がすまない
なお、ポルシェはとにかくニュルブルクリンクでトップのタイムを出さないと気がすまないという(そのイメージとは裏腹に)気性の荒いメーカーであり、現在のところ「サルーン最速」の座はポルシェ・パナメーラ、そしてSUV最速のタイムを誇るのも(つい先日タイムを更新した)ポルシェ・カイエン。※サルーン最速については、メルセデスAMG Gtが「オプション装着」にて挑み、パナメーラの記録を破っている
さらには919ハイブリッドEVOが5:19.546という驚異的なタイムを記録して「プロトタイプ部門」のレコードホルダーとなっています。
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今回は911GT2RS MRをバージョンアップ
そして今回ポルシェがニュルブルクリンク最速を記録した「911GT2RS MR改」ですが、これは911GT2RS MRのバージョンアップ版。
もともとの911GT2RS MRについては、2018年当時、ポルシェが911GT2RS(ノーマル版)にてニュルブルクリンク最速を謳歌していたところ、ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJが911GT2RSのタイムを破って首位を奪い、しかしそれに納得できなかったポルシェが、子会社であるレーシングファクトリー、マンタイ・レーシング(MR)に依頼して「ニュルブルクリンク専用パッケージ」を組み込ませた改造車。
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この「MRキット」の内容としてはフロントスポイラーフラップ、カーボンファイバー製アンダーボディパン、リアウイングとディフューザー、オプションでホイール変更とフロントホイールエアガイド装着というメニューとなりますが、そのキット価格は全部含めると1200万円以上。
ポルシェはこれがニュルブルクリンク攻略用のワンオフモデルではなく、一般の人も購入できる「市販車」ということをアピールするため、自社のオプションプログラム「テクイップメント」にてこれを選択できるようにしています(ただし欧州のみだと言われている)。
これによってポルシェは2年ちょっとの間、「ニュルブルクリンク王者」の座に君臨してたものの、2020年11月にはメルセデスAMGがAMG GTブラックシリーズにてポルシェ911GT2MRの記録を塗り替えることになり、そこでポルシェが新たに用意したのが今回の911GT2RS MR改。
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ただ、このクルマにしても「改造車」だとは言われないよう、新たに組み込んだサスペンション(フロントに3段階、リアに4段階の調整機能付き)とブレーキパッド、ブレーキラインのスチール製シュラウドにつき、ポルシェは「純正オプション」として販売する意向を持っているようですね。
このポルシェ911GT2RS MR、911GT2RS MR改について「市販車」に含めるべきかどうかは議論を要するところではありますが、多くは「改造車であって市販車とは認められない」という意見を持つようです(ぼくもそう思う)。
ポルシェ911GT2RS MR改がニュルブルクリンクにて記録を達成する動画はこちら
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