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これがポルシェのスポーツカーの「メートル原器」!356生産初年度に使用された木型が公開に。当時、356のボディ製造には90時間もかかっていた

2023/04/17

これがポルシェのスポーツカーの「メートル原器」!356生産初年度に使用された木型が公開に。当時、356のボディ製造には90時間もかかっていた

| 自動車の製造方法は時代とともに移り変わってゆく |

そのうち、ほとんどのパーツが3Dプリンターで製造される時代がやってくるのかもしれない

さて、ポルシェは最初のクルマである356を路上に送り出してから(今年で)75年目を迎え、それを記念して世界各地にてさまざまなイベントを実施しています。

それと同時に過去のヘリテージにスポットライトを当てるコンテンツを公開しているのですが、今回紹介されているのが「オーストリアのグミュントにあるポルシェ自動車博物館に展示されている木製フレーム」。

当時、ポルシェはじめ多くのクルマは「金属の板をハンマーで叩いて成形」していた

このフレームがいったい何かというと、当時職人がハンマーを使用して金属の板を叩いて作っていたボディパネルに「狂いがないか」を測るための”原器”であり、このフレームに完璧にフィットするように職人たちが「砂を詰めた袋や木材の上で」板を叩いて形を出し、その後にこの木型に当てては差異を図り、また木型に当てるといった基の遠くなる作業を繰り返していたわけですね。

実際のところ、356のボディパネルを一台分作ろうとなると90時間を要したといい、現代の基準からすると「とんでもなく非効率的」で、しかし職人たちが丹精込めて叩き出したからこそ、あの美しくなめらかなボディパネルを実現できたとも考えることが可能です。

そうやって出来上がったパネルは、スチール製のシャシーにボルトやリベットによって「貼り付けられ」、そこでようやく車両としての体をなします。

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ポルシェ356は生産開始翌年から製造工程が「近代化」されることに

なお、ポルシェ356の生産初年度つまり1948年は「パネルにアルミニウムが使用された唯一の年」だといい、この年にはこの木型を使用してタイプ356/2が合計52台(クーペ44台、カブリオレ8台)製造されています。※1951/52年には再びアルミニウム製パネルを使用し、8~10台のスーパーライト(SL)モデルがポルシェのモータースポーツ部門によって生産されている

なぜ1948年のみがアルミパネルを使用した年になったのかというと、1949年に生産拠点がグミュントからシュトゥットガルトのロイター車体工場に移ったためで、この工場では当時最先端とされた精密なプレス機械を有しており、これを使用することでスタッドレス鋼板を使用した「プレス」によるボディの生産が可能となったから。

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これによってポルシェの生産効率は一気に向上することになりますが、その後もこの木型は(上述のスーパーライトのほか)16台のみが製造された「356アメリカ・ロードスター」といった超少量生産車にも使用され、ロイターに移った後もプレス機の調整用として度々使用されたりしたのだそう。

ポルシェについて、よく「911はスポーツカーのメートル原器である」とも表現されますが、そのポルシェの最初のクルマ、つまり356のメートル原器がこの木型であったということになり、そう考えるとこの木型がある意味ではポルシェのルーツのひとつに相当するのかもしれませんね。

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参照:Porsche(Christophorus)

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