| ただし、このPu+Ra HPE コンセプトはあくまでも未来の技術を示唆するにとどまり、このクルマが発売されるわけではないようだ |
やはりボクとしてはストラトスの復活を期待したいところではあるが
さて、ステランティス傘下のランチアが先日より予告していた新型コンセプトカー「Pu+Ra HPE コンセプト」がついに公開。
これはランチア・ストラトスの再来ともいえるコンセプトカーであり、「HP」とはハイパフォーマンス・エレクトリック(High Performance Electric)の略だと紹介されています。
なお、かつてのランチア・ストラトスには「HF」の文字列が付与されていて、こちらの意味は「ハイ・フィデリティ」。
以前にHPEの文字がランチアに使用されていたのは1970年代のランチア・ベータ「HPE」ですが、こちらはハイパフォーマンス・エステートを意味します。
ランチア Pu+Ra HPE コンセプトはこんなクルマ
そこでこのランチア Pu+Ra HPE コンセプトを見てみると、これはストラトスのみではなく、ランチアの過去のいくつかの象徴的なクルマから譲り受けたディティールを持つ、「ランチアにおける今後10年間のブランドマニフェスト」。
たとえばリアウインドウはストラトスに採用されていた水平ブラインド、そしてベータHPEが持っていたベネチアンブラインドにインスパイアされたもの。
ただしこの丸いテールランプ、跳ね上がったテールランプは「ストラトス」そのもの。
ただしテールランプは中空構造となり、LANCIA文字が立体化されるなど、現代の技術によって可能となったデザインや構造、そして芸術的かつ装飾的な意匠を見て取ることが可能です。
ランチア Pu+Ra HPE コンセプトに採用されるボディカラーはプログレッシブ・グリーンで、これはランチア・フラミニア・アズーロ・ヴァンセンヌに採用されていた色調を現代風に解釈したものだとされ、最新世代の顔料を使用した温かみのある黄金色を含み、未来志向、かつ持続可能性を表現しているのだそう。
さらにランチア Pu+Ra HPE コンセプトのサイドは、アウレリアとフラミニアに倣い、リアに向かって下降する流麗なラインを採用。
さらに、フロントフェンダーには、新しいランチアのロゴが採用されていること、そしてドアミラーの代わりにカメラを持つこともわかります。
ホイールはヘッドライト等と同様の「Y」を象ったデザイン。
ランチア Pu+Ra HPE コンセプトのハイライトのひとつはこの円形ルーフでにあり、ランチアによれば「建築的要素にインスパイアされたもの」。
なお、ルノーもかつてコルビジェ建築をモチーフとしたコンセプトカーを発表したことがあり、欧州の自動車メーカーにとって「建築」と自動車の境界線はさほど明確ではないのかもしれません。
ランチア Pu+Ra HPE コンセプトのインテリアはこうなっている
そしてランチア Pu+Ra HPE コンセプトのもうひとつのハイライトがインテリア。
円形をモチーフとしたルーフに加え、インテリア内にも円が多用されており、ランチアによれば、これは純粋な幾何学的要素として採用された一方、先日のティーザー画像でも言及された「イタリアの伝統的な家庭のリビングルームに見られる丸テーブル」を表現したものだとアナウンスされています。
フロアには天然ウールで作られた丸いカーペット、センターコンソールには丸いコーヒーテーブル、ダッシュボードには円が描かれており、フロントシートはカッシーナ製のイタリア家庭用クラシックアームチェアに大きな影響を受けたデザインが採用に。
ドアパネルには、大理石の粉(廃材)を50%使用し、かつ自然な色合いで作られたリサイクルファブリック「MARM ゙ MORE」が採用され、これは手触りが柔らかく、防水性に優れているという特徴を持っています。
インフォテインメントシステムにはSALA(Sound Air Light Augmentation)と呼ばれるシステムが搭載され、これはバーチャルインターフェースと連動し、ドライバー含む前席乗員はボタンに触れるだけで、あるいは音声を使用して車内環境を自分好みにアレンジすることができるといい、ランチアによると次期イプシロンは、このインターフェースを採用した最初の量産モデルになる、とのこと。
ランチアCEO、ルカ・ナポリターノ氏はPu+Ra HPE コンセプトの発表に際し、「今日、我々はこの新しいコンセプトカーを発表することを誇りに思います。これは、今後10年間のブランドのビジョンであり、ブランドを電動モビリティの時代へと導き、私たちの自動車に対する考え方と経験を総括するものです。新型イプシロンから始まる未来のクルマは、すべてランチアPu+Ra HPEにインスパイアされています」とコメントしていますが、こういったステートメントを見る限り、このPu+Ra HPE コンセプトはそのまま発売されるわけではなく、ここに採用される要素が「部分的に」(イプシロンをはじめとする)今後のニューモデルに生かされることになるものと思われます。
なお、ランチアは2024年に次世代スーパーミニ「イプシロン」、2026年にはクロスオーバー「アウレリア」、2028年にハッチバック「デルタ」を発売する予定を公表ずみで、イプシロンについてはフィアット500のEV版とプラットフォームを共有し、アウレリアとデルタについてはステランティスグループ内で共有されるSTLAモジュール式EVプラットフォームを採用する、と言われており、後者については一回の満充電あたりの航続距離について700kmを実現する見込みであるとも報じられていますね。
ランチア Pu+Ra HPE コンセプト発表イベント動画はこちら
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参照:Lancia