| 相当に高価な内容ではあるが、「本気」で走るなら必須の装備だとも考えられる |
ポルシェ・エクスペリエンス・センターではこのMRパッケージ装着/非装着車の乗り比べパッケージも用意
さて、ポルシェは「ポルシェを使用してモータースポーツ活動を行い、もっとも成功したファクトリーのひとつ」であるマンタイ・レーシング(Manthey racing)の株式を取得し子会社化していますが、マンタイ・レーシングの持つノウハウを取り入れて提供されるポルシェ純正オプションが「マンタイ・レーシング・パフォーマンスキット」。
このマンタイ・レーシング・パフォーマンスキットは、もともとポルシェ911GT2 RS向けとしてスタートしており、このときはポルシェ911GT2 RSの持っていたニュルブルクリンク最速タイムが(ランボルギーニ・アヴェンタドールSVJに)更新されてしまったことから、その栄光を取り戻すための911GT2 RS向け”ニュル必勝パッケージ”として提供されています。
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ただし純正オプションとは言えないのでは、という声も
ポルシェは無事にこのマンタイ・レーシング・パフォーマンスキット(通称MRキットもしくはMRパッケージ)を装着することでアヴェンタドールSVJを下してニュルブルクリンク最速へと返り咲くことに成功しますが、その後、メルセデスAMG GTブラックシリーズに王座を奪われた際にも(アップグレードされた)MRキット装着にて応戦し、無事に王座奪還を成し遂げています。
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その後ポルシェはこのMRキットを911GT3RS、911GT3、718ケイマンGT4向けに拡大してゆくものの、このMRキットは欧州のみでしか選択できないオプションであったことなどから、「これを装着してニュルブルクリンクのトップタイムを記録したとしても、その状態だと改造車だと言わざるを得ない」という意見が大勢を占めていたのもまた事実(ボクもそう思う)。
ただ、ポルシェはこういった意見に対するカウンターを意図したのか、今回米国でもこれを選べるようになったと公式にアナウンスしており、ただし(欧州同様に)マンタイ認定ポルシェ・センターでしか取り付けが不可能となっています。※もちろん純正オプション扱いなので、このマンタイ・レーシング・パフォーマンスキットを装着したとしてもポルシェの新車保証が継続される
マンタイ・レーシング・パフォーマンスキットはこんな内容を持っている
そしてこのマンタイ・レーシング・パフォーマンスキットをひとたび装着したならば、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのタイムを4.19秒短縮することが可能となり、キットの概要としてはエアロパーツ、シャシーセットアップの変更、ブレーキ強化、バネ下質量の低減を行うといったもの。
このキットの最も印象的な要素はスワンネック式リアウィングだと思われ、これは純正装着品よりも幅が広くガーニーフラップを装備していることが特徴です。
大型化されたエンドプレートにはマンタイのロゴが誇らしげに描かれ、ウィングの角度もよりアグレッシブになっていますが、これは”より大きなダウンフォース”を発生すべく改良されたフロントとのバランスを取ったもの。
このリアホイールのディスクは整流効果がある他、(ニュルブルクリンクタクシー運営会社によると)エアを上方に流し、リアウイングに効率よく風を当てることが可能となるもよう。
なお、リアディフューザーのフィンはカーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)製、かつ大型のものへと変更され、アンダーボディのエアロダイナミクスを向上させています。
フロントだとリップを大型化してカナードを追加しているほか、フロントアクスルに流れる空気をよりスムーズにするために下回りを改良している、とのこと。
足回りだと、マンタイ・レーシングとポルシェのエンジニアが共同開発した4ウェイコイルオーバーサスペンションが装着され、このショックアブソーバーは工具なしで調整することができ、スプリングは(ノーマルの911GT3に比べ)フロントで10%、リアで7%硬い設定を持つほか、ブレーキパッドも耐フェード性が高い専用品へと交換されることとなるようですね。
なお、このマンタイ・レーシング・パフォーマンスキットの米国での小売価格(つまり工賃を含まない)は57,300ドル(現在の為替レートで約793万円)ですが、これに「バネ下重量を7.2kg削減できる軽量ホイール」を装着するとプラス15,500ドル(215万円)。
つまりすべて装着するとパーツ代のみで1000万円オーバーとなり、パワーアップを伴わないチューンとしてはかなり高額な部類だと言ってよく、しかしポルシェはこのマンタイ・レーシング・パフォーマンスキットに相当な自信を持っているのか、アトランタとロサンゼルスにあるポルシェ・エクスペリエンス・センターでは、「標準仕様の911GT3と、マンタイ・レーシング・パフォーマンスキット装着者とを比較できるパッケージ」も用意され、こちらは90分間のセッション、そして価格は1,675ドルに設定されています。
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