>ポルシェ(Porsche)

ポルシェがついに触媒最大の欠点「パワーダウン」克服に成功?革命的特許技術が出願、まだガソリンエンジンにここまでの改良の余地があったとは

ポルシェがついに触媒最大の欠点「パワーダウン」克服に成功?革命的特許技術が出願、まだガソリンエンジンにここまでの改良の余地があったとは

| ポルシェが触媒の弱点を克服。「燃料を無駄にしない再生技術」の衝撃的な詳細 |

この記事の要約

  • 根本的な課題解決: 触媒コンバーターの性能低下の原因である「酸化物層」を、燃料を無駄にせず除去する新技術
  • 革新的な仕組み: 従来のリッチ燃焼(過剰な燃料投入)に頼らず、排気ガス再循環(EGR)と点火時期の遅延で熱を生成
  • パフォーマンス維持: 触媒の目詰まりを防ぎ、排気抵抗を最小化することでエンジン本来の最大馬力を維持
  • 環境貢献: 再生プロセス中の排出ガス増加を防ぎ、長期的な浄化性能と耐久性を両立

はじめに:高性能車を悩ませてきた「触媒コンバーターの最大の課題」とは?

触媒コンバーターは、有害な排気ガスを一酸化炭素や水蒸気、二酸化炭素などに変える驚異的なイノベーションです。

しかし、この重要なパーツには、特に高性能車や燃費対策技術(気筒休止など)を持つ現代のクルマにとって深刻な問題があり、その問題とは使用時間や運転条件により、触媒の表面に酸化物の層が張り付くこと。

この層が触媒の働きを妨げ、排気効率を低下させ、結果的にエンジンの最大出力を損なう原因となっていたわけですね。

Porsche (5)

Image:Porsche

そしてこれには解決策が存在するものの、従来の解決策である「再生(Regeneration)」プロセスには”燃料を大量に消費し、一時的に排出ガスを増やしてしまう”という大きな欠点が存在しており、しかし今回ポルシェが取得した最新の特許はこの「トレードオフ(二律背反)」を根本から解決するという画期的な解決策。

「燃費を犠牲にせず、環境負荷も増やさずに、触媒を常に最高の状態に保つ」— ポルシェが実現した革命的な技術の全貌を見てみましょう。

燃料を節約するポルシェの「クリーンな再生」メカニズム

従来の触媒再生だと、一時的に混合気を濃くして(リッチ燃焼)触媒に必要な熱(約600度以上)を発生させるというのが一般的な手法。

ただしこれは再生中に未燃焼燃料(排出ガス)を増やしてしまうため、環境と燃費の両面でのデメリットが存在します。

Porsche (6)

Image:Porsche

しかしながらポルシェの新しい特許は燃料の追加投入なしで必要な熱を生み出すという「全く異なるアプローチ」を採用しており、その鍵となるのが、「排気ガス再循環(EGR)の活用」と「点火時期の遅延」の組み合わせです。

ポルシェの新しい触媒再生技術(特許技術)

技術要素目的と仕組み達成される効果
EGR(排気ガス再循環)の最大化可変バルブタイミングを利用し、排気ガスを大量にシリンダーへ再循環させる。これにより、酸素濃度の低いガスを触媒に送り込み、酸化物層の燃焼に必要な環境を整える。再生効率の向上と、不要な燃料消費の抑制。
点火時期の遅延スパークプラグの点火タイミングを意図的に遅らせる(リタード)。これにより、燃焼を膨張行程に近づけ、排気ガス温度を上昇させて触媒に必要な熱を供給する。触媒への熱供給を増やすとともに、再生中の窒素酸化物(NOx)排出を抑制。
ECUによる制御ターボのブースト圧やスロットル開度を同時に微調整。ドライバーには気づかせないシームレスな再生と、プロセス全体の効率化。

高性能と持続可能性を両立する長期的なメリット

ポルシェがこの技術を開発した背景には、「高性能を追求しつつ、環境規制にも対応する」という強い使命感があり、この新しい再生技術は、以下の2つの大きなメリットをドライバーと地球(環境)の両方にもたらします。

1. ドライバーへのメリット:最大馬力と耐久性の維持

触媒が酸化物で覆われると排気抵抗が増し、本来出せるはずの馬力が損なわれますが、この新技術により触媒が常にクリーンに保たれるため、ドライバーは愛車が持つ最大排気流量と最大馬力を常に享受できます。

Porsche (7)

Image:Porsche

また、頻繁にリッチ燃焼を行う従来の方式に比べ、触媒への熱負荷や化学的負荷が軽減されるため、触媒自体の長寿命化にも貢献し、これは、修理費用や交換費用を気にする必要がないという、ユーザーにとって最も共感を呼ぶメリットです。

2. 環境へのメリット:「再生」の矛盾を解消

従来の再生プロセスは、その瞬間だけは「汚い排出ガス」を排出するという本質的な矛盾を抱えていましたが、ポルシェの新特許は、再生中も排出ガスを増やさず、むしろ点火時期の遅延によってNOx排出も抑えることができるため、「排出ガス浄化装置の再生」という行為を真にクリーンなものへと変えてゆくわけですね。

L1120575

結論:ポルシェが提示する内燃機関の未来の形

ポルシェのこの新しい特許は、EVシフトが進む中でも、内燃機関がいかに「進化」し続けているかを示す強力な証拠。

ポルシェは電動化を積極的に推し進める一方で「消して内燃機関を諦めない」という姿勢を保持していますが、「燃料を無駄にせず、パワーを犠牲にしない触媒再生」という新しい技術によって、ポルシェが単なる速さだけでなく、環境にまで徹底的にこだわるエンジニアリング企業であることを改めて認識させられます。

実際のところ、ポルシェのモットーは「環境性能(燃費)の工場のないパワーアップは行わない」というもので、そしてポルシェが今回示す通り「高性能」と「環境性能」はもはや対立する概念ではありません。

L1120583

この技術は、特に911のようなモデルをサーキットで限界まで攻めたいと願うドライバーにとって、「財布にも、地球にも優しい高性能」を提供する、待望のソリューションとなることはまちがいなく、ポルシェは、この技術によって内燃機関の寿命をさらに延ばす道を切り拓いた、ということになりそうですね。

あわせて読みたい、ポルシェ関連投稿

ポルシェ
ポルシェの次なる「神業」:特許出願から判明したT-ハイブリッド・ツインターボの隠された真価

| ターボチャージングの王者がもたらす革新 | ポルシェにとって「ターボ」はいつの世も特別な存在 ポルシェは、自動車の歴史において常にターボチャージングの最前線に立ってきたことでも知られ、世界初の量産 ...

続きを見る

ポルシェ
【複雑さとの闘い】ポルシェがまたまたエンジン関連特許出願。ターボの「余剰ブースト圧」を排気ガス冷却に使う驚異の新技術

| ポルシェはここ最近、立て続けに「ターボ」「ハイブリッド」関連の特許を申請している | そしてこれらが「密接に結びついている」場合も 革新的な特許: ポルシェがターボチャージャーの「余剰なブースト圧 ...

続きを見る

ポルシェ
ポルシェが秘策を公開──“水噴射×ハイブリッド”でガソリンスポーツカーを延命する驚愕テクノロジーが特許にて申請されたことが判明

| やはりポルシェは「あの手この手」でガソリンエンジンを延命しようと考えている | ただし必ずしも出願された特許が「市販車に採用されるわけではない」 ポルシェが内燃スポーツカーを終わらせる気はまったく ...

続きを見る

参照:CARBUZZ

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->ポルシェ(Porsche)
-, , ,