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| 構造変更が進む中、現在の業績は単純に「台数」だけでは語れない
この記事の要点まとめ
- EVが過去最高を記録: 電気自動車の納車台数が前年比約36%増の22万3,000台超え
- 苦難の1年、しかし回復の兆しあり: 全体では3%減の162万台。地政学リスクや中国市場の競争激化が影響
- 新型車がトレンドを牽引: 新型「Q6 e-tron」と「A6 e-tron」がEV販売を強力にプッシュ
- 2026年への攻勢: 新戦略と中国向け新モデル投入でさらなる拡大を狙う
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2025年は、アウディにとって「耐える1年」であり、同時に「変革が結実し始めた1年」でもあったと思います。
そして実際の2025年、世界情勢や関税問題に翻弄されながら、アウディが発表した2025年通年における販売データからは「これまで進めてきた電動化シフト」がいよいよ本物になりつつあることが鮮明に読み取れます。
2025年の実績:数字で見るアウディの現在地
アウディが発表した通年データによると、世界全体の納車台数は前年を「わずかに下回った」。
しかし中身を詳しく見ると、後半戦に向けた「強い右肩上がり」のトレンドが隠されています。
アウディ 2025年 主要販売データ一覧
| 市場 / 項目 | 2025年実績 (台) | 前年比 (Change) | 備考 |
| 全世界合計 | 1,623,551 | –2.9 % | 9月以降は毎月プラス成長 |
| 電気自動車 (BEV) | 223,000超 | +36 % | 過去最高のEVシェア |
| ドイツ国内 | 206,290 | +4.0 % | 本国ではEVが89%増と爆増 |
| 中国市場 | 617,514 | –5.0 % | 激しい価格競争の影響 |
| 北米市場 | 202,143 | –12.2 % | 関税政策による影響を直撃 |
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特筆すべきは、第4四半期(10-12月)の強さであり、9月以降は毎月前年超えを達成したうえ、特にEVの受注残は前年比58%増になったとされ、2026年に向けて強力な追い風が吹いています。
加えて「中国市場ではそれほど落としてない」こともプラス材料でもあり、逆に北米市場では大きく販売を落としたことは「大きなマイナス」。
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なお、北米市場での販売が急落したのはトランプ関税の影響だと考えてよく、というのもアウディは北米にて自前の生産工場を持たず、北米への主力モデルはメキシコのプエブラ州にあるサン・ホセ・チアパ工場からの輸入に頼るから(そのため北米での販売価格が関税によってダイレクトに上昇し売れ行きが悪くなる)。※とくにベストセラーであるQ5、SQ5に関税が課されたことはかなりアウディを苦しめている
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そしこの状況はすぐに改善できるものではなく、グループ内企業であるフォルクスワーゲンが持つテネシー州チャタヌーガ工場、現在「スカウト」ブランドの車両を生産するために建設中のサウスカロライナ工場での生産がウワサされるものの、これらでの生産体制を整えるにしても相応の時間がかかるものと見られています。
牽引役は新型「Q6 e-tron」と「A6 e-tron」
反面大きく成長したのは「EV」で、なぜ、厳しい市場環境でEVだけがこれほど伸びたのか。
その答えは、2025年に投入された「次世代プラットフォーム(PPE)」採用の2モデルにあり・・・。
- Audi Q6 e-tron (84,000台): ポルシェと共同開発した最新基盤により、圧倒的な充電スピードと航続距離を実現。SUV人気の波に乗り、アウディEVの屋台骨となる
- Audi A6 e-tron (37,000台): セダンとしての伝統と最新技術を融合。特に空気抵抗の低さ(Cd値0.21)が航続距離700km超え(WLTP)に貢献し、目の肥えた層を納得させることに成功
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これまで「EVは航続距離が不安」という声が多数派でしたが、アウディの新型モデルは800Vシステムを搭載し、わずか10分の充電で最大255km走行可能(Q6 e-tron)という「ストレスフリーな充電体験」を提供しています。
これが保守的な高級車ユーザーの背中を押した最大の要因であると考えられており、となれば「EVは高価であっても、航続距離の問題を解決できれば多くのユーザーが価格に納得する」ということなのかもしれません。
今後の展望|2026年の「史上最大の商品攻勢」
アウディは2026年を「さらなる上昇の年」と位置づけています。
特に課題であった中国市場に対しては、専用設計の「AUDI E7X」や「A6L e-tron」など、現地のニーズを汲み取った新型車を次々と投入予定。
また、日本を含む「新興市場・海外市場」では、2025年に6%の成長を記録しており、特にトルコやエジプト、アルゼンチンといった国々での躍進が、ブランド全体の底上げに寄与していることについても言及されています。
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結論|アウディが描く「攻めの電動化」は加速する
2025年の販売台数3.4%減という数字だけを見れば「苦戦」に映るかもしれません。
しかし、EV販売の過去最高更新と第4四半期の受注の勢いはアウディが「プレミアム電動モビリティのリーダー」というポジションを着実に固めている証拠です。
2026年、アウディは史上最大規模の商品 initiative(イニシアチブ)を本格始動させ、これまで「技術による先進(Vorsprung durch Technik)」を掲げてきたブランドが、電動化という新たな戦場でどのような「答え」を見せるのか。
今後のアウディの活躍に期待したいと思います。
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