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ポルシェ、ついにEVに対し「フェイク・ギアシフト」と「人工エンジンサウンド」を検討中。当初は誰もがバカにしていた技術だが、今では「無視できない」存在に

ポルシェ

| 現時点で「EVを楽しくさせる方法」が「ガソリン車の模倣しかない」という現状そのものも問題なのかもしれない |

ポルシェはあらゆる方法にてEVの魅力向上を追求する

EVが嫌われる理由のひとつに「魂がない」「機械的な個性がない」という点がありますが、これは「内燃機関のサウンドやトランスミッションのフィーリング(振動やショック)が存在しないから」。

しかし最近では、自動車メーカーがそれを補うべく「疑似的なギアシフト」や「人工サウンド」を導入し始めており、さらにはこれまでそういった「フェイク」に見向きもしなかった自動車メーカーすらもここに注目しているという状況です。

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ポルシェ
ポルシェもEVのフェイクMTをテスト済み。しかし「電動パワートレーンは内燃エンジンよりも優れているので、(より優れていない)過去のものを模倣する必要はありません」

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ポルシェもついに「フェイク」導入かポルシェのプロトタイプに導入された「フェイク・シフト」

そして今回、ついにポルシェまでもがこの「フェイク」技術の導入を検討しているという報道がなされていますが、実際にポルシェはテスト車両へとパドルシフト、人工エンジンノイズ、フェイクのギアチェンジを搭載し、2025年3月に同社プロトタイプ車両のフリートマネージャー、サッシャ・ニースン氏が試乗を行ったことがレポートされています。

「正直、最初はこういったものは嫌いだった。人工的で偽物だと思ったからね。でも乗ってみたら、驚くほど良かったんだ」

サッシャ・ニースン

人工サウンドはカイエンに搭載されるV8エンジンの音を録音し、EV特性に合わせて加工したものだといい、さらにポルシェのトランスミッションエンジニアが調整を加え、「本物のトルクコンバーターATのようなフィーリングを再現できた」と説明されています。

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ヒョンデやフェラーリも「フェイク」サウンドやシフトを導入へ

この「フェイクサウンド」「フェイクシフト」で最も有名な例はヒョンデ Ioniq 5 N。

これに搭載される疑似ギアシフトや人工サウンドにつき、当初は“すぐに飽きてしまうギミック”と笑われたものの、実際に運転した人々は(ジャーナリスト、自動車製造に深く関わる人々までも)その意見を一変させ、今では「ドライバー体験を一変させるゲームチェンジャー」と高く評価されています。

驚くべきことにBMW M部門の責任者、ランボルギーニCEOもそういった人々に含まれるのですが、さらに、フェラーリも初のEVにフェイク・シフト導入を検討していることが報じられており、ポルシェの方向転換は決して孤立した動きではありません。

ヒョンデ
ちょっと衝撃。BMW M部門のボスが「ヒョンデがアイオニック5 Nで取ったアプローチは正しい」と述べ、EVにフェイクサウンドとMTロジックを組み込むことに言及

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フェラーリ
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カイエンEVなど次世代モデルで採用?

こういった「フェイク」シフトやサウンドにつき、ポルシェでは今後発売されるカイエンEVから導入される可能性が高いとみられていますが、現行のカイエンEVプロトタイプにはパドルシフトが装備されていないため、新たなハードウェア導入が必要となるのもまた事実。

ランボルギーニ本社を出入りするヒョンデ アイオニック5 Nが目撃される。おそらくは「開発の参考」として、まさかランボルギーニがヒョンデを意識する日が来ようとは【動画】
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ただし、これは(主にソフトウエアの問題なので)難しい変更ではなく、購入者に「フェイクシフト付き」か「従来のEVフィール」かを選ばせるようにする可能性が報じられています(フェイクシフトとサウンドはオプション扱いになる)。

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EV時代に必要な「ちょっとした偽装」

確かに「新技術をわざわざ古風に見せる」のは矛盾しているように見えますが、しかしその一方、自動車ファンは「運転している感覚」「機械を操る楽しさ」を求めていることが明らかになっており、ポルシェのようなパフォーマンス志向のブランドではそれがいっそう顕著になります。

よって(当面の間)EV時代には、こうした“疑似的な演出”が新たな必須要素となるかもしれませんね。

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ヒョンデ アイオニック5 N
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参照:Motor1

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