| 二度の火災を逃れて生き延びた説が有力 |
フェラーリ・エンスージアストにしてユーチューバー、Ratarossa氏が「ウダイ・フセイン(サダム・フセインの息子)が所有していたフェラーリF40を探している」としてネット上で広く情報を募ることに。
このウダイ・フセインは父親のサダム(サッダーム)・フセイン以上に悪事の限りを尽くした男として知られ、とくに有名なのはイラクのオリンピック委員長を務めていた期間中、彼の期待にそぐわない選手を拷問し、最低でも52名が命を落としたと言われること。
そのほかにも密輸や汚職、麻薬取引その他考えうる限りの悪行に手を染め、サダム・フセインですら手を焼いたと言われています。
そんなウダイ・フセインですが、とくに興味があったのが「スポーツ」「クルマ」「女性」であったと言われ、クルマについては、街中でも気に入ったクルマを見かけると権力にモノを言わせて奪い取っていたという文献も。
一時、コレクションは1000台オーバーに
そしてウダイ・フセインのカーコレクションは一時1000台を超えていたといい、そして世界中からウダイのためにクルマを探すという任務を帯びた部隊もあったというので、常軌を逸した執着ぶりだったと考えて良さそう。
なお、このカーコレクションは二度にわたって火が放たれた事例があるといい(諸説ある)、一度はウダイが1995年に自身の叔父を銃撃したことへの「けじめ」としてサダム・フセインが一部のガレージを燃やしたこと、そしてもうひとつは2003年にイラン・イラク戦争開戦時に、自身のコレクションを押収されることを嫌い、「他人の手に渡るくらいなら」と自身が組織した民兵、フェダイーン・サッダームのメンバーに命じてコレクションを燃やしたこと。
ちなみにウダイ・フセインがポルシェ・ボクスターに乗る姿がイラン・イラク戦争中の報道写真として用いられたことがあり、当時同じボクスターに乗っていたぼくは「ウダイ・フセインと同じクルマなのか・・・」と複雑な気持ちになったことも。
参考までに、ウダイの弟の名は「クサイ」です。
話を今回のフェラーリF40に戻すと、いくつかの証言そして写真によれば、フェラーリF40はいずれの災難をも生きぬいており、Ratarossa氏はそのフェラーリを探し求め、これをレストアして再び公道を走らせたいと願っているわけですね。
現在はいくつか情報が集まっているといい、イラク北部に保管されているという証言、はたまた6ヶ月ほど前にイラクのコレクターがこのF40を購入したというコメントも。
ただしいずれも確たるものではなく、まだまだ捜索には時間を要することになりそうです。
世の中にはクルマ専門のトレジャーハンターも
なお、日本ではさほど馴染みがないものの、歴史の古い欧州ではトレジャーハンター(宝探し)なる職業があり、中には「クルマを専門とする」人たちも。
こういった人々は独自の情報網を持っているようで、「海中に没したと見られていた」アストンマーティンDB5の発見にもトレジャーハンターが一役買ったとも言われていますね。
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反面、長年トレジャーハンターが探していたにもかかわらず発見されることなく、しかし「偶然」発見された例もあり、事実は小説よりも奇なりといったところです。
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なお、マスタング「ブリット」の発見も偶然であったそうですが、これらの例同様、ウダイ・フセインのフェラーリF40も「ふと」偶然発見されたりするのかもしれません。
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VIA:Ratarossa