| 一時期は価格を抑えたエントリーモデル、もしくは「ディーノ」と見られていたが |
さて、ここしばらくの間、何度か目撃されている謎のミドシップフェラーリ。
ボディには高電圧を示すマークが貼り付けられており、しかしガソリンエンジンサウンドを響かせているところを見るに「ハイブリッド」ということになりそうです。
フロントは488GTBもしくはF8トリブートに近く、しかし車体後部はそれらとは異なる大きな開口部を持っており、現在のフェラーリとは異なるパワーユニットを積んでいるであろうことも推測できます。
現在のV8ミドシップフェラーリの「上」?「下」?
そこで気になるのがこの謎フェラーリのポジショニング。
一説には「V6ハイブリッド」と言われるものの、これがどういった性質なのか、ということですね。
なお、フェラーリにとってのV6というと「ディーノ」を想起しますが、ディーノはいわばフェラーリのディフュージョンブランドとして登場しており、しかしフェラーリ=V12というイメージを阻害しないように当初はディーノブランドにて展開されています(のちにフェラーリブランドへと統合)。
よって今回の「V6プロトタイプ」についても、V6=ディーノの再来だと見られ、そのため現行V8ミドシップモデルよりも安価な価格設定を持ち、マクラーレンのスポーツシリーズに対抗するのでは、と見る向きも。
一方でこのV6プロトタイプについては「V8ミドシップフェラーリに置き換わる、パフォーマンス追求型」ハイブリッドだという見方もあって、というのも現在のF1のエンジンが「V6(ターボ)」であり、F1をブランドのコアとするフェラーリとしては「F1由来の技術を使用したV6ターボ+ハイブリッド」を搭載することでほかスーパーカーブランドとのさらなる差別化を図りつつ、よりブランドイメージを強固なものとするのでは、というもの。
現時点ではいずれも予測の域を出ませんが、これまでのフェラーリの動き、そして「台数よりも利益を追求する」「ブランド価値を高める」というフェラーリの姿勢からすると後者つまり「F1の技術を使用したV6エンジンを搭載し、さらにモータースポーツイメージを追求する」可能性が高いんじゃないかとも考えています。
駆動方式はMR?
同じハイブリッド同士ということからか、ちょっと前にはこのV6ハイブリッドモデルとSF90ストラダーレ・スパイダーと見られるモデルとが一緒にテストされている風景も目撃されていますが、ここでもう一つ気になるのは「駆動方式」。
SF90ストラダーレはトランスミッションにひとつ、前輪車軸に2つのモーターを装着する「3モーターハイブリッド」で、さらに4WD。
このシステムは優れたパフォーマンスを発揮する反面でコストが高く、そのためにSF90ストラダーレは5800万円くらいというプライスタグを掲げます。
ただ、(もし、このV6ハイブリッドフェラーリがV8モデルの置き換えになるとして)V6ハイブリッドモデルの価格が現在のV8ミドシップモデルの「3000万円くらい」を大きく超えてしまうと、さすがのフェラーリといえど販売に多少なりとも影響を及ぼすことになり、よって価格上昇は最小限に抑えられる可能性が大きそう(さらにエンジンがV8からV6にダウンサイジングすることになり、そのエクスキューズとしても”F1”を引っ張り出すのではないか、と思う)。
となるとモーターは「トランスミッションにひとつ」というレイアウトを採用してコストを抑えるものと思われ、駆動方式としてはMRを維持することになるんじゃないかとも考えています。
いずれにせよ、何ら確実な情報がなく予測も難しい状態ではあるものの、フェラーリ初のSUV「プロサングエ」登場といい、ここ数年の間にフェラーリの車種構成は大きく変わることになりそうですね。