| まさかカウンタックとテスタロッサの比較レビューを見ることができるとは |
同じようにV12エンジンをミッドに搭載していても、ずいぶんその性格は異なるようだ
さて、1980年代のひとつのアイコンとも言える「ランボルギーニ・カウンタックと、フェラーリ・テスタロッサ」。
両方ともV12エンジンを車体ミッドに搭載するスーパーカー、そして両ブランドのフラッグシップモデルではありますが、よくよく考えると、近代においてこれらが直接比較されることはなかったように思います。
ただ、今回ユーチューバー、888MFが両者を乗り比べるという興味深い動画を公開しており、その内容を見てみましょう。
ランボルギーニ・カウンタックはこんなクルマ
ランボルギーニ・カウンタックは今から遡ること50年前の1971年3月11日午前10時に発表されたクルマで、そのデザインはベルトーネ(に在籍していたマルチェロ・ガンディーニ)の手によるもの。
極端なウェッジシェイプ、そしてシザースドアを持ち、このプロトタイプを見た人の「びっくりした」という言葉=カウンタック(ピエモンテ地方の方言)がそのまま車名になったほど。
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ランボルギーニ・カウンタックは今年で50歳!1971年3月11日、午前10時に公開されたようだ。なお、ついに公式にて「カウンタック」の名の由来が語られる
| ボクは今までパオロ・スタンツァーニ説を信じていたが | ランボルギーニが「3月11日にて、カウンタックLP500がちょうど50歳を迎えた」と発表。ランボルギーニ・カウンタックLP500は1971年 ...
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なお、特徴的なリアホイールの切り欠きやシザースドアは現代に至るまで「ランボルギーニV12モデル」の特徴として受け継がれており、文字通りランボルギーニのイメージを未来永劫に渡り決定づけることになったクルマです。
そのオーラたるやハンパなく、文字通り「キング・オブ・スーパーカー」としての名をほしいままにしており、大乗フェラーリ教の教祖である清水草一氏も「いかにフェラーリであっても、カウンタックの注目度には勝てない」と語るほど。
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【動画】え?こんなところにカウンタックを駐車してるの?大乗フェラーリ教教祖、清水草一氏がランボルギーニ・カウンタックを買う
| ボクはこの環境でカウンタックを出し入れする自信はない | さて、大乗フェラーリ教教祖、清水草一氏がランボルギーニ・カウンタック 25thアニバーサリーを購入した模様。同氏は10年ほど前にも一度カウ ...
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今回比較に用いられたのは1986年モデルのカウンタックLP5000QVで、これは1985年に「フェラーリ・テスタロッサに対抗」する形で登場したモデル。
エンジンを5.2リッターに拡大して455馬力(地域によって異なる)を発生し、米国においては「はじめて正式な形式認定を受けた」カウンタックでもあります。
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映画「キャノンボール」に登場したランボルギーニ・カウンタックが米国「国家歴史車両」に登録!歴史的に重要なクルマ30台のうち1台に認定
| このランボルギーニ・カウンタックLP400Sにマフラーが12本もあったとは知らなかった | カウンタックはテスラロッサと並び、「時代の象徴」でもある さて、1979年の映画「キャノンボール」に登場 ...
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ただし米国では「キャノンボール」に登場するなどかねてより知名度も高く、世界的に見ても、公開を控えている映画「ハウス・オブ・グッチ」に(カウンタック25thアニバーサリーが)登場するなど、「80年代の象徴」として捉えられていたのだということもわかります。
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【動画】映画「ハウス・オブ・グッチ」にランボルギーニ・カウンタックが登場!やはり80-90年代の「わかりやすい」アイコンとして扱いやすい?
| 登場するのは1988-1990年に製造されていたカウンタック25thアニバーサリー | ランボルギーニはそのバックボーン、そしてフェラーリのように「洗練されすぎていない」ところから”特定のキャラク ...
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当時のランボルギーニは経営状態が安定せず(カウンタックが販売されている期間中、4回も親会社が変わっている)、しかしクライスラー傘下に入った後に発売された「ディアブロ」にバトンタッチする形で17年という長いライフを全うすることになりますが、今年に入り、初期プロトタイプの「カウンタックLP500」がワンオフにてリバイバル製作され、限定モデルとして「カウンタックLPI800-4」が発表されていますね。
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ランボルギーニ・カウンタックはなぜ17年も継続生産され、なぜ1989年に生産を終了せねばならなかったのか?
| カウンタックは今でもランボルギーニの精神的支柱でもある | 東洋経済にて、”倒産を乗り越えた!「カウンタック」の神通力”という記事が掲載に。これはカウンタックが17年も製造されたことに焦点を当て、 ...
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フェラーリ・テスタロッサはこんなクルマ
そして一方のテスタロッサについて、当時のフェラーリにしては珍しく「数字と記号」ではなく「名前を持った」クルマ。
テスタロッサとはイタリア語で「赤い頭」を意味し、この場合は「レッドにペイントされたカムカバー」を指しています。
発表は1984年で、搭載されるエンジンは5リッターV12、出力は390馬力(こちらも仕様地によって異なる)、0-100km/h加速は5.8秒、最高速度は300km/h。
レイアウト上は「ミドシップ」ではあるものの、事実上リアエンジン車に近い重量配分を持つとされますが(居住性を重視してエンジンを車体後方へと下げたため)、視覚的ボリュームも後方に置かれており、とくにボディサイドやリアのルーバーはテスタロッサの性格を決定づける一つの要素だと言えますね。
そしてこの「ルーバー」は様々な他社のクルマ、チューニングパーツにも取り入れられており、やはりひとつの時代を形作ったクルマであると言えそうです。
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実際に乗り比べてみるとどうなのか?
そしてこれら両者を乗り比べてみた印象ですが、フェラーリ・テスタロッサは「驚くほど運転しやすい」とのこと。
その見た目からするとちょっと驚きではあるものの、たしかにぼくの経験上でも「フェラーリは運転しやすい」という認識を持っていて、これは昔からのフェラーリの美点なのかもしれません。
一方のランボルギーニ・カウンタックは「視界が悪く、ブレーキは信頼性に欠け、品質に問題がある」。
ただしそのインパクトはテスタロッサよりも遥かに強く、「たまに」刺激を求めて乗るには抜群のクルマだともコメントしています。
そしてテスタロッサは(見た目のインパクトではカウンタックに劣るものの)、信頼性が高く乗り心地も良いため、グランドツアラー的な使い方に向いているのでは、とも感じたようですね。
両者ともそれぞれのベクトルは異なれど、素晴らしい車であることにかわりはなく、そして当時「部屋にフェラーリ・テスタロッサや、ランボルギーニ・カウンタックのポスターを部屋に貼っていた」子どもたちも成長し、その中には実際にフェラーリやランボルギーニの実車を自分のガレージに収めている人がたくさんいることもひとつの事実であり、当時のアイコンは多くの人々にとって人生におけるモチベーションとなったのかもしれませんね。
ランボルギーニ・カウンタックとフェラーリ・テスタロッサとを乗り比べてみる動画はこちら
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参照:888MF