| この数年、がぜんモータースポーツが盛り上がりそうだ |
「50年ぶり」に走るフェラーリのプロタイプ・レーシングカーには期待したい
さて、フェラーリはつい先日、488 GT3 Evoの後継となるレーシングカー、296GT3のスケッチを公開したところですが、今回は早速そのシェイクダウンの様子を公開しています。
これはもちろんFIAの定める規則に則って開催される「GT3」カテゴリを走るクルマで、2023年より実戦を走ることになりますが、市販車の発表に比較してサーキットでのデビューが遅れるのはおそらくGT3の規則によるものだったと認識しています(発売後、一定期間を経過しなくては競技に参加できないといった決まりがあったように記憶。ただ、調べても出てこない)。
なお、このGT3は「GT1、GT2」に続いて2005年に発足していますが(ポルシェは1996年から「GT3」の名称を使用している)、現在多数の自動車メーカーが自社のクルマを投入する人気カテゴリとなっていて、ポルシェはもちろんメルセデスAMG、ランボルギーニ、アウディ、シボレー、BMW、マクラーレン、アストンマーティン、ベントレー、日産、ホンダ、レクサス等もカスタマーカーを発売しているといった状況。
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GT3マシンは自動車メーカーにとっても「儲けネタ」
このGT3に参戦するチーム向けに車両を販売する「カスタマーカービジネス」はけっこう大きな収益になるといい、よって多くの自動車メーカーが「GT3参戦を視野に入れた」スポーツカーの設計を行っていますが、もちろんフェラーリも例外ではなく、今回シェイクダウンを行っている296 GT3も多くのカスタマーチームに供給されることになりそうです。
GT3マシンの参戦要件としては「市販のスポーツカーをベースにしていること」が前提となっていますが、そのほかにも「4WDはダメ」「ハイブリッドはダメ」等の規定があり、よってランボルギーニ・ウラカンだと4WDシステムを取り外したり、ホンダNSXではハイブリッドシステムと4WDの両方を取り払うことに。
そしてフェラーリ296 GT3も(市販車で装着される)ハイブリッドシステムを取り外しているわけですが、エンジンそのものは「もともと搭載されているユニット」を使用しなくてはならないため、2.9リッターV6にて戦う必要が出てきます。
そのためフェラーリは「2.9リッターV6エンジンでも、GT3クラスのライバルと渡り合える」だけの性能を持たせることを前提にこのエンジンを開発したと考えてよく、逆に考えれば、GT3の規定が変わらない限りは、ハイブリッドスポーツを開発する際に「ノンハイブリッド状態でも他社のクルマより速く走ることができる」クルマでなくてはならず、あまりハイブリッドに依存した設計を行うことができないということになるのかもしれません(GT3に参戦するならば、ハイブリッドシステムを取り外すことが前提)。
そして今回、フェラーリは「コースの周回と、エンジニアによるマシンのチェック」が交互に行われたといい、運転を担当したのはフェラーリのファクトリードライバーであるアレッサンドロ・ピエル・グイディとアンドレア・ベルトリーニ。
フェラーリのアティヴィタ・スポルティブGT部門のボスであるステファノ・コレッタ氏によると、「今日は、GTレースが我々の未来の一部となる記念すべき日であり、特別な瞬間です。最初のテストをフィオラノで行うことにしたのは、ここが我々のホームであり、プロジェクトに携わった人々が非常に特別な感情を共有できるようにするためです」とコメント。
なお、この296GT3は、フェラーリにとってはじめての「フランスのオレカによって製作されたGT3マシン」だそうですが、すでに良いフィードバックが得られているといい、実戦が今から楽しみ、といったところですね。
フェラーリはル・マン24時間レースにも復帰
フェラーリはこの296GT3のほかにももう一台、レーシングカーの開発を進めていて、それは「ル・マン24時間レース(2023年)の”ハイパーカークラス”参戦用マシン」。
現在このハイパーカークラスには、ポルシェ、アウディ、BMWも参戦を表明しているものの、それらが使用するマシンは指定コンストラクターが開発したシャシー(LMDh規定による)。
一方、フェラーリ、トヨタ、スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス、プジョー、バイコス・レーシングは自社開発の車体(LMH規定による)にて戦いに挑むことになりますが、フェラーリの車体を開発するのは296GT3の「オレカ」ではなくAFコルセ。※LMDh規定のマシンを使用したほうがコストが安く開発も容易で、アメリカのレースにも参戦が可能となる。一方LMHはほぼル・マンのためだけにマシンを作るのでコストが高く、自社で開発するためにその過程も複雑
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そしてフェラーリが2023年にル・マン24時間レースへの復帰を決めたのは「プロトタイプ(プロトティーポ)を使用した最後のレースから50年」という節目であること、そして復帰の場は耐久レースのトップカテゴリであるル・マン24時間レース以外にはない、という判断から。
なお、フェラーリはかつて9度の総合優勝を(ル・マンにて)獲得しているものの、1965年以降は優勝から遠ざかっていて、しかし今回は「プロトタイプを使用した50年ぶりのレース」にて優勝を目指すことになり、このレースを「他の自動車メーカーと同じシャシーを使用して」走ることはできなかったのだと思われます。
実際のところ、ステファノ・コレッタ氏は「フェラーリが再びトップクラスに関わると選択したとき、それはル・マンハイパーカーでなければならなかったのです。フェラーリの歴史上、ほかの選択はない。これが私たちの哲学です。LMHはLMDhよりも非常に複雑ですが、これが私たちの選んだ道なのです」とコメント。
そして嬉しいことに、6月にはフィオラノ・サーキットにてプロトタイプが走行するともアナウンスされており、296GT3ともども、開発の進捗に期待したいと思います。
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