| まさかフェラーリ288GTOエボルツィオーネがオークションに登場する日が来ようとは |
今あらためて見ると、F40に繋がる要素を多々存在することがよくわかる
さて、わずか5台しか製作されなかったフェラーリ288GTOエボルツィオーネがオークションへと登場予定。
このフェラーリ288GTOエボルツィオーネは1987年当時、フェラーリがグループBに参戦しようと考えて製作した車両であり、FIAのレギュレーションに沿って288GTOを文字通り「進化」させたもの。
ただし20台を(ホモロゲーション取得のために)製作する予定だったものの、グループB自体が廃止となってしまったため、この288GTOエボルツィオーネはわずか5台のみが製作されただけで生産が終了してしまったわけですね。
フェラーリ288GTOエボルツィオーネはこんなクルマ
このフェラーリ288GTOエボルツィオーネにはティーポF114 CKエンジンが積まれ、出力は288GTOの60%増しとなる659馬力を発生し、反面その車体重量はわずか940kg。
当然ながら当時のライバルの中ではもっとも優れたパワーウエイトレシオを誇り、その最高速はなんと時速370kmというスペックです。
ただ、このフェラーリ288GTOエボルツィオーネ最大の特徴はその外観にあり、ピニンファリーナによるデザイン、そしてケブラーとファイバーグラスで作られた新しいボディ。
正直なところ、これをエンツォ・フェラーリが許可したとは信じられないようなデザインを持っていて、フェラーリのようではあるものの、とうていフェラーリとは思えないような外観を持っています。
おそらくは美しさは「二の次」として機能を最優先したのだと思われますが、見た感じだと放熱を第一に考えたのかも。
ただしこのドアミラーなど、非常に美しく、そしてこだわりが見られるディティールも採用され、ある意味ではかなり不思議なデザインだとも言って良さそう。
そしてこのリアウインドウとそれを支える構造は見ようによっては芸術的(ステーには軽量化のためと思われる肉抜きが施されている)。
そしてある部分は288GTOを感じさせ・・・。
ある部分ではF40っぽさも。
それもそのはずで、288GTO、そして288GTOエボルツィオーネがのちのF40に繋がっているのは周知の通り。
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そしてもちろんこのポリカーボネート製のリアウインドウはF40へと引き継がれるわけですね。
ホイールはOZレーシング製、そして星型ディスクを持っており、これもセンターロック同様、F40に受け継がれたものと思われます。
室内は非常に簡素ではあるものの整然と計器やスイッチ類が配置されていますね。
シフトレバーとゲートはまさにフェラーリ的。
ペダルレイアウトはまさにレーシングカー。
製造された後、このフェラーリ288GTOエボルツィオーネはフェラーリのコレクターに販売される
そしてこの”シャシーナンバー79888”は5台製造されたうちの4台目で、製造された後はベルギーの裕福な実業家、ジャン・ブラトン氏へと販売されることに。
同氏はプライベートカーのドライバーとしても活躍しており、1950年代、1960年代、1970年代にル・マン24時間レースへとに15回参戦した経験を持っていて、250テスタロッサ、250LM、250GTO、330P4など、フェラーリの名だたるレーシングカーをドライブしてきた、と紹介されています。
そういったポジションにあった人物だけあって、ジャン・ブラトン氏がこの288GTOエボルツィオーネを手に入れることは難しくなかったことは容易に想像できますが、その後この288GTOエボルツィオーネは数々のコレクターの手に渡り、現在アストンマーティンを買収しそのオーナーとなっているローレンス・ストロール氏もそのリストに名を連ねていたようですね。
現在この288GTOエボルツィオーネを所有するのはドイツのオーナーだそうですが、販売に先駆け、フェラーリのレーシングカーの製作で有名なミケロットによって徹底的な整備が行われた、とのこと。
そこではダンパー、ブレーキキャリパー、ウォーターポンプ、ターボのオーバーホール、新品タイヤへの交換、オリジナルギアボックスのレストアなどが行われたとされますが、エンジンやその補機類もまた新車のような輝きを持っています。
走行距離などは公開されていないものの、見たところ新車コンディションと言ってよく、これまでのオーナーが非常にこのクルマを大切にしてきたこと、そして直近の整備では機関だけではなく内外装も新車同様に戻されたということもわかります。
この288GTOエボルツィオーネはエンツォ・フェラーリによって承認された最後のGTレースカーであり、フェラーリを語る上で重要な歴史の一部。
これが後の「スペチアーレ」に続く「元祖」であることを鑑みてもその価値は測りしれず、今回のオークションでは前代未聞の高額落札となる可能性がありそうですね、
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参照:RM Sotheby’s